栄養価が高く香ばしい玄米麺は応用範囲大!
「グルテンは小麦などに含まれる2種類のタンパク質が、水を加えてこねることで絡み合ってできる成分です。グルテン自体がすべて悪いわけではありませんが、最近ではとりすぎなどにより腸内環境を悪化させ、アレルギー症状や肌あれの原因になるともいわれています。
そこで、そのグルテンをできるだけ減らそうという、グルテンフリーの健康法が注目されています」(沼津りえさん)
グルテンフリーの麺には「米が原料のもの」と「豆が原料のもの」があります。
(※詳しくは第1回参照)
米線は、もともと中国雲南省が発祥の米で作った米麺(ライスヌードル)のこと。これを肉や野菜とともに煮た「過橋米線(かきょうべいせん/グオチャオミーシェン)」は雲南省の有名料理となっています。
この米線を使い、さまざまなスープや具を自分で選べるスタイルで提供するレストランが香港で大人気になり、その店は今は日本にも上陸しています。
「今回は日本製の玄米を使った麺を使用しました。米麺の中でも、玄米の麺なら栄養価も食物繊維もグッとアップします。玄米にはビタミンB1、B6、マグネシウム、食物繊維が豊富。ビタミンB群は疲労回復や肌あれを予防する働きがあります。白米に比べて食物繊維も多いので、腸内環境を整える効果も高まります」
よく炒めたトマトケチャップがだし代わりに!
「香港の米線料理にはいろいろな味があるようなのですが、今回はトマトケチャップをだし代わりにして、これに発酵パワー満載の味噌とナンプラーでコクをプラスしました。
さまざまな具材が煮込まれているトマトケチャップは、よく炒めることで酸味が飛んで、旨味と甘味が凝縮されます。これだけでおいしいだしのベースになります」
具に選んだトマトは、β-カロテン、ビタミンC、ビタミンEの3大抗酸化ビタミンを含み、血液の健康、老化防止に役立ちます。また赤い色素成分のリコピンには、これらのビタミンよりさらに強い抗酸化作用があります。
キャベツに含まれるキャベジン(ビタミンU)は胃腸の調子を整え、ビタミンCや食物繊維は美容効果があり腸内環境を整えてくれます。
「今回は炒めるのにごま油を使いましたが、オリーブオイルを使い、ベーコンなどを具に加えるともう少し洋風の仕上がりになります」
【使用した麺】
ファーミン(ササニシキ玄米)玄米麺
原材料は宮城県産の有機ササニシキ玄米と北海道産の有機馬鈴薯デンプンのみ。玄米を焙煎&製粉し製麺した半生タイプで、保存料や調整剤などの添加物は不使用です。ゆで時間1分で、ツルンとした喉ごしのよさが魅力。100g×6袋¥1,700(送料込み)/有機農園ファーミン
【発酵食ポイント】
味噌/原料の大豆が持つ良質な植物性タンパク質に加え、発酵によりアミノ酸やビタミン、ミネラルが増えます。大豆に含まれるレシチンは悪玉コレステロールの吸収を低下させる効果が、サポニンには血糖の上昇を抑制する効果があります。
ナンプラー/カタクチイワシなどの魚介を塩漬けにして発酵させた調味料。動物性タンパク質をはじめ、アミノ酸やビタミン、ミネラルの宝庫。
【材料(2人分)】
ファーミン(ササニシキ玄米麺):200g(2袋)
トマト:1個
キャベツ:80g
鶏ひき肉:80g
トマトケチャップ:大さじ2
味噌:大さじ1
ごま油・にんにく(みじん切り):各小さじ1
ナンプラー:小さじ2
水:400㎖
【作り方】
1 トマトとキャベツはざく切りにする。麺を表示時間通りにゆでる。
2 鍋にごま油を入れて、にんにくを炒め、香りが立ったら、トマトケチャップを入れて甘い香りになるまで3分炒める。
3 味噌を加え1分炒め、鶏ひき肉を加えて色が変わったら、キャベツとトマトを加えて炒める。
4 キャベツがしんなりしたら水を加え、ひと煮立ちさせる。1の麺を入れて、ナンプラーで味を調える。
【料理ポイント】
トマトケチャップをしっかりと炒めて、隠し味で発酵食の味噌を使用することで、味に深みを出します。
【教えていただいた方】
管理栄養士・調理師・料理教室COOK会主宰。大手食品メーカーに就職後、管理栄養士として妊産婦指導を行う。その後、製菓・製パン専門学校に通いながら、老舗洋食レストランで料理の基礎を徹底的に学ぶ。結婚を機に子育てをしながら料理教室COOK会をスタート。シンプルでおしゃれなレシピに定評があり、各メディアで活躍。管理栄養士の知識を生かして、企業向けのレシピ開発も行う。最近ではYouTubeが好評で、著書に『米粉があれば! パンもおかずもおやつも極上』(主婦の友社)、『母から娘に伝える はじめてのLINEレシピ』(ART NEXT)など多数。
撮影/沼津そうる 取材・文/山村浩子