更年期のQOL向上のカギは漢方に。
HRT、西洋薬、サプリとの併用も有効
住吉先生は、本当に勉強家! 学会、セミナーなど、あらゆるところにアンテナを張っていて、マシンから、ドクターズコスメ、スペシャルな施術、漢方などなど、いつも情報を更新しています。それをうかがうのがほんとうに面白い!! 今回は、ご自身でもいろいろ実践されている、漢方についても教えていただきました。
東洋・西洋、両医学+市販のお薬なども上手く取り入れてバランスをとっている住吉先生のお話、ぜひ参考にしてくださいね!
医師の診断を受け、正しい漢方薬の処方を
漢方外来では、問診、脈診、腹診、舌診などの診察を経て、その人の「証(体質や体力、病気に対する抵抗力)」に合わせた薬を処方します。「友人が○○を飲んでよくなったから」ではなく、きちんと医師の診断を受けたうえで、自分に合った漢方薬を処方してもらうのが一番です。
特に40〜50代の女性の不調には、橋本病やうつなどの病気が隠れていることが少なくありません。明らかな症状がある場合、自己診断は避けるべきです。
また、「なんとなく不調。更年期のせいかな?」という程度であれば、入門編として、OTC医薬品(一般用医薬品=ドラッグストアなどで買える薬)の漢方薬を利用するのもひとつの方法です。医師が処方するものに比べると成分濃度は低いですが、手軽に入手できる便利さがあります。
漢方薬と西洋薬のいいとこ取りで快適に!
漢方薬を飲んでいると、「頭痛で飲みはじめたらイライラも治まった」というように、ある症状を治療することで付随する不調まで消えてしまうことがよくあります。これは漢方が、「標治(表に現れている症状に対応すること)」と、「根治(もともとの原因に対応すること)」の両方にアプローチしているため。
例えば、更年期にすすめられることが多い当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸は、婦人科系の不調を治す定番。めまいや冷え、のぼせなどさまざまな症状を改善してくれます。
更年期の治療では、何がいちばんつらいかを医師に伝えることが大切です。ホットフラッシュならHRTが有効ですが、イライラ感が強い場合、漢方のほうが効く場合もあります。「漢方を飲んでいるけれどHRTも始めたい」というのもいいですし、サプリメントとの併用もいいと思います。
私自身は生理不順や発汗など、更年期の症状が変わるのに合わせて、飲む漢方もまめに変えています。最近ではプラセンタ注射も始め、体調はかなり安定してきました。
更年期には、さまざまな不調がランダムに現れます。漢方薬と西洋薬のいいとこ取りで、QOLを上げていきましょう。
更年期の不調に効果のある代表的な漢方
◆当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン/23)
貧血気味でホルモンバランスの乱れがある人に。冷え症、めまい、頭重感などの症状を緩和します。体を温めて血の巡りをよくし、余分な水分を排出してむくみを取る効果があります。
◆加味逍遙散(カミショウヨウサン/24)
ホルモンバランスの乱れがある人に。肩コリ、イライラ、不眠などの症状を緩和します。上半身の緊張をやわらげる、体を温める、血の巡りをよくする、むくみを取るなどの効果があります。
◆桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン/25)
血流が悪い人に。強い肩コリ、多汗などの症状を緩和します。体を温め、血の巡りをよくして余分な水分を排出し、むくみや痛みを取るなどの効果があります。
撮影/板野賢治 取材・原文/上田恵子