美腸ケア5
腸にいい習慣 ウソorホント
今までどこかで聞きかじった、腸に関する知識。 本当はどうなの?
ここでは、腸の専門家お二人に腸にまつわる話のウソorホントについて確認。Q&A方式でご紹介します。
腸の健康は生活習慣次第。本当に腸が喜ぶこととは?
今回は、肉食は腸に悪い? 笑うことも腸活に効くの? など、4つのウソorホントです。
藤田紘一郎さん Koichiro Fujita
東京医科歯科大学名誉教授、
人間総合科学大学教授
辨野義己さん Yoshimi Benno
理化学研究所イノベーション推進センター
辨野特別研究室特別招聘研究員
Q 乳酸菌は生きたまま腸に届かないと意味がない?
ウソ
A 死んだ菌でも、腸内細菌は活性化します。
乳酸菌を含むものには、動物性ならヨーグルト、植物性には納豆やみそ、ぬか漬け、キムチなどがあります。最近では「生きた菌を腸まで届ける」という商品もありますが、たとえ入ってきた乳酸菌が死んでいたとしても、もともと腸にある自前の乳酸菌を活性化させることができるので、決してむだではありません。
またもうひとつ、最近注目されているのが乳酸菌生成エキス。個別の乳酸菌ではなく、自前の乳酸菌を増やすように働きます。サプリメントタイプで手軽に摂取できるのでおすすめです。(藤田先生)
Q 腸のためには肉食はNG ?
ウソ
A 肉の3倍の量の野菜を食べればOK。
40日間、肉だけを食べ続ける人体実験をしたところ、実験前とあとでは、善玉菌は20%から15%に減少。悪玉菌は10%から18%に増加していました。悪玉菌が善玉菌を上回ると、日和見菌が悪いほうに加担するので、明らかに腸内環境は悪化。とはいえ、昨今では長寿のためには肉が必要であると、肉食が見直されています。
つまり、肉がすべて悪いわけではなく、重要なのは野菜とのバランス。肉に対して、野菜をその3倍とるのがポイント。野菜不足はてきめんに、腸内環境を悪化させるので要注意!(辨野先生)
Q 笑うことも腸活に効く?
ホント
A 笑うと腸を活性させ免疫力がアップします。
笑いには大きな健康効果があることがわかっています。笑うことで横隔膜が上下して、内臓を刺激するので、腸のぜん動運動の働きがアップ。消化力が高まるだけでなく、ナチュラルキラー細胞などの免疫細胞が活性化し、免疫力が高まります。実際に笑ったあとの血液分析では、免疫バランスがよくなるというデータが。
食事も気の置けない人と楽しくすることがとても大事。まさに「笑う門には"腸力"来る」。笑うことは腸の健康、病気知らずの体づくりのための大きな秘訣です。(辨野先生)
Q アルコールは悪玉菌を増やす?
ホント
A 飲みすぎはやはりダメ!適量を守ること。
お酒好きに禁酒をすすめても、飲めないことでかえってストレスがたまります。無理に我慢する必要はありませんが、やはり飲みすぎは腸内バランスを壊します。また、乳酸菌をとっても、お酒を飲むとその効果が薄れる…という説がありますが、それはウソ。
例えば、お酒の中でもワイン、日本酒、マッコリなどは乳酸菌を含んでいます。チーズや漬け物をつまみにしたら、乳酸菌のダブル摂取でバッチリ! くれぐれも、適量を守りながら、楽しく飲むようにしてください。(藤田先生)
撮影/城 健太 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/山村浩子