体と脳によいといわれる、オイルについて勉強中のミーナです。でも、「油」にまつわる用語って、本当にたくさん。この回では、分類して効能なども解説しています。覚えきれないので、保存版ですよ!
今日の料理に使いたい種類がわかる!
オイル選びの基礎知識
健康に深くかかわる油脂。健康効果で話題の油もいろいろあり、何を選んだらよいのか迷ってしまいます。
ここでは、どの油にどんな効果があるのか、そして、それはなぜなのか、油を研究する専門家の後藤直宏さんに教えていただき、3回に分けてご紹介しています。
今回は、実はあまり知らない「油脂」にまつわる用語集です。
後藤直宏さん Naohiro Goto
profile
東京海洋大学大学院、海洋科学技術研究科海洋科学系、
食品生産科学部門准教授。
工学博士。日本油化学会、日本栄養・食糧学会会員。
共著に『機能性脂質の新展開』(シーエムシー)、
『第二版 油化学辞典』(丸善)がある
知っているようで知らない…。
油脂にまつわる用語集
[脂肪酸]
●オレイン酸
不飽和脂肪酸の中で最も酸化しにくく、血中の低密度リポタンパク質(一般的に悪玉コレステロールと呼ばれる)量を減少させる働きで注目を集めている。オリーブオイルに多い。
●パルミトレイン酸
マカデミアナッツなどナッツ系の油に多く含まれる。脳血管を丈夫にする働きがあるということで近年話題に。保湿効果も期待され、美容の面でも注目されている。
●リノール酸
多くの植物油に含まれるオメガ6系の不飽和脂肪酸。体内で合成できない必須脂肪酸だが、現代人の食事には多く含まれているため、近年ではとりすぎが心配される。
●α(アルファ)‒リノレン酸
オメガ3系の不飽和脂肪酸。えごま油や亜麻仁油に多く含まれ、体内でDHAに似た働きをする。脳神経や網膜機能に必須。血管の炎症を抑える作用もある。
●γ(ガンマ)‒リノレン酸
月見草油などに多く含まれる。アレルギーの抑制、PMS(月経前症候群)や、更年期症状の緩和などの効果が期待される。体内でリノール酸からも生成される。
●アラキドン酸
牛や豚の肝臓に多く、魚、牛、豚の肉にも少量含まれる。脳関門を通過できるため、脳細胞に多く存在する。脳の機能に不可欠。体内ではリノール酸から多く生成される。
●ドコサヘキサエン酸(DHA)
魚介類に多く含まれるオメガ3系の不飽和脂肪酸。脳関門を通過できる数少ない脂肪酸で、脳の細胞膜に多く存在し、脳の活性効果が期待される。体内では酸化を防ぐ作用も。
●エイコサペンタエン酸(EPA)
魚介類に多く含まれるオメガ3系の不飽和脂肪酸。別名イコサペンタエン酸。血小板の凝集抑制効果による動脈硬化予防や、血中の中性脂肪減少効果による高脂血症予防に期待が。
●ラウリン酸
ココナッツオイルやパームオイルに多く含まれる中鎖脂肪酸。素早くエネルギーになって体内に蓄積しにくい。母乳にも含まれ、免疫力強化や抗菌作用、抗炎症作用がある。
[中鎖脂肪酸]
母乳、牛乳やココナッツオイルなどに含まれる。「長鎖脂肪酸」に比べると鎖状の炭素の長さが短く、4〜5倍速く分解されて、短時間でエネルギーになる。
[植物ステロール]
ステロール骨格を持った分子で、豆類や穀類の胚芽など植物性の食品に含まれる。動物性食品からとったコレステロールの吸収を抑え、血中コレステロールを抑制する働きがある。
[コレステロール]
ステロール骨格を持った分子で、卵やエビ、ウナギなど、動物性の食品に含まれる。細胞膜の重要な構成要素。脳や神経に最も多く、ホルモンや胆汁を作る材料にもなる。
[γ(ガンマ)-オリザノール]
米、米油に含まれる特有の成分。血中コレステロールの低下、更年期症状の緩和、成長促進などの効果について研究が進められている。化粧品、医薬品業界からも注目される成分。
[中性脂肪]
人間の体を動かすエネルギー源。摂取した脂質のうち、使いきれずに余ったエネルギーは中性脂肪として体内に蓄えられる。肝臓で糖からも合成される。
[トコフェロール]
ビタミンEのこと。植物油に多く含まれる。体内では細胞膜中のリン脂質の酸化を抑制。さらに、遺伝子および遺伝子関連物質の損傷防止、タンパク質の損傷防止などの働きもある。
[ハイオレイック]
原料の品種改良によりオレイン酸率を高めた植物油。1990年代に入ってリノール酸のとりすぎの弊害が指摘されるようになり、開発された。紅花油、ひまわり油、菜種油など。
[サラダ油]
日本農林規格(JAS)の油の名称。「0℃で5・5時間以上置いても澄んだままの状態である」という基準を満たしたもので、冷却に対する安定性が高い。原料は大豆など。
撮影/板野賢治 構成・原文/瀬戸由美子 撮影協力/UTUWA