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睡眠中も交感神経が優位な人は免疫力が低下して風邪をひきやすい!?/根来秀行教授の「自律神経を整える安眠講座②」

根来秀行 さん

根来秀行 さん

医師、医学博士。1967年、東京都生まれ。この連載から生まれた『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(いずれも集英社)が好評発売中。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授のほか、奈良県立医科大学、信州大学特任教授、高野山大学など、複数の大学の客員教授・教授を兼任。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

Hideyuki Negoro MD and PhD

Professor of Medicine, Director, Visiting Professor

Harvard Medical School
University of Paris
The Graduate School of Project Design
University of Tokyo
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最近の研究では、睡眠中の自律神経の状態は、免疫機能も左右することがわかってきました。睡眠医学を専門のひとつとするハーバード大学&ソルボンヌ大学客員教授・根来秀行さんに、詳しく伺いました。

睡眠中も交感神経に偏りがちな人は風邪をひきやすい

下のグラフは、根来教授がハーバード大学で実施した、健康な人と風邪をひきやすい人の自律神経のバランスを計測した睡眠中のデータを抽出したもの。

 

風邪をひきやすい人は健康な人に比べ、明らかに交感神経が優位の時間が長く、しかも副交感神経が上がりにくいという結果に。

●健康な人は夜の時間帯に副交感神経が上がります。一方、免疫が低下した(風邪をひきやすい)人は夜になっても副交感神経が上がらない!

健康な人と風邪をひきやすい人の自律神経のバランスを計測した睡眠中のデータを抽出したグラフ

「カリフォルニア大学の研究では、睡眠時間が6時間未満の人が風邪をひく確率は4倍以上。また、睡眠時間が6時間未満の人は、7時間以上眠っている人に比べて、B型肝炎のワクチンの有効性が11.5倍も低いという報告が。

 

睡眠と免疫の働きは表裏一体で、睡眠中の副交感神経をしっかり高めることが免疫の機能を適度に上げることにつながると考えられます」

 

自律神経は免疫細胞の司令塔です

自律神経は無意識のうちに体の機能を調整していますが、自己防衛システムの要である免疫細胞の白血球とも連動しています。

昼間などの活動時に主に働く交感神経が優位なときは、白血球のうちの顆粒球が増え、夜間などの休息時に主に働く副交感神経が優位なときは、白血球のうちのリンパ球が増え、それぞれのテリトリーで免疫機能を高め、細菌やウイルス、がん細胞などから体を守ってくれているのです。

 

●交感神経&顆粒球 VS. 細菌

交感神経&顆粒球 VS. 細菌

交感神経は比較的大きな外敵と戦う白血球のひとつ、顆粒球をコントロールしています。交感神経が刺激されると顆粒球の割合が高くなり、外から侵入してきた細菌や古い細胞の死骸などを食べて処理して、感染症を防いでくれます。

 

しかし、交感神経が優位になりすぎて顆粒球が増えすぎると、体内の常在菌を攻撃して化膿性の炎症を起こしたり、体の酸化を招く活性酸素が大量発生して、口内炎や急性虫垂炎、胃潰瘍などの病気を引き起こしたり、シミやシワなど皮膚の老化を招きます。

 

●副交感神経&リンパ球 VS. ウイルス

副交感神経&リンパ球 VS. ウイルス

副交感神経は比較的小さな外敵と戦う白血球のひとつ、リンパ球をコントロールしています。副交感神経が刺激されるとリンパ球の割合が高くなり、ウイルスやがん細胞などを無毒化する抗体を作って、体を守ってくれます。

 

睡眠不足や過度のストレスなどで副交感神経の働きが抑制されると、リンパ球が不足し、風邪などのウイルス感染が起こりやすくなってしまいます。

 

逆に、副交感神経が優位になりすぎてリンパ球が増えすぎると、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を引き起こしやすくなります。

 

自律神経を整えて免疫細胞に十分に働いてもらうには、睡眠中の副交感神経をしっかり高めることが大切です。次回からは、そのために気を付けたい生活習慣の注意点を根来教授に解説していただきます。乞うご期待!

 

皆さん今日も素敵な一日を!

 

根来秀行先生

根来秀行さん
Hideyuki Negoro

ハーバード大学医学部客員教授(Harvard PKD Center Collaborator, Visiting Professor)、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など。著書に『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(ともに集英社)など

 

 

撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン 構成・原文/石丸久美子

 

 

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