OurAge世代にぜひ読んでほしい、「心と体のサプリ」になるような本を紹介します!
今回、オススメ本をご紹介してくださるのは、漫画家の槇村さとるさんです。
私を原点回帰させてくれる本、
私に元気をくれる本。
『着るということ』は、自分が30代になって、初めて「着る」ことに目覚めたときに出会った本です。洋服を着こなす際の基本がバチッと書いてあって、読み返すたびに「私のファッションのベースがここにある」と改めて思わされます。
かなり前に書かれたものですが、今読み返しても全然古くないのもすごいです。
パンツのフィット感とは何かとか、自分に合ったスカート丈を探せとか、色はこの色だけでいいとか、日本のドメスティックな情報とはちょっと違うところも勉強になります。年齢を重ねるにつれ、着ることに迷いを感じるようになった人にもおすすめです。
おとぎ話みたいな『「いのち」を養う食』も大好きな一冊です。
著者は、福祉活動家で教育者の佐藤初女さん。青森の弘前で、「森のイスキア」(心に苦しみを抱え、救いを求めてやってくる人たちと、食事を共にして寄り添う施設)を
営んでいらっしゃる方です。
この本では、おにぎりや梅干し、漬物、煮物など、初女さんが作る素朴な家庭料理と、彼女の食に対する思いが紹介されています。
だしを丁寧にとり、野菜をゆがき、心を込めておむすびを握る。彼女は訪れた人の話を聴き、ご飯を食べさせるだけなのですが、それで皆が癒されるというのが本を読む
とよくわかる気がします。
今は食に関する情報が氾濫しすぎて、何が正しいのか判断に迷うことも多いですよね。そんな時代にあってこの本は、食べることの大切さと、「やっぱりご飯でいい
んだ!」ということを再確認させてくれる一冊だと思います。
最後は、気持ちが凹んだときに読む『悩むが花』。これは伊集院静さんの人生相談をまとめたものですが、回答が乱暴で、読むたびに笑ってしまいます。
例えば「夫が亡くなり死亡退職金が3千万円入ったが、銀行員の勧誘にうんざり。とはいえ使い道もなく困っている」という主婦の相談には、「ワシが使ってやるから持ってき
なさい」で終わり(笑)。
私は、考え方がマッチョな男性が苦手なのですが、伊集院さんはそのバランスが絶妙。「クヨクヨしていても仕方ない!」と元気が出ますよ。
<ケイコ>
『悩むが花』伊集院静 著/文藝春秋 800円
『「いのち」を養う食』佐藤初女 著/講談社 1400円
『着るということ』水野正夫 著/藍書房 1500円
※すべて税別
Satoru Makimura
漫画家。’73年に集英社「別冊マーガレット」でデビュー。『おいしい関係』『イマジン』『Real Clothes』など、人気作多数。女性漫画誌を中心に、精力的に執筆中。近著に『一生使えるファッションノート』(ポプラ社 1300円・税別)がある。
撮影/板野賢治(書籍)、村田彩香(オフィス北北西)(槇村さん)