聞き慣れない「仙腸関節不安定症」、時には激しい痛みを伴うそう。重い荷物を片側だけで持ち続けることも、原因のひとつだそう。いつも左肩に重〜い仕事の荷物を持っているミーナ、バランスに気をつけなくては、です。
股関節の不調に悩む読者の診察レポート。
ラスト4人目の荒井さんは、虫垂炎を疑うほどの痛みを経験したとか。
格子先生はその原因を一体どのように診断したのでしょうか?
荒井悦子さん Etsuko Arai
1955年まれ。ウエディングドレスデザイナー
「痛みを自分自身が作り出していたとは…。
原因不明で心配だった痛み、ついに決別できそうです!」
初めは、あまりの痛みに虫垂炎かもしれないと思ったという荒井さん。
調べても原因がわからないまま、
股関節やお尻、腰の痛みは弱いながらも続いていました。
今回、格子先生の診察によって、
骨盤と腰椎の歪み、そして仙腸関節の障害であるとわかりました。
聞き慣れない「仙腸関節不安定症」ですが、
実は腰痛や股関節痛を訴える人の中には、
これが痛みの原因になっていることが多いのだそう。
仙腸関節不安定症とは?
「仙腸関節」とは、その名の通り「仙骨」と「腸骨」の間にある関節です。
周囲の靭帯で強く連結されていて、
ほんの数㎜の動きしかしない小さな関節。
骨盤のねじれや、繰り返しの不安定な動作や、
出産、大きな負荷によって仙腸関節に不適合な緩みが生じ、
痛みが出ることを仙腸関節不安定症、
または仙腸関節症と呼びます。
痛みは仙腸関節付近にとどまらず、股関節やお尻、腰など。
女性に多く、痛む場所が移動するのも特徴です。
診断が難しく、腰痛や股関節痛と思い込んだままのことが少なくありません。
体の歪みを作っていたのは単純に「右利き」でした
「そんなに体に歪みがあるとはちょっとショックですが、
原因がわかってよかった。
右で重い荷物を持っているときに最初の痛みが出たので、
なるほど〜と思いました。
触られれば、仙腸関節の周辺は痛いんです。
理学療法で治ると言っていただいたので、
さっそく週に1回は通いたいと思います」
次回、骨盤調整が必要な荒井さんにおうちでできるエクササイズを伝授します。
中村格子さん Kakuko Nakamura
profile
1966年生まれ。整形外科医、医学博士。
Dr. KAKUKO スポーツクリニック院長。
横浜市立大学整形外科客員教授。
2014年4月、スタジオを備えた整形外科クリニックを代官山にオープン。
健康の大切さを伝え、多くの著書(『実はスゴイ!大人のラジオ体操』など)の出版や講演、メディア出演と幅広く活動。
外崎生才さん Futoshi Tonosaki
理学療法士、スポーツトレーナー。
撮影/小山志麻 矢部ひとみ
構成・原文/蓮見則子