美腸ケア9
うんちは健康のバロメーター
これって大丈夫!? うんちのあれこれ
毎日いいうんちをしていますか? 実はうんちには私たちの体内の情報が詰まっています。まさにうんちは健康のバロメーター。しっかりチェックする習慣を!
ここでは、Q&A形式でうんちのあれこれについてご紹介していきます。
最終回は、便秘について、快便の秘訣などの3つのQ&Aです。
うんちは体からの
お便りです
「私たちが食べて、生きていく限りは、大便は必ず作られます。しかもそこには、大変貴重な情報が詰まっています」とは、世界から約6000人分の大便を集め、その腸内細菌を研究している、その名も辨野(べんの )義己先生。
「うんちは単なる食べカスではありません。大便1g中、6000億~1兆個もの腸内細菌が含まれています。腸内細菌の構成バランスは人それぞれに違い、これを分析すると、食事や生活習慣、ストレスのたまり具合までわかります」
だから毎日のうんちを観察することはとても大事。もちろん毎日細菌検査まではできませんが、形状やニオイなどから、腸内の状態がある程度わかります。
「腸内の善玉菌が多く、大腸の働きがよければ、うんちは発酵しますが、悪玉菌が多く、働きが悪ければ腐敗します。腐敗したうんちは臭く、病気の原因にも。まさに、うんちはその人の健康状態を知らせてくれる“お便り”。いい知らせが届くように、“いいうんちを育てる生活”をすることが健康の第一歩です」
Q 便秘で出ないうんちはどうなる?
A 有害物質が再吸収されさまざまな病気の原因に。
便秘でうんちが腸内に長く留まると、悪玉菌が生み出す有害物質が体に再吸収され、血液にのって体の隅々まで運ばれます。これが皮膚に常在する細菌の活性を高めて、肌あれや老化を促進します。
それだけではありません。そもそも腸内細菌のバランスが乱れて、善玉菌が少ないから便秘になっているので、ビタミンの生成や免疫力、新陳代謝の機能も低下しています。腸内環境の腐敗は、やがて体の不調や大腸がんなど、さまざまな病気を誘発することに。
便秘の原因は食物繊維不足、体内の水分不足、旅行などの環境の変化や心的ストレス、腸の運動力や筋力の低下、下剤の乱用など。うんちをためても何ひとつメリットはありません。今すぐの生活改善で"ためない"生活を!(辨野先生・以下同)
Q 子どもの便秘も増えているの?
A 便秘改善は正しい"便育"が必要。
首都圏の5つの小学校で実施した、排便に関する調査では、「1日1回」が約6割、「1日2回」が2割、「2日に1回」や「3日に1回」は1割弱でした。さらにうんちの状態では、約7割が快便(理想的)で、まずまずな成績。
しかし油断はできず、毎日出ない児童やカチカチタイプも少なくなく、こうしたケースでは運動不足、野菜不足、肉食過多が考えられ、これからの腸の高齢化が懸念されます。それには子どもの頃から正しいうんちの教育を行うべきです。
最近は学校でトイレに行っただけで、からかわれることもあり、これが便秘を助長します。学校でも家庭でも、うんちの話題を平気でできる環境をつくり、親やおばあちゃんが子どもの排便を確認する習慣をつけるといいでしょう。
Q いいうんちを育てる方法は?
A 食物繊維と発酵食品たっぷり生活が快便の秘訣。
まずひとつには腸内の善玉菌の代表であるビフィズス菌や乳酸菌を増やすことです。それにはヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆やキムチなどの発酵食品を摂取すること。ただし、外から入れた菌は腸には定着しないので、毎日摂取することが重要です。
また、善玉菌のエサになるオリゴ糖を多く含むバナナ、ごぼうや玉ねぎなどの根菜、食物繊維が豊富な野菜や海藻、豆類などを積極的に食べます。また排便するのには、腹筋や骨盤まわりの筋肉を使うため、軽い運動で筋力をつけること。
そして現代人に何より必要な、リラックスタイムを設けてストレスを上手に解消することも、"いいうんちを育てる"秘訣です。
撮影/鈴木正美 小山志麻〈辨野先生〉 立体ラテアート作製/じょーじ(原宿リシュー)
監修/辨野義己 取材・原文/山村浩子