今回もリフォームについての知っておきたい基礎知識をご紹介します。リフォームをすると決めたら、まずは民間住宅診断等で、今の住まいの状態をきちんと調べておくことが大切なのだそう。住宅ジャーナリストの山本久美子さんに詳しい話を伺いました。
山本久美子さん
Kumiko Yamamoto
住宅ジャーナリスト。リクルートにて「週刊住宅情報」「都心に住む」の編集を経て、2004年に独立。著書に『今こそ! 中古マンション「得」する買い方・選び方』(小学館)。セミナーなども
現状を知れば
リフォームは怖くない
いざ、リフォームを始めたら、着工後に追加工事が増えて予算が大きく膨らんだ、という話をよく聞きます。一戸建ての場合は、床をはがしてみたら柱や土台が腐っていたというケースや、マンションでも配管が老朽化していた、など見積もり段階では想定できなかった問題が判明することが少なくありません。このように工事が始まってから必要になる追加工事だけでなく、「せっかくリフォームするなら」と施主が追加工事を求めるケースも多く、一般的に見積もりより実際の費用が増えてしまいがちです。
このように「工事が始まってみないとわからない」という予測不能な要素を含むのがリフォームであり、不安を感じる要因のひとつ。ゼロから作り上げる新築とは異なり、既存の建物を生かしながら、新たに価値ある空間に変えるところに難しさと面白さがあります。同じ築年数の建物でも、住まい方によっても状況が異なり、問題はさまざまです。
また、耐震基準が1981(昭和56)年に改定され、前より厳しい基準が設けられました。旧基準の建物の多くは新しい耐震基準を満たしていないため、リフォームと同時に耐震改修を行う場合は、どれくらい費用がかかるかなど、知っておくと資金計画に役立ちます。
住まいの現状を知るにはホームインスペクション(民間住宅診断)を受けるのもひとつの方法です。住宅に精通した専門の住宅診断士が住宅の劣化や改修すべき箇所やその時期、さらにおおよその費用を教えてくれます。人間でいうところの健康診断のようなもの。第三者の立場で見てくれるため、住まいの状態を客観的に把握できます。インスペクションの費用は検査機関によって異なり、また物件の構造や状態、広さ、設計図面の有無などによっても異なります。診断範囲を広げたり、特定の機器を使って調査する場合は、さらに上乗せされますが、最低でも約8万〜10万円を見積もっておいたほうがよいでしょう。このようなインスペクションを受けないとしても、水まわりから悪臭がする、天井にシミがあるなど、住まいの変化を自分でも見逃さず、早めにメンテナンスやリフォームを行いましょう。
マンションでは浴室やトイレ、キッチンといった水まわり、戸建ては水まわりを中心に屋根や外壁を検討する割合が高い。(住宅リフォーム推進協議会のリフォーム意識調査より)
次回は知っておきたいリフォームの基礎知識の3回目をご紹介します。
撮影/富士 晃 イラスト/かくたりかこ 取材・原文/小森知佳