大好評のツボ押しセルフケア。今回は、だるさ・倦怠感の改善に効くツボのご紹介です。なんとなく仕事がはかどらない時、ミーナもこのツボ押しで頑張ろうっと。
どのツボを選んで、どう押せば効く?
症状の原因にアプローチしたツボ選び
「頭が痛いなら頭のツボでしょ」「肩コリには肩にあるツボよね」と思ってしまうのは、私たち素人の考え方。 東洋医学のプロは、その症状を起こしている原因にアプローチしてツボを選びます。
島田先生のセレクトは、これまで紹介した手と足のツボ10個だけ!
島田流の押し方は2通り
東洋医学では「虚」に対しては足りないものを補う(補法)、「実」に対しては滞っているものを流す(瀉法)という考え方で治療します。ツボの場合、補法は弱い刺激、瀉法は強めの刺激のこと。強い・弱いの2通りの押し方を使い分ければ効果は確実にアップ!
補法(=ヤワヤワ押し)、瀉法(=グリグリ押し)の使い分けに注目して実践してください。
今回は、【だるさ・倦怠感】に効くツボをご紹介します。
なんだかだるい、疲れている感じがする…というのも40~50代女性に多い不調。それ以外にどんな症状がありますか?
それによって対応するツボを使い分けると効果が期待できます。
■気力がわかない
■やる気が出ない
■元気がない
■いつも疲れている
↓
気の不足=気虚
元気のもとである気が不足すると気力ややる気が出なくなり、何をするのもパワー不足に。精神的にだけでなく、体もだるく感じます。
島田セレクトは…
三陰交と足三里は胃腸から元気にしてくれるツボです。気が不足している(=虚)ことに対しては、どちらのツボも補法「ヤワヤワ押し」で対応します。
■胸が苦しい感じ
■胃がつかえる感じ
■むくみやすい
■天気が悪いとだるい
↓
水の流れの停滞=水毒
水の巡りが悪いと胸や胃に水がたまり、つかえた感じがします。足はむくみやすく、湿度に反応するため天気が悪いとだるさを感じる人もいます。
島田セレクトは…
太渓は〝腎〞の働きを助けて水の代謝を上げるため、補法「ヤワヤワ押し」。足三里は胃のつかえを取るため、瀉法「グリグリ押し」を行います。
column
日・中・韓ではツボが違う!?
もともとは中国伝統医学であるツボ。最近では世界標準のツボ(経穴)が統一されていますが、統一されたのは、つい最近のことだと知っていましたか?
数千年に及ぶツボの歴史で、最初に統一が図られたのは1026年。それでも中国・韓国・日本と、各国で少しずつ独自の発展を遂げたため、用語や位置が少しずつずれてきていました。当然、日本でツボを学んだ鍼灸師や指圧師と、中国・韓国でツボを学んだ人は、違うツボを使っていたわけです。
欧米でも東洋医学が普及する兆しが表れ、WHOの働きかけでツボの部位の違いを再統一する検討がされたのは1990年代。まだ二十数年前のことです。最終的には2006年の経穴部位国際標準化会議で361個のツボが合意され、2008年に公式英語版が出版されたばかり。
統一前に鍼灸や指圧を学んだ人たちの苦労がしのばれるエピソードです。
監修:島田 力さん Tsutomu Shimada
profile
「スクール・トリートメント・カフェ気流」代表、フィットフード協会理事、鍼灸師。父の影響で東洋医学の世界へ。専門学校での鍼灸教育、在宅鍼灸臨床への取り組み、東洋医学外来設立などにも参加。東洋医学に基づく暮らしを提案しつつ、鍼灸治療、セミナー開催、執筆などの活動中。
http://kiryu-bws.jp
次回は、伴う症状で原因が違うという【心の悩み】に効くツボをご紹介します。
撮影/広瀬壮太郞 イラスト/福井信明(HOPBOX) 構成・原文/蓮見則子