食いしん坊なのに料理は不得意なミーナです。今から修行するなら、「賢い調理法」を身に付けたいもの。ベジブロス・低音スチーミング・50℃洗い、ナカムラ先生が提案する、素材のパワーをいかす調理が気になります。
タカコ ナカムラさんに習う
「賢い3つの調理法」
タカコ ナカムラさんが提案する調理法は、素材の持つパワーを効率的に摂取できる方法です。
今回は、その3つの調理法を教えていただきます。
そのプロセスはいたってシンプルなので、コツをつかんで習慣にすれば、毎日の料理作りがぐんとラクに。献立も充実します。
タカコ ナカムラさん Takako Nakamura
profile
1957年生まれ。アメリカ遊学中にホールフードに目覚める。現在、食と暮らしと環境を丸ごと学ぶ「タカコ ナカムラ ホールフードスクール」主宰。近著に『奇跡の野菜だし ベジブロス』(パンローリング)がある。
http://wholefoodschool.com/
1.ベジブロス
使用する野菜に決まりはありません。いろいろな野菜を混ぜたほうが味がよく健康効果も高いので、ここで使用した野菜を基本に、好みの野菜を加えて。

ベースのだしとしていろいろな料理に利用できますが、まずはそのままストレートで味わってみてください。塩や味噌を加えたり、梅肉や塩麹を加えたり、好みの味つけで

❶玉ねぎの皮やヘタ、長ねぎの青い部分、にんじんの皮、大根の葉とヘタ、トマトのヘタ、かぼちゃの種とワタ、しいたけの軸や石づきなどからよいだしが出ます

❷大きめの鍋に水(約1ℓ)を入れ、よく洗った野菜の皮などの切れ端を入れる。火をつける前に酒(少量)を加え、野菜の臭みを消し、旨味を引き出します

❸弱火でコトコト20~30分煮る。強火だと野菜が煮くずれするので要注意。アクの成分も抗酸化作用たっぷりのファイトケミカルなので、取り除かないこと

❹ボウルの上にザルを置いて漉す。粗熱が取れたら保存容器に入れて冷蔵すれば3日程度保存可能。製氷皿に流し入れて凍らせておくと便利です
2.低温スチーミング
「蒸気の利用」を専門とする技術者であった平山一政氏が開発した調理方法。専用の鍋も販売されています。

❶まずはキッチンにある道具を使って挑戦。ガラス製ボウル(ふたとして使用)、ザル(素材を入れる)、網(素材をのせる)、鍋、キッチン温度計、タイマーを用意します

❷鍋に8分目程度まで水を入れて湯を沸かします。一度火を止め、鍋の上に網をのせ(キッチン温度計は鍋と網の間に挟む)、素材を入れたザルを網の上にのせます

❸ガラス製ボウルをかぶせる。網とボウルの間に隙間があると、温度が安定しないので注意。すっぽり覆うように。温度計の先が湯や鍋に触れないように注意してください

❹素材ごとに適切な温度&時間で蒸します。温度が上がりすぎたら、しばらく火を消します。下がったら再び火をつけて適温をキープ
3.50℃洗い
50±2℃程度の湯で。風呂の湯より高く、手をつけられるぎりぎりの熱さと覚えましょう。
野菜

トマトはそのままで。根菜類は泥付きのままでOK。葉物野菜はほぐすように洗って泥を落とします。43℃を下回ると腐敗菌が活性化するので注意!
肉・魚

肉や魚を50℃洗いすると、表面の酸化した脂分や臭みが抜け、さっぱりとした味に。給湯器から出る湯を使用する場合も流しかけるのではなく、つけて洗います
次回からは、これらの調理法で作ったお料理レシピを3品ご紹介していきます。
撮影/板野賢治 構成・原文/瀬戸由美子