“脳トレ”しなくちゃ、と痛感する「あれあれ、それそれ」な言動が増えているミーナです。
長年、人工知能のエンジニアとして脳の研究をされてきた黒川先生。脳科学者が実践する脳トレ生活に、興味津々です。
脳科学者・黒川伊保子先生が実践!
次の50年を輝かせる脳トレ生活
これからの50年を快適に過ごすために、脳の専門家はどんなことに気をつけているのか、黒川伊保子先生に伺いました。
先生が考える、普段の生活の中で脳を育てるために必要なこと、そして、具体的にご自身が日々実際に行っている脳トレの方法とを2回に分けてご紹介します。
黒川伊保子さん Ihoko Kurokawa
profile
1959年生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて、14年にわたり人工知能(AI)の研究開発に従事。後にコンサルタント会社、民間の研究所を経て、2003年に感性リサーチを設立
http://www.ihoko.com/
睡眠、食、運動、そして
脳への刺激で脳育てを
私は長年、人工知能のエンジニアとして脳の研究をしてきました。脳を「装置」として見立て、どのような入力に対してどのような演算が行われ、どう出力されるのかを追求するのが私の仕事です。そして自分でも次の50年を輝かせるために、脳を健やかに育てる「脳トレ生活」を実践しています。
まず夜は23時に寝て、朝5時45分に起床。脳は、毎朝同じ時間に起きたほうが眠りをプログラミングしやすくなるので、遅く寝てもこの時間に起きます。朝の日差しを目撃して、幸福ホルモン「セロトニン」を誘発します。
朝食には卵、少しの果物、牛乳で溶いたプロテイン、サプリメントを。脳にエネルギーをあげるため、GI値の低いそば粉のパンケーキやガレット、五穀米などの炭水化物もいただきます。昼食と夕食は、野菜とタンパク質をメインにしたメニューが基本です。
また、脳を進化させるために不可欠なホルモンは「ドーパミン」と「ノルアドレナリン」ですが、これらを同時に出すには運動するしかありません。
そこで私が選んだのは、ボールルームダンス。脳内イメージを身体運動になぞらえること、音楽に合わせて筋肉への制御信号を送ることの2点が、特に脳にいい。直感力が身につきます。
さらに脳を刺激するため、外国語のレッスンも受けています。学生時代に追い詰められた英語はストレスが大きいので、気楽で、より刺激が大きい未知の言語、イタリア語を。同時に料理も習い、相乗効果をねらいます。
入浴時には、足裏を磨き余分な角質を除去します。足から脳への信号で、脳全体が活性化。かかともすべすべに。
睡眠も脳トレには欠かせない要素。就寝時、体の各部位の温度は一定ではなく、ホルモンと脳が熱の分布を変えています。枕も布団もそれを邪魔しないよう、程よく放熱し保温するものを選ぶことが大切。
睡眠の時間帯だけでなく、寝具にもこだわることで睡眠の質はぐんと上がります。
次回は、黒川先生も実践している、おすすめの「脳育て」の方法をご紹介します。
撮影/小山志麻 構成・原文/上田恵子