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40代、50代女性に多い腰痛の悩み。そもそも腰痛って? 放っておくとなぜよくないの?

OurAge世代の体の悩みの代表のひとつが「腰痛」。病院に行くほどではないからと、だましだまし乗り切っている人も多いのでは? でも症状や原因はさまざま。医師でも原因の特定は難しいともいわれ、すっきり改善しにくいからやっかい。そこで脊椎外科専門医の吉原潔先生に、腰痛の原因や痛みのタイプについて伺いました!

【教えていただいた方】

吉原 潔
吉原 潔さん
脊椎外科専門医・スポーツドクター・フィットネストレーナー
公式サイトを見る

医学博士。アレックス脊椎クリニック院長。日本医科大学卒業後、同大学整形外科入局。帝京大学医学部附属溝口病院整形外科講師、三軒茶屋第一病院整形外科部長を経て、2017年より現職。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。トレーナーとしての信条は「ケガをしないトレーニング方法を指導すること」。50歳を過ぎてから筋トレでメタボ体型を脱し、ベストボディコンテストに出場、受賞歴多数。著書に『ドクターズスクワット』(アスコム)など。

 

体の不調で、男女ともに最も多いのは腰痛

腰痛に悩む人は男女問わず多く、厚生労働省が2022年に行った国民生活基礎調査によると、自覚症状がある体の不調の中でも、腰痛は男性・女性ともに1位で、肩こりが2位という結果が出ています。

さらに、近年のリモートワークの増加からくる運動不足の影響で、腰痛を発症した人がますます増えている印象も…。

 

そもそも「腰痛」といっても症状などは人によってさまざまですが、その定義について吉原先生に伺いました。

 

「腰痛とは、その名の通り、腰に生じる痛みのことです。腰部周囲の痛みや張りなどの不快感を表し、腰痛症という病名で治療されることが多いです。ただし、実は“腰”がどこからどこまでを指すのかには正式な定義はありません。

 

背骨(脊椎)は、上から順に7個の頸椎(首)、12個の胸椎(背中)、5個の腰椎(腰)に加えて、骨盤の仙骨と尾骨で形成されています。この腰椎と仙骨のある部分を一般的に“腰”と言い、この部分に表れる痛みが腰痛と言えます」(吉原潔先生)

 

 

腰痛は、発症すると60%以上の人が慢性化してしまう!

腰痛は、痛みが急激に起こるものと、慢性的に続くものとがあり、その継続期間によって以下の3つに分けられるそう。

 

・急性腰痛症……発症から4週間未満で治まるもの。ぎっくり腰はこれに含まれる。

・亜急性腰痛症……痛みが4週間以上〜3カ月未満のもの。急性の症状が治らず慢性との中間期。

・慢性腰痛症……痛みが3カ月以上継続。

 

「日本整形外科学会・日本腰痛学会の『腰痛診療ガイドライン2019』によると、原因不明の腰痛では、1年経過しても痛みのある人が60%以上に上ります。“腰痛は治りにくい”と言われているように、発症すると60%以上の人が慢性化してしまうのです」

 

腰痛の3大原因は、悪い姿勢、筋肉の衰え、ストレスなどの心の不調

では、なぜ腰痛は起きやすく、どんな原因で起こるのでしょうか。

 

「腰は上半身と下半身の要となるつなぎ目の部分で、動かす機会が多いので負担がかかりやすく、不具合が起きやすいのです。
腰痛が起きる原因はさまざまですが、一般的によく見られる3つの原因があります。

 

まずひとつめが悪い姿勢です。私たちは日常生活の中で、スマホやパソコン、デスクワーク、掃除や洗い物など頭を前に出した前かがみの猫背姿勢をとりがちです。こんな姿勢を続けていると背骨が曲がって重心が前に移動し、その結果、首や腰の筋肉に負担がかかって緊張したり、椎間板や椎間関節などの変形や変性が起こったりすることで腰痛になるのです」

「腰痛の原因のふたつめは、運動不足や加齢による筋肉の衰えからくる、筋力の低下や柔軟性の低下です。

筋肉が使われずに衰えると、血行不良を招いたり、筋肉がこわばって可動域も狭くなり、疲労が蓄積します。この状態が続くと腰痛が起こるのです。

40代以降は、加齢によって筋肉の衰えが進むうえ、活動量が減って運動不足にもなりやすいのでこのタイプの腰痛が増えます」

 

また、意外に思うかもしれませんが、心の不調も腰痛の原因に…。


「仕事や人間関係、病気などなんらかの理由で精神的なストレスがかかると、自律神経が乱れて交感神経が過剰に優位になります。すると、筋肉が緊張しやすくなったり痛みに敏感になったりするため、腰の痛みも感じやすくなります。これが3つめの原因です。

このような腰痛を“心因性腰痛”または“痛覚変調性疼痛”と言います」

 

 

腰痛を放っておくと健康寿命を縮めかねないのでケアをすることが大事

そんな腰痛ですが、特にケアをせずにやり過ごしている人も少なくないかもしれませんが、それが健康寿命を縮める原因にも…。

 

「腰痛があると痛みへの不安から動くことに消極的になってしまったり、腰をかばうことで行動が制限されたりするため、筋肉の衰えや関節の不具合などが進んでしまいます。

その結果、ますます出歩かなくなってロコモティブシンドロームなども招き、健康寿命を縮めてしまう可能性が高まるのです。

 

ですから、病院での治療やセルフケアなどを積極的に行って、早めに改善することが大切です」

 

セルフケアのポイントとは?

「腰痛のある人は、体をあまり動かさなくなりがちですが、積極的に体を動かしたほうが快方に向かいやすく、痛む頻度も少なくなります。

体を動かさないほうが筋肉がこわばり、筋力や柔軟性の低下を招くからです。

ですから、無理のない範囲で体を動かすのがおすすめです。

 

特におすすめなのが、筋肉の柔軟性や強度を高めるためのストレッチと筋トレです。

それを行って少し痛みがやわらいできたら、腰に負担をかけない正しい姿勢を保つために体幹を鍛えるトレーニングも取り入れるのが理想的。

また、腰を丸めて前かがみになると腰に負担がかかるので、日常生活の中で物を取ったり、持ち上げたり、かがむときは、腰を丸めて動くのではなく、股関節から折るように体を前に倒す癖をつけるのもポイントです。

 

心因性の腰痛の場合は、自律神経を整えるために、ゆっくりお風呂につかってリラックスしたり、質のよい睡眠をとることも大切です」

 

<腰痛改善のポイント>

① 正しいフォームのスクワットやプランクなど、筋力の柔軟性や強度を高めるストレッチ&筋トレを取り入れる。

② 痛みが少しやわらいできたら、体幹を鍛えるトレーニングを取り入れる。

③ 日常生活では、腰から体を曲げず、股関節から曲げる意識を。

④ 入浴や質のよい睡眠などで自律神経を整える。

 

 

撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/佐々木 篤 モデル/SOGYON  取材・文/和田美穂

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