涼し~い雲の上に来ております。今回の旅は北海道の星野リゾート リゾナーレトマム、この夏、新しく誕生したリストランテ「OTTO SETTE TOMAMU」の旅ごはんを楽しみにやってきました。
でも、その前に、ぜひお見せしたかったのが雲上の風景。名物の「雲海テラス」に7月23日にオープンしたCloud Bar(クラウドバー)というアート作品の上に腰かけているのです。高さ3メートルの椅子まで梯子を上り、雲上の特等席から雲海と山々の絶景を眺める・・・。予定でしたが、この時は全てが雲の中。なんだか空に浮かんでいるみたいな不思議な写真が撮れました。これも旅の楽しさです。
OTTO SETTE TOMAMU(オットセッテ トマム)のコンセプトは「美食のカレンダー」。3つの海があり、中央に高い山脈がある北海道は、地域によって採れる食材も、収穫の時期も異なるほど多様な地域性を持っています。さて、北海道の夏をイタリアンで味わう武田学シェフの美食のカレンダーは、いったいどんなお料理が出てくるのでしょうか。
これ、なんだろう?と、思ったら、小さな極細のグリッシーニ。これはありがたい。お料理を待つ間についついグリッシーニをぽりぽりとつまんでしまうと、お腹いっぱいになってしまうのが心配ですが、これなら大丈夫です。北海道の森や大地を表す色がチーズとかイカ墨とかで表現されています。
「小さな宝物」と名付けられた前菜は、宝石ケースのようなガラス箱に入って登場し、あまりの可愛らしさに微笑んでしまいます。北海道の夏ならではの甘いとうきびをガスパッチョで味わい、サーモンムースの小さなシューや、ふんわりサクサクのクロケットなど、マリアージュでお願いした、スパークリングワインで楽しみます。
わわわ。なんじゃこりゃ?ぶくぶくの泡の下をよくみると、「わ。毛ガニだ」。というわけで、泡で包んだ毛ガニとフィノッキオの爽やかな香りというお料理です。蟹の身もぎっしり、そして、蟹みそもたっぷり。それをスプーンで一気にすくって味わえる幸せな瞬間。フィノッキオは、ういきょうとかフェンネルとか言われるスパイス野菜。爽やかな風味のピュレが濃厚な毛ガニの甘みや旨みを引き立てます。
旬のアスパラは丸ごと茹でて卵のピュレやチーズをアクセントに味わいます。手前のお菓子のように可愛い付け合わせはパプリカです。
忘れられない逸品は、ピエモンテ州の「タヤリン」というパスタ。卵黄とセモリナ粉で作った細切り手打ちパスタが、もっちもち。ウニと夏トマトのソースがとにかく美味。ウニの濃い甘味と、トマトの甘味、そして、ほのかな酸味。なんとも滑らか、そしてもちもち、クリーミーで爽やか、それが絶妙に重なり合って、できることなら、ずっと味わっていたいほど美味しい。
トスカーナで循環型自然農法で作るラ・チェレータの白ワイン「マティス」。大地と三日月と星のラベルがステキです。オレンジがかった美しい色とふくよかな果実味が、ウニとトマトの味わいにぴったり。
ミズダコと肉厚のヒラメのフリットは、火入れ具合が絶品。衣はあくまでも薄くてサクサク、中はしっとり半生で、ミズダコはプリンプリン、ヒラメは旨みがじわーっと広がります。
牛フィレ肉を昆布で包んで焼き上げた「磯との出会い」は、北海道ならではの発想。昆布のブランケットを纏ったと英語で書かれていて、ちょっとおもしろい。
昆布と肉の旨みのハーモニーが楽しい。
デザートのジェラートに続き、フィナーレを飾るのはメロンのズッパイングレーゼ。赤肉メロンたっぷり、リキュールがしみたスポンジの上のカスタードのムース上にはポートワインのジュレ。時を合わせたかのように、花火が打ちあがり、31階にあるリストランテの窓は特等席になりました。
リゾナーレ トマムでは、部屋の絶景風呂も楽しみのひとつ。温泉ではないけれど、この土地の鵡川(むかわ)水を使ったお風呂は気持ちいい、スイッチひとつでジェットバスになります。
星野リゾート リゾナーレトマム OTTO SETTE TOMAMU(オットセッテ トマム)
https://risonare.com/tomamu/summer/restaurant/otto-sette-tomamu/
*9/5からは秋メニューがスタート
*宿泊者も外来利用も可能(要予約)
石井宏子
公式Website http://www.onsenbeauty.com
ブログ「日本と世界の温泉を旅する旅行作家・石井宏子」
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