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過敏性腸症候群(IBS)とは?その対策や治療法/教えてDr.!第2回 

ちょっと気になる病気 教えてDr.!

IBS 過敏性腸症候群

 

 

私がお答えします!

国立病院機構 久里浜医療センター 内視鏡部長

水上 健さん Takeshi Mizukami

専門は大腸内視鏡検査・治療、過敏性腸症候群、便秘の診断・治療。横浜市立市民病院内視鏡センター長などを経て現職。テレビ出演、新聞や雑誌への掲載、著書も多数

 

 

相談

なにかにつけてお腹が下りがち。特にストレスを感じていないのですが、これも過敏性腸症候群なのでしょうか?

 

答え

過敏性腸症候群の症状や原因はいくつかあります。まずは、ほかに重大な病気が隠れていないか検査を!

 

 

自分で行う対策

①ストレス型/体質を受け入れ前向きにあきらめる。

②胆汁性下痢型/生活リズムを工夫する。

③腸管形態型/マッサージや運動を。

 

病院で行う治療法

ほかの病気が隠れていないか検査を行う。

ストレス型と胆汁性下痢型には特効薬がある。

 

 

過敏性腸症候群

お腹が痛くなる便秘や下痢、その両方を繰り返す病気です。

 

過敏性腸症候群(以下IBS)の患者は日本に約20 %。5人に1人はかかっている可能性がある、とても身近な病気です。IBSというと、過敏性という日本での病名から、ストレスに弱い人がかかる病気だと思いがちです。もちろん、ストレス性のものもありますが、実は原因はそれだけではありません。

IBSの国際診断の基準は「1カ月のうち3日以上、お腹の痛みや張りなどの症状があり、下痢でも便秘でも、便が出れば楽になるもの」と定められています。そして、こうした症状を引き起こすほかの病気(例えば大腸がんなど)ではない場合に、IBSと診断されます。

おもな症状は下痢型、便秘型、その混合型の3つ。またIBSは体質によって起こる病気で、その原因で分類すると3つのタイプがあります。

 

①腸がストレスに過敏に反応する=ストレス型。ストレス感度が敏感で、もともとは緊張すると下痢をしやすい程度だったものが、ストレスと下痢がリンクして悪循環に陥ることがあります。例えば、電車の中で便意を催し、漏らしたらどうしようという恐怖から、ストレスが増強され、電車に乗ると必ずお腹が痛くなるといった具合。特に思春期の若い人に多く見られます。自分で行える解決策は「体質だから仕方ない」と前向きにあきらめることで、症状が軽くなることがあります。

 

②食事直後に胆汁が原因の下痢を起こす=胆汁性下痢型。消化液である胆汁に過剰反応して、食中や食後に便意を催すタイプです。解決策は 食後に便を出せるような環境を確保することです。

 

③腸の形から、運動不足になると便秘や下痢になる=腸管形態型。実は45~60歳の女性にはこのタイプが多く、この相談者も特にストレスを 感じていないのなら、ここに分類される可能性があります。

 

大腸は医学書で見るような形態ばかりではなく、曲がりくねっていたり、ねじれている人も多くいます。こういう人が運動不足になると、腸 のねじれ部分に便が引っかかって便秘になり、その硬い便の栓が取れると下痢になります。

特に腹痛を伴う便秘や下痢を繰り返すようなら、このタイプの可能性が高いでしょう。解決策は運動や腸のマッサージが中心になります。

 

最近は①のストレス型、②の胆汁性下痢型には特効薬があります。診断で原因を明らかにして、適切に治療を行えば、意外と簡単に解決する 病気でもあります。

 

 

イラスト/macco 取材・原文/山村浩子

 

 

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