骨粗しょう症について知る特集の第一弾。美と健康にかかわる仕事を持つアワエイジ世代の皆さんのリアルな骨折体験と対応策を語ってもらいました。今回は松浦美穂さんです。
Miho Matsuura
松浦美穂さん
背骨の圧迫骨折で絶対安静…
心の休養にもなった2カ月
ジムで無理をして
胸椎8番の圧迫骨折
「実は骨折していることに、しばらく気づきませんでした。背中に痛みはあったのですが、筋肉疲労だと思い、鍼灸の診療所に行っていました。ところが痛みが改善しないので、調べたら、背骨・胸椎8番を圧迫骨折していました」
胸椎8番はちょうど、松浦さんがヘアカット時にとる少し前かがみになる姿勢で、日常的に負担がかかっている部分。これをジムでちょっと無理をしたことで、圧迫していたようです。
骨折の事実を知ったところで、間近に迫ったロスへの2週間ロケの仕事はキャンセルできないと決行。その際は、まわりの人たちの協力で、背骨の負担を最小限に。
帰国後、改めて専門医のいる病院を受診。そこで言われた治療法は、2カ月の絶対安静か、手術かでした。
「手術のリスクを考慮して、悩みながら2カ月の安静を選びました。ヘアサロンの私の予約は3カ月先まで埋まっていましたが、状況を説明し、すべてキャンセルさせていただきました」
そして背骨を固定するギプスを装着し、自宅で約2カ月のベッド生活に。
「お客さまには本当に大変なご迷惑をおかけしてしまい、考えれば考えるほど落ち込む日が数日続きました」
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骨折を機に将来の
やるべきことが見えてきた
「ところが、もうこの状況を受け入れるしかありません。そこで毎日、映画三昧と1日1杯だけの利き酒を楽しむことにしました(笑)。おかげさまで映画とお酒に詳しくなったし、この休養で心のゆとりが戻ってきました」
日本語には“骨を折る”“ 骨休め”など骨を使った言葉があります。
「今回、骨折して改めて感じたことは、“骨を休めて(=休養をとって)、リセットする時期が必要”だということです。つい、目の前にある仕事をこなすだけの日々に陥りがちですが、本来自分がやるべきこと、やりたかったことを思い出すことはとても重要。思いがけない休養が、それに気づかせてくれました。骨折は神さまのプレゼントなのでは? と思えるくらいです」
このアクシデントを経て、養生中にふくらんだ“やるべきこと”に一歩を踏み出したという、どこまでも前向きな松浦さん。
その後、自分の体の状態を知っておくため、改めてクリニックで骨密度や各ホルモン値などを測定。そして、骨の健康のために15年ほど前から始めた水中ウォーキングを復活させ、ストレッチ、整体で呼吸を整えたりしています。ほかにコラーゲンや青汁などの健康食品の摂取のほか、手作りの「昆布水」と「玉ねぎヨーグルト」を実践中。
「昆布水はそのまま飲んだり、お味噌汁やご飯を炊くときにも活用。玉ねぎヨーグルトはドレッシングや料理の調味料としても使えるので、とても重宝しています」
[左]水にカルシウム豊富な真昆布を5㎝くらいに切って漬けるだけ。味噌汁のだしにも使えます。
[右]ヨーグルト1パック(400g)、みじん切りにした玉ねぎ1個分、ひとつまみの塩を入れて、2~3日冷蔵庫に置くと発酵します。そのままでも、ドレッシングや調味料にも
次回は、ヘア&メイクアップアーティスト木下庸子さんの体験談をご紹介します。
構成・原文/山村浩子