「ロコモにならない宣言」
いつまでも美しい姿勢で、元気よく歩くために!
転ばぬ先の「美骨レッスン」
あなたは、自分の命が果てるそのときまで、元気でいる自信がありますか? 女性の平均寿命は今、86歳。でも健康寿命と呼ばれる「日常生活に制限のない期間」は、そこからマイナス13歳ともいわれています。
ロコモティブシンドローム(=運動器症候群)になると、要介護や寝たきりの生活に突入するスピードが加速。自分が思い描く人生を最後まで全うするためには、足腰の骨を衰えさせないように、OurAge世代からの生活を見直すことが重要です。
さあ、強くて美しい骨を手に入れるために、レッスン開始!
寝たきりにならないための生活術とは? 骨粗しょう症の治療法
ロコモ予防のために、まずは骨粗しょう症にならない生活習慣を身につけたい。カギになるのは食事療法と運動療法です。
取り組みに〝早すぎる〞ことはありません。「骨美人は一日にして成らず」を肝に銘じて、さっそく今日から始めましょう。
ここでは、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つ観点から、骨量をアップし、骨粗しょう症にならないための生活習慣のアドバイスをご紹介します。
今回は、「薬物療法」についてです。
骨量アップは
食事、運動、薬剤の3本柱で
骨粗しょう症の予防と改善法で欠かせないのが、食事と運動です。
「食事面では、骨粗しょう症に限らず、ほかの生活習慣病予防も合わせて、5大栄養素をバランスよく摂取する食事が基本です。そのうえで骨を丈夫にするために、積極的にとりたいのが、カルシウム、タンパク質、ビタミンD、ビタミンKです」(細井先生)
そして欠かせないのが軽い運動です。
「骨粗しょう症予防の運動の目的は、骨量の維持と増加です。それには重力方向への刺激で、骨に負荷をかけるのがポイント。同時に筋力を高め、ストレッチなどで関節を柔軟に保ちましょう。簡単で長続きする運動であることが大事。おすすめは歩くことです」
また、「生活習慣を改善しても、骨量が減少してしまった場合は、薬物療法を行います。骨密度や骨代謝マーカーを指標に、目的は骨折予防です」
まずは骨の健康に向き合うことから。今から骨美人を目指して、骨粗しょう症にならない生活を始めましょう。
■薬物療法■
骨粗しょう症は骨折をするまで自覚症状がほとんどありません。糖尿病では血糖値を参考に治療や予防が行われるように、骨粗しょう症では骨量を目安にします。
40歳を過ぎたら、自分の骨の状態を知るために一度検診を。50歳以降は1~2年の間隔で検診を受け、骨量の減り具合を把握することが大切です。
骨粗しょう症の診断基準は、圧迫骨折などの骨折がない場合には、骨量測定値が20~44歳の骨量平均(YAM)の70%以下。70~80%が予備軍です。骨粗しょう症と診断されたら、食事や運動の見直しとともに、薬物療法で骨量を増やす治療を行います。
【薬物療法を始めるタイミング】
骨量測定が70%、〝骨質劣化型〞の骨粗しょう症が疑われる場合には80%が目安。
食事療法と運動療法を6カ月以上行っても改善しない場合に薬物療法を始めます。
【薬の種類】
骨粗しょう症の治療薬の目的は、骨を強くして、骨折を防ぐことです。
そのアプローチとして、カルシウム代謝を助けるもの、骨形成の促進や骨破壊の抑制、骨質を高めるものなどがあります。
「活性型ビタミンD₃製剤」
食事から摂取したカルシウムの腸管からの吸収を助けます。骨形成と骨破壊のバランスを調整する効果も
「ビスホスホネート製剤」
破骨細胞に作用して、過剰な骨破壊を抑制。骨破壊が緩やかになり、骨形成が追いつき、骨量を上げる高い効果が確認されています
「テリパラチド製剤」
骨形成促進剤で、骨代謝の回転を促進して、骨量を増やします。骨折を抑制する効果が最強で、重症な骨粗しょう症に用いられます
「エストロゲン製剤」
更年期の症状の改善に用いられる薬で、女性ホルモンを補充することで、骨量の減少を抑制します
「カルシウム製剤」
カルシウムを補うための薬。ほとんどの場合、ほかの骨粗しょう症の薬と併用します。カルシウムのとりすぎにならない注意が必要です
「ビタミンK₂製剤」
骨の構成成分であるタンパク質を活性化。骨基質の産生を促し、カルシウム排出を減少させるなどの働きがあります
「カルシトニン製剤」
破壊細胞などに存在するカルシトニン受容体に直接作用して、その機能を抑制。特に骨粗しょう症による疼痛の改善に使われます
「サーム(SERM)」
骨のエストロゲン受容体に結合して、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きで、骨量を増加させます
今後は、年齢を重ねてますます若々しい体を維持している3人の先輩がたの、「美骨」の秘訣についても教えていただきますね。
撮影/小山志麻(細井先生) イラスト/かくたりかこ 取材・原文/山村浩子