ヴィーガン生活、「だし」はどうする?の疑問にお答えします
こんにちは! 野菜料理家の庄司いずみです。
植物性100%の料理を紹介し、ヴィーガンの食生活を楽しんでいると、よく聞かれるのが「だしは?」という質問です。
和食ならかつおだしや煮干しだし、洋食ならチキンブイヨンなど、味のベースは動物性の素材を使うことが多いもの。「それを避けて料理が成り立つの?」と疑問をいだくのも無理からぬ話ですが、野菜の繊細な甘みやうまみを生かしたいときは、動物性のだしやブイヨンでは強すぎるように思います。
だから私が本やブログで紹介する料理はだし要らずレシピがたくさん。
きのこや海藻などの植物性の素材にもうまみやだしが出るものが多いですし、野菜のなかでもトマトにはグルタミン酸たっぷり。そら豆や枝豆などの茹で汁にもいいだしが出るので、それらをうまく組み合わせれば、だしいらず、ブイヨンいらずでも満足できるおいしさに仕上がります。
たとえば、ざく切りのえのきだけとカットわかめ、斜め切りの長ねぎをサッとひと煮立ちして塩をパラリ。乾物もいいですね。みそ汁をつくるとき、野菜と切り干しひとつまみを短時間にて味噌を溶き入れると、十分なおいしさにまとまります。
より味に深みを出したいときや、ちょっと手をかけて料理するなら、昆布だしや椎茸だしを使います。
昆布だしは鍋たっぷりの水に20㎝くらいにカットしただし昆布を2~3枚、椎茸だしなら同じく鍋たっぷりの水に干し椎茸を3~4個入れ、いずれもじっくりじっくり、弱火から加熱して煮出します。最初からグラグラ煮立ててはダメですよ。とくに干し椎茸はいきなり熱すると繊維が縮まってしまい、身が柔らかくならないし、うまみも風味も出なくなってしまいます。
時間が許すなら、水と昆布(または干し椎茸)を合わせただけの状態でしばらく置いてから火にかけると、うまみを存分に引き出せきます。子どもの頃、母は夜寝る前にだし昆布と水を鍋に入れ、朝起きてから火にかけ、グラッという前に昆布はとりだして、かつおぶしを入れて混合だしを取っていました。
一晩つけることができるなら、水出しだけでもOK。麦茶を入れるポットなどに水と昆布か椎茸、あるいは両方一緒に入れて冷蔵庫に常備しておくと、使いたいときいつでも使えます。
さて、こうしてだしをとっていると、たまってしょうがないのがだしがらの昆布や干し椎茸です。干し椎茸のほうはだしを取った後はふっくらと戻った状態なので、薄切りにして汁の実にしたり、煮ものに入れてもいいのですが、昆布のほうは……。
昆布巻きなどの料理に使うことができますが、そうしょっちゅうはこしらえられません。
というわけで、ある程度だしがらの昆布がたまったら、うちではひたすら千切りし、たっぷりの水と調味料でコトコト煮込み、佃煮というには薄味の、ごはんのおともを作ります。
昆布だけで煮てもいいのですが、人参やごぼうなどの野菜と炊き合わせたり、あるいは風味のいい香味野菜を一緒に刻んで入れてもおいしいものです。
たとえばこの日はカットした昆布のだしがら8~9枚とみょうが、それに大葉を炊き込みました。
調味料はしょうゆ、みりん、酒。これらを好きな味付け、好きな塩梅で最初から入れるだけ。もうひとつ忘れてならないのがお酢です。しょうゆの半量くらいの酢を入れると、煮ている間に酸味はとんでうまみだけが残りますし、酢は素材を柔らかくする作用があるからふっくら煮上がるんです。
うまく炊くコツは、しつこいかくらい気長に火にかけること。炊けば炊くほどふっくらおいしくなるので、何度も差し水をしながら40分以上、時間があれば1時間くらい弱火にかけるといいですよ。
香り野菜と昆布の薄味佃煮風
材料:作りやすい量
だしを取ったあとの昆布 8~9枚(細切りにする)
みょうが 1パック(3個・細切り)
大葉 1把(細切り)
しょうゆ、酒 各大さじ1と1/2
酢 小さじ2
1 材料全部を鍋に入れ、かぶるくらいの水(分量外)を注ぎ、中火にかける。
2 煮立ったら弱火にし、じっくりコトコト、好みの柔らかさになるまで含め煮する。途中煮詰まるようなら差し水をし、最後は煮汁がなくなるくらいまで煮含めたら出来上がり。
*保存期間は冷蔵庫で5日~1週間。味を濃いめにするほど日持ちはよくなりますが、薄味煮仕上げてたっぷり食べるのがおすすめです。
庄司いずみ
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