これまでご紹介した多機能ツボBEST10を使う実践編、いよいよスタートです!実はミーナは頭痛持ち。これまでは、頭痛薬に頼ることが多かったので、ツボ押しに期待大!しかも、頭痛の原因別にツボがセレクトされているので、10個のツボ、しっかりマスターします。
どのツボを選んで、どう押せば効く?
症状の原因にアプローチしたツボ選び
「頭が痛いなら頭のツボでしょ」「肩コリには肩にあるツボよね」と思ってしまうのは、私たち素人の考え方。
東洋医学のプロは、その症状を起こしている原因にアプローチしてツボを選びます。
島田先生のセレクトは、これまで紹介した手と足のツボ10個だけ!
島田流の押し方は2通り
東洋医学では「虚」に対しては足りないものを補う(補法)、「実」に対しては滞っているものを流す(瀉法)という考え方で治療します。ツボの場合、補法は弱い刺激、瀉法は強めの刺激のこと。強い・弱いの2通りの押し方を使い分ければ効果は確実にアップ!
補法(=ヤワヤワ押し)、瀉法(=グリグリ押し)の使い分けに注目して実践してください。
今回は、痛みの種類から原因を推定、【頭痛】に効くツボを選びました。
東洋医学では痛みの種類によって、その原因をある程度特定することができます。
よくある【頭痛】の種類から、「気血水」のうち何が異常なのかを推測し、それに対応するツボと押し方を紹介します。
東洋医学で使われる「気・血・水」とは・・・
「気」は目には見えないエネルギー、「血」は血液とそれに含まれる栄養素、「水」は血液以外のすべての体液。この3つが体の中を巡ってバランスをとり、健康が保たれているというのが東洋医学の考え方。
3要素の過不足や流れの停滞など、異常な状態を「気逆」「気虚」「気滞」「瘀血」「血虚」「水毒」などと分類して表します。
■キリなどで刺されたような鋭い痛み(場所は固定)
↓
●血の流れの停滞=瘀血(おけつ)
血の流れが悪く停滞している状態を「瘀血」といい、気の不足、気の停滞、冷えなどで起こります。刺すような痛みや肌のくすみなどが特徴です。
島田セレクトは…
三陰交は全身の血の状態を改善するツボ。血の流れの停滞(=実)を取り除くため、瀉法「グリグリ押し」で。
■頭が締めつけられるような痛み(天気が悪いと悪化)
↓
●水の流れの停滞=水毒
余分な水が体に停滞して頭痛などの不調が現れる「水毒」。飲酒や冷たいものをとりすぎることで起こり、湿度が高いとだるさを感じることもあります。
島田セレクトは…
合谷は頭の痛み全般に効果的なツボ。気も水も流してくれます。停滞(=実)に対応するのは瀉法。やはり「グリグリ押し」で対応します。
■我慢できる程度の鈍痛(疲れると悪化、休むと軽減)
↓
●気の不足=気虚
元気のもとである〝気〞。不足すると全身の機能が低下して、やる気も起きなくなり、頭が重い、痛いと感じます。休息すると回復するのが特徴です。
島田セレクトは…
足三里は胃と関係が深く、元気を取り戻す力があるツボ。気が不足(=虚)している症状には、補法がよいので「ヤワヤワ押し」でOKです。
■特定の場所が痛む片頭痛(精神的な緊張で悪化)
↓
●気の流れの停滞=気滞
気の流れが悪いと落ち込みやすく、精神的な緊張から頭痛につながります。上から下へ流れる正常な循環が乱れ、ほてりなども出やすい症状です。
島田セレクトは…
太衝は気の流れと関係が深い〝肝〞を治すツボで、上下の流れを正常化してくれます。停滞(=実)に対しては瀉法「グリグリ押し」を。
監修:島田 力さん Tsutomu Shimada
profile
「スクール・トリートメント・カフェ気流」代表、フィットフード協会理事、鍼灸師。父の影響で東洋医学の世界へ。専門学校での鍼灸教育、在宅鍼灸臨床への取り組み、東洋医学外来設立などにも参加。東洋医学に基づく暮らしを提案しつつ、鍼灸治療、セミナー開催、執筆などの活動中。
次回は、【冷え】の症状に効くツボ&ツボ押しをご紹介します。
撮影/広瀬壮太郞 ヘア&メイク/木村三喜
イラスト/福井信明(HOPBOX) 構成・原文/蓮見則子