よく目にする「骨盤の歪み」。整体などで言われたことがある人も少なくないはず。でも、その歪みの正体ってなんでしょう? 本当のところを総合リハビリテーション学部教授、理学療法士の蒲田先生に聞きました。
習慣づいている姿勢や動作が
癒着、そして歪みに直結!?
骨盤に不具合が起こると、腰痛など近くの痛みだけでなく、他の不調につながります。例えば血行不良や冷え、むくみなどの症状も。ところで、「歪む」とはどういう状態でしょう?
「歪みの原因は、筋肉などの組織の“癒着”だと考えています。筋肉でも皮下脂肪でも、体の組織はすべて癒着する可能性があります。その結果、筋肉が強く緊張して、骨盤の歪みを引き起こします。歪みを直すべき筋肉の働きが低下すると、歪みが定着してしまうのです。その結果、仙腸関節に痛みが生じることも…」(蒲田先生)
では、そもそも癒着の原因は?
「それは生活習慣ですね。特に一日のうちで最も長い睡眠時の姿勢は重要です。同じ側を下にした横向き寝などがいい例です。毎日長時間同じ側が圧迫されることで癒着してしまうんですよ」
仙腸関節障害とは…
歪みは仙腸関節障害を招きます。仙腸関節は、ビルの免震構造のように脊椎のバランスをとっている部分。無理な姿勢の継続、繰り返しの負荷で小さな不適合が生じて痛みが出ている症状に、仙腸関節障害という病名がつけられることが増えました。症状と触診によって診断されますが、「日本仙腸関節研究会」のホームページで専門医を探すことをおすすめします。
http://www.sentyo-kansetsu.com/jp/
歪みの要因となる生活習慣とは?
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まずは歪みの要因を
取り除くことが大切
骨盤まわりの組織の癒着を引き起こすのは、何気ない日常の習慣など。同じ側を下にして寝る横向き寝や、寝返りがうまく打てない環境、長時間座り続けること、矯正下着などの長期使用…。完全な癒着が起こると運動ではがれることはなく、特別な治療が必要になることも。思い当たることがあれば、まずその原因を取り除くことが大切です。
次回は骨盤の傾き&歪みの代表的なパターンをご紹介します。
撮影/藤沢由加 ヘア&メイク/渡辺真由美 イラスト/内藤しなこ
構成・原文/蓮見則子