いし こんにちは。ぐうたらライターいしまるこです。暑さにかまけてご無沙汰してしまいました。
ハーバード大学医学部根来秀行教授のweb講座「心臓年齢を若返らせる!」もついに最終回。根来教授が脈を整えて心臓の働きをよくする秘策を伝授してくれるそうですよ。
根来 こんにちは。根来秀行です。脈を整えるには、心臓のリズムを生み出しているものにアプローチすればいいのですが、さて、それはなんでしょう?
いし またまた池上彰方式、いきなりの質問攻めですね。
でも大丈夫。前に習ったからわかりますよ。
心臓の拍動をコントロールしているのは自律神経です!
根来 正解です! 不整脈はとくに病気がなくても、自律神経を緊張させるような生活習慣によっても引き起こされます。
いし 寝不足とか、ストレスが多いとか?
根来 そうですね。ちょっと復習すると、自律神経には交感神経と副交感神経があり、「アクセルとブレーキ」のように働きます。
緊張したり興奮したりすると脈が速くなるのは、交感神経が心臓の拍動を速め、血液を大量に送り出すためです。
いし 交感神経がアクセルをふかして心臓を激しく働かせているわけですね。
怒りっぽい人は、心臓に負荷をかけてるってことだ。
根来 そういうことですね。一方、落ち着いたときにブレーキをかけて心拍数を下げるのは副交感神経です。
いし 副交感神経が優位なときは、のんびりリラックスしているんですよね。
根来 はい。ところがストレスフルな現代人は、常に交感神経優位に傾きがち。そのうえ、加齢により自律神経自体のトータルパワーも下がり気味です。
ですから、自律神経ケアを心掛けることが、脈を整え、心臓をケアすることにつながるわけです。
いし なるほど!
根来 自分で自律神経を整える唯一の手段は呼吸法です。不整脈のときは呼吸も浅くなり、胸痛などの痛みを助長しがちですが、ゆったりと深い呼吸を繰り返すことで、緊張がほぐれ、脈も心も自然と安定します。
いし おすすめの呼吸法はありますか?
根来 今回は脈が乱れているときでもできる「ストレスフリー丹田腹式呼吸」を紹介しましょう。
【ストレスフリー丹田腹式呼吸】
いし 「丹田」は、気が集まる場所といわれて、気功やヨガなどではとても重要な場所とされていますね。
根来 脈が乱れているときは、吸ったり吐いたりの長さをカウントする余裕もないでしょうから、ともかく丹田に意識を集中させてゆっくり呼吸をしてみてください。何度か繰り返すうちに、脈も落ち着き、ストレスから解放されます。脈が乱れたときだけでなく、普段から意識的に行っていると、自律神経の働きが安定して、心臓に余計な負荷がかかりにくくなりますよ。
いし 心掛けます! ほかに生活の中で気をつけたほうがいいことは?
根来 もちろん、ストレス因子を取り除くことも大事です。過労や睡眠不足、食生活の乱れなども大きなストレスとなり、不整脈を誘発し、動脈硬化を進行させ、心臓を弱らせます。
いし 当たり前だけど、規則正しい生活を心掛けることが大切なんですよね?
根来 当たり前のことほどおろそかにしがちですが、やっぱり当たり前のことが大切なんですよ。具体的な生活習慣の改善法については、僕が以前より提唱している毛細血管ケアと似た考え方になります。拙著『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業「毛細血管」は増やすが勝ち!』をご参考にしてください。
根来 それではみなさん、心臓ケアを心掛けて、今日も素敵な1日を!
(次回の連載テーマは「肺年齢を若く保つ!」です。お楽しみに!)
取材・文/石丸久美子 撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン