従来の健康保険証の発行が終了。マイナ保険証しか使えなくなるの?
これまで、病院や薬局の受付でマイナ保険証のカードリーダーを見かけて、「マイナ保険証、使ったことがないな…」と思っていた方もいるかもしれません。
マイナ保険証の利用率は、2024年9月時点では、13.87%(厚生労働省データより)。12月2日から紙やカード型の従来の健康保険証は発行されなくなり、今後マイナ保険証の利用率は上がっていくでしょう。
「マイナンバーカードは持っているけれど、従来の保険証を使っている」という人や、「マイナンバーカードを持っていないから、今後病院に行くときにどうしたらいいかわからない」という人もいると思います。
そんな人によくある誤解ふたつをお伝えします。
誤解1
12月2日から、今持っている健康保険証は使えない→×
「今後、従来の健康保険証は使えない?」と勘違いをしている人も多いのですが、これは誤解です。
12月2日以降、2025年12月1日までの最長1年間(この日までに有効期限があれば、その期限まで)は、今持っている健康保険証を継続して使えます。
誤解2
今持っている健康保険証が期限切れになったら、保険適用で医療を受けられない?→×
マイナンバーカードを持っていない人や、マイナンバーカードを持っていても健康保険証利用登録をしていない人は、今持っている健康保険証の有効期限切れになる前に、「資格認定書」が、申請をしなくても無料で送られてきます。これを使えば、マイナ保険証がなくても医療にかかれることになります。
ちなみに、高齢者や障害を持っている方など、マイナ保険証を持っていてもマイナンバーカードを使った受診が困難な場合は、申請すると「資格確認書」を送ってもらえます。
「マイナ保険証」にするメリットは多い
では、従来の健康保険証から「マイナ保険証」に移行することで、どんなメリットがあるのでしょうか。
メリット1
医療データがまとまり、よりよい医療が受けられる
マイナ保険証を使うと、さまざまな医療データがまとまります。
初めて受診する医療機関や薬局で、本人が情報提供に同意することで、医師や薬剤師がデータを確認でき、過去の医療情報に合わせてよりよい医療が受けられるでしょう。
メリット2
支払い後の手続きなしで、「高額療養費制度」を利用できる
1ヵ月あたりの医療費が高額になった場合、「高額療養費制度」といって、自己負担額の上限を超えた金額が手続きによって戻ってくる制度があります。
マイナ保険証を利用すれば、自己負担額のみを窓口で支払えばOKとなります。窓口で大きな金額を支払い、後で手続きをして超過分を払い戻してもらう手続きが不要になります。
筆者は取材をしていると、「高額療養費制度の手続きを忘れてしまった」という人に時々出会います。健康保険組合によっては、自動で手続きをしてくれるところもありますが、自分で手続きをするのが一般的です。高額の医療費がかかるケースは、病気やケガで、手術や長期入院後の場合が多く、なかなか大変。
病院の窓口で、自己負担上限額のみの支払いですむのは助かりますね。
メリット3
医療費抑制にもつながるかも?
マイナ保険証には顔写真もあるため、不正利用の抑制にもつながりますし、データが一元化されて医療現場での確認作業がスムーズになり、例えば複数の病院で同じような薬をもらっている場合に、早めに気づくことにもつながります。
日本全体での医療費抑制の効果も高まるでしょう。
一方で、注意点もあります。
注意点1
紛失すると再発行手数料が必要になる
マイナ保険証は、紛失した際に注意が必要です。
再発行のために身分証明書が必要となりますが、身分証明書としての健康保険証がないので、運転免許証や運転経歴証明書、パスポートなどが必要になります(いずれもない場合は、年金手帳や社員証、学生証などで代用できる場合があります)。
また、再発行手数料として1000円かかります。
注意点2
マイナンバーカードは定期的に更新が必要
従来の健康保険証の場合は、期限が切れる前に自動的に送られてくるため、更新手続きは不要でした。
しかし、マイナンバーカードには有効期限(電子証明書は発行日から5回目の誕生日まで、カード自体は10回目の誕生日まで)があるので、更新手続きを忘れないようにしましょう。
期限前にお知らせが来るので、そこは安心。更新手続きは無料です。
マイナ保険証の使い方は簡単です!
マイナンバーカードを「マイナ保険証」として、医療機関でどのように使えばよいのか、ちょっとドキドキしますよね。
実は、かなり簡単です。
医療機関の受付にある「顔認証つきカードリーダー」にマイナンバーカードを置き、本人認証(顔認証・暗証番号入力)を行います。各種情報提供の質問があるので、同意選択をして終わりです。
もし、マイナンバーカードを持っていて、「健康保険証利用」の登録をしていない場合は、医療機関や薬局の受付にあるカードリーダーのほか、マイナポータル、セブン銀行ATMから登録できます。
DX(デジタルトランスフォーメーション)化で手間やコストをカット
最近は、さまざまな分野でDX化が進んでいます。DX化が進めば、情報管理がしやすくなり、検索や情報閲覧などの手間やコストが大きくカットできるでしょう。
アナログなほうが便利な面も確かに一部ありますし、DX化の移行期間は不安を覚え、スムーズにいかないこともあるかもしれません。しかし、みんなが使いこなせるようになれば、メリットのほうが大きいのではないでしょうか。
単に貯蓄額を増やすのではなく、潤いのある毎日のためのお金の使い方・貯め方・増やし方について女性誌やWEBなどで発信するほか、取材・執筆・監修・講演を行っている。現在は早稲田大学人間科学部(eスクール)にて心理学も学ぶ。著書に『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)、『お金の増やし方』(主婦の友社)など。
イラスト/平松昭子 文/西山美紀