【教えていただいた方】
大阪・心斎橋のサロン「B HAPPY」で鍼灸・美容鍼灸やパーソナルトレーニングを行うほか、インストラクターやセラピスト向けのカラダの講座を開講中。大阪・豊中の「岩塩ヨガスタジオ 四季」で五臓ヨガのクラスも担当。また、子どもを中心とした運動教室「カラダツクルスクール」でも活躍中。幅広い方法で健康・美容にアプローチする、カラダメンテナンスの専門家。 「サトシ "鍼灸とヨガとシンギングボウル"」インスタグラム:@sa.to.shi.f 「B HAPPY」インスタグラム:@b.happy3104 「岩塩ヨガスタジオ 四季」インスタグラム:@ganenshiki 「カラダツクルスクール」インスタグラム:@karadatsukuruschool
40代、50代の「更年期の不調」緩和にもおすすめ!
東洋医学×ヨガ=「五臓ヨガ」ってどんなもの?
東洋医学の考え方とヨガの動きを掛け合わせた、「五臓ヨガ」。
誰でも無理なく行うことができ、体と心の不調を軽減する効果が期待できるメソッドです。
その考案者である、カラダメンテナンスの専門家・Satoshi 先生に、「五臓ヨガ」とはどんなものなのか、40代、50代の更年期にあたる、OurAge世代の体や心にどのような効果があるのかを聞きました。
「『五臓ヨガ』は、もともと親和性の高いふたつのメソッド、東洋医学とヨガを掛け合わせた、独自のスタイルのヨガです。
“五臓”とは、東洋医学でいう“肝・心・脾・肺・腎”の5つの内臓のこと。
『五臓ヨガ』では、経穴(ツボ)と経絡(けいらく=気血というエネルギーの通り道)を意識しながら動くことで、五臓のバランスを整え、体と心を健康な状態へと導いていきます。
僕は、約20年間、鍼灸師や柔道整復師として、さまざまな症状に悩む方と向き合ってきました。
これまでにみてきた方は、0歳の赤ちゃんから101歳の高齢の方まで、年代もさまざま。
その中でも、特に不調が多かったのは40代~50代の方々。
症状が施術で治ることもあれば、それだけでは治らないこともあるのが現実でした。
そこで、サロンや治療院での受動的な“施術”に加えて、自宅での能動的な“運動”も取り入れることで、皆さんに本物の健康を手に入れていただきたいと思い、『五臓ヨガ』を考えたんです。
『五臓ヨガ』は、無理のない範囲で行う、ツボ押しとポーズが基本。忙しくても体が硬くても大丈夫。短時間で簡単にできるので、ぜひ気軽に挑戦してみてください」(Satoshi 先生)
最初に覚えたいのは、「五臓ヨガ」のすべての基本となるツボとポーズ。
体全体の気血の巡りをよくします。
日々の習慣にして不調を予防&緩和しましょう
初回は、「基本編」として、体全体のバランスを整えるツボとポーズを覚えましょう。
自律神経症状への効果が期待できるため、不眠、不安、ストレスのほか、更年期世代に多い、ほてりやホットフラッシュなどの不調に悩む方にもおすすめです。
「東洋医学の考え方は、古代中国で生まれた“陰陽五行説”に基づいています。
『基本編』では、体を流れる経絡の元になる、督脈(とくみゃく=体の背面を背骨に沿って流れる、陽の経絡の統括)と任脈(にんみゃく=体の前面を正中線に沿って流れる、陰の経絡の統括)を動かし整えることで、体全体の気血の巡りをよくしていきます」
「五臓ヨガ」の基本となるツボとポーズ、以下、ふたつの方法をご紹介します。
■五臓ヨガ【ツボ編】
基本のツボ「膻中(だんちゅう)」を刺激する
「膻中は、『一切の気の病に効くツボ』といわれているため、自律神経症状がつらいときはもちろん、そうでないときもぜひ習慣に。
毎日取り入れるなら、起床時、就寝前に、横になったまま行うのがおすすめです。
日中の起きているときや、仕事の合間などに行う場合は、座った状態でもOKです。
下の写真は座った状態でツボを刺激していますが、横になった姿勢の場合も、同様の方法で行ってください。
ツボの刺激は15秒程度が基本ですが、起床時・就寝前に行う際は、長めに1分くらい行ってもよいでしょう」
ツボ「膻中」の位置:体の前面の正中線上で、両方の乳首の真ん中。
ツボ「膻中」の押し方:両方の手のひらを重ね、軽く圧迫します。心臓の鼓動を感じながら、目を閉じてゆっくり呼吸。15秒程度、行ってください。
【注意点】:これを行っている間は、息を止めないようにしましょう。また押すときは、“痛気持ちいい程度”の力加減で行いましょう。
効能:不眠、不安、ストレス、ほてり、ホットフラッシュなど
■五臓ヨガ【ポーズ編】
基本の「督脈・任脈のポーズ」を行う
「呼吸をしながら、ゆっくりと体の軸となる背骨を動かし、陰陽の経絡を整えるポーズ。
背骨周辺の筋肉を緩めることで、そこを通る自律神経の働きを活性化させることができます。
『五臓ヨガ』のレッスンでは、まずこのポーズで陰陽のバランスを整えてから、各部の調整に入るほどの、基本となる動き。
時間がないとき、しんどいとき、どのポーズをするか迷ったときは、これを行うだけでもOKです」
【1】
両膝を肩幅より広めに開き、お尻をかかとにつけます。
両手は肩幅に開き、遠くに伸ばします。
肩や首の力を抜いて、ゆっくり呼吸を続けます。
【2】
息を吸いながら前に体重を移動させます。
できるだけ背中を丸め、胸やお腹を高い位置に持っていきながら動かすのがポイント。
【3】
息を吐きながら、恥骨から足先までを床につけます。
手の上に肩がくるようにして、首と肩の力を抜きます。
恥骨は完全に床につかなくてもOK。
【4】
息を吸いながら背中を丸め、息を吐きながら後ろに体重を移動させて、【1】に戻ります。
【1】~【4】の動きを、3~5回繰り返します。
●この動きはNG!
【2】や【4】で体重移動を行う際は、背中を丸めながら行うことが大切。
「背中を丸めずに真っすぐにしたまま動かす」のは避けてください。
──今回紹介したのは、「五臓ヨガ」の基本中の基本として覚えておきたい方法ですが、更年期世代が悩むことの多い、不眠、不安、ストレスや、ほてり、ホットフラッシュなど女性特有の不調に悩む方にも効果的な方法です。
ぜひトライしてみてください。
●【裏技】ツボを指や手で刺激するのが難しいという人に。
ドライヤーを使うと、簡単に刺激することができます
ツボを簡単に刺激するなら、ドライヤーを当てて温めるというワザも。
上の写真は、首の根元あたりにある督脈のツボ「陶道(とうどう)」を温めているところ。
髪を乾かすついでなどに行うことができます。
肌に当てるときは、やけどしないよう注意。近づけすぎたり、長く当てすぎると肌にダメージを与える恐れがあるので、「心地よい」と感じる当て方にとどめてください。
撮影/仲尾知泰(Ripcord) 指導・モデル/Satoshi 取材・文/藤本幸授美