「足の診療所」
5大トラブルの原因と治療
足に問題を抱える患者さんに専門的なケアを提供している「足のクリニック 表参道」を訪れる人に多い5大トラブル、外反母趾、強剛母趾、ハンマートゥ、足底筋膜炎、モートン神経腫。
ここでは、その原因や治し方について、桑原 靖 先生に詳しく説明していただきます。
最終回は、足指の間に痛みがある「モートン神経腫」についてです。
女性に多い、足指の間の痛みや
足の裏の違和感
「聞き慣れないかもしれませんが、モートン神経腫も近頃増えている足の病気のひとつ。神経腫は痛みが強い良性の腫瘍で、3番目と4番目の足指の間にできることが多いです。痛みや焼けるような感じ、ひりひりした感覚、しびれなどが足指の間や足の裏の盛り上がった部分に起こります。
男性より女性のほうが発症しやすく、なかには『靴の中に石が入ったような感じがする』と言う人もいます」
おもな症状は歩行時の足指間の痛み。立ち止まったり、靴を脱いだり、痛い箇所をマッサージしたりすることで痛みは軽減します。発症原因としてはいくつかありますが、代表的なものとしては、次のようなものが考えられます。
●足の変形。ハイアーチや扁平足などは足指関節部が不安定になるので、神経腫につながることがある。
●ケガが神経にダメージを与え、炎症や腫れが発生することがある。
●合わない靴を履くことで、足指部分が窮屈になる。
●ハイヒールを履くことで、前足部への圧が高くなる。
「治療法として効果が高いのは、足のアーチをサポートするインソールを使用すること。炎症がひどい場合はステロイド注射が有効です。ハイヒールを履くのは、できるだけ控えるか短時間にしてください」
【モートン神経腫】
3番目と4番目の足指の間が痛い!
<症状>
■足の3番目と4番目の指の間が痛む
■足指にしびれ、灼熱感、異物感がある
<原因>
■足先のとがったハイヒール(窮屈な靴を着用することで、足の指と指の間を通る神経が圧迫される)
■外反母趾や扁平足などの足トラブル(中指と薬指の間は特に動きが大きいため、一度神経腫が発生すると摩擦が大きくなり、腫れが進んでしまう)
■足に反復的に衝撃を与える、ランニングやテニスなどのコートスポーツ
<治療法>
■症状の進行に合わせて、インソール療法や注射、手術を行う
■服薬や注射
■手術
<自分でできるケア>
■足に合ったサイズの靴を履く。足先が幅広の靴を着用し、先のとがった靴は控える
■アーチをサポートするインソールを使用する(加重時の足の骨の歪みを少なくすることが大切)
■激しいスポーツを避け、神経腫への圧を減らす
■初期はたまに痛む程度なので、 靴を脱いだりストレッチをすることで痛みが軽減する。 しかし、しだいに症状は悪化するため、 早めに専門医を受診することが大切
足指間・足裏の痛みやしびれ、
ひりひり感が特徴
足指の間にできることが多い良性の腫瘍が原因で、不快な症状が起こります。
歩いていないときには痛みや不快感がないのが特徴で、靴を脱ぐと症状が治まります。
■OurAge編集部おすすめのインソールで、足の痛みを軽減!■
手軽かつ効果的な対策として、市販のインソールを活用するのもひとつの方法。
足のアーチをサポートして痛みを軽減するだけでなく、疲れにくくなるというメリットも。
撮影/鈴木康久(千代田スタジオ) イラスト/かくたりかこ 構成・原文/上田恵子