筋膜も緩めないとリンパは流れない
「リンパは全身に張り巡らされていて、老廃物を集めて運ぶ下水道に似た働きをしています。このリンパ管には血液を送り出す心臓のようなポンプ機能がないため、末端の毛細リンパは自動的に流れてはくれません※。流れを担うのが筋肉の動きです。
※太いリンパ管は平滑筋の収縮で微弱ですが自動的に流れます。
よく『リンパを流す』という言い方をしますが、リンパは本来、日常生活で体を動かしてさえいれば、自然に流れるものです※。ですから、リンパの流れをスムーズにするには、『リンパが流れる体を取り戻す』ことが重要です」(木村友泉さん)
※例外として、がんの転移などでリンパ節を切除した場合は、自然に流れないのでリンパマッサージやリンパドレナージなどの外力が必要になります。
※詳しくは第1回を参照。
リンパが流れる体を取り戻すために、まず行いたいのが筋肉を緩めることです。
※横隔膜を緩める方法は第2回、股関節まわりを緩める方法は第3回を参照。
「そして筋肉と同様に、筋肉を包んでいる筋膜の癒着を外し、滑走性を上げることが大切です。
筋膜とは、筋肉をはじめ骨や内臓、血管、神経などを包んでいる薄い膜のことです。ボディスーツのように全身を覆っていて、第二の骨格とも呼ばれています。
通常、筋膜と筋肉の間には、潤滑液として働く体液がありますが、悪い姿勢を長時間続けることなどで、この潤滑液がドロドロになり、筋膜と筋肉が癒着してしまいます。こうなると、筋肉が動きにくくなり、血液やリンパの流れも悪化します。
特に、骨盤まわりの筋肉の動きが悪くなると、下肢からのリンパが滞ります。まずはこの部位の大きな筋肉である大臀筋を緩めることが大切です」
こぶしやボールでお尻上部の筋膜をリリース!
【1】
床にあお向けになり、こぶしサイズのボールをお尻上部の下にセットします。体を前後左右に動かして、ボールでお尻の筋肉をほぐします。これを10秒ほど行います。ボールがない場合は、こぶしを当てるのでもOK! 左右のお尻を同様に行います。
【POINT】
場所はお尻の膨らみが終わるあたり。ボールは芯までゴムでできている硬いラクロスボールがベスト。中が空洞のテニスボールだとへこんでしまうので効き具合がいまいちです。痛気持ちいい場所を見つけて、コロコロするのがポイントです。ラクロスボールはネットなどで購入できます。
【2】
最後に両手と両脚を上げてブラブラと揺らす「毛管体操」でリラックスします。足先や手にたまったリンパを戻してあげるような気持ちで、脱力して行うのがポイントです。5~10秒を目安に。
これはリンパケアができないときでも、毎日寝る前に習慣にするのがおすすめです。
「筋膜を緩めることで、筋肉の動きがよくなり、それによってリンパの流れもスムーズに! 足・脚のむくみが取れてスリムな脚になり、ヒップラインを整えてくれます」
【教えていただいた方】
LHJ(Life &Health Joy)代表。薬剤師として勤務するかたわら、リンパケアのインストラクターに。体に負担がなく、効果的な美容・健康法であるリンパケアの普及に取り組んでいる。テレビ、ラジオ、講演などで活躍。著書に『60歳からのリンパケア入門』(宝島社)、『1日10分でどんどん若返る! 一生使える若返りリンパケア』(三空出版)など多数。
撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子