【教えていただいた方】
大阪・心斎橋のサロン「B HAPPY」で鍼灸・美容鍼灸やパーソナルトレーニングを行うほか、インストラクターやセラピスト向けのカラダの講座を開講中。大阪・豊中の「岩塩ヨガスタジオ 四季」で五臓ヨガのクラスも担当。また、子どもを中心とした運動教室「カラダツクルスクール」でも活躍中。幅広い方法で健康・美容にアプローチする、カラダメンテナンスの専門家。 「サトシ "鍼灸とヨガとシンギングボウル"」インスタグラム:@sa.to.shi.f 「B HAPPY」インスタグラム:@b.happy3104 「岩塩ヨガスタジオ 四季」インスタグラム:@ganenshiki 「カラダツクルスクール」インスタグラム:@karadatsukuruschool
慢性的な肩こり、首こりをなんとかしたい。
頭痛がつらいという人に!
40代、50代の多くが感じる慢性的な不調の筆頭ともいえる、「肩こり」「首こり」。
そして肩や首のこりとつながっているといわれる「頭痛」。
少しでもやわらげるために、自分でできる運動やエクササイズとは?
Satoshi先生に、自分でできる「肩こり、首こり、頭痛」のケア法を教えていただきました
Satoshi先生は、大阪を拠点に自身のサロンを経営し、別会社のマネージャーを兼任するなど精力的に活動。
東洋医学・西洋医学の理論をもとにした、さまざまな体メンテナンスの方法に精通した、人気インストラクターの先生です。
OurAgeの「五臓ヨガ」連載でもおなじみの先生です。
経穴(ツボ)と経絡(けいらく=気血というエネルギーの通り道)を意識しながら動くことで、五臓のバランスを整え、体と心を健康な状態へと導くという、東洋医学をもとにした「五臓ヨガ」の考案者としての知識。
鍼(はり)や灸(きゅう)でツボを効果的に刺激して、痛みや筋肉の緊張を緩和したり、血流をよくしたりして、体の不調を改善する鍼灸師としての視点。
体の中のさまざまな筋肉を意識して動かすことで、不調を整え、筋力の向上を目指す、筋力トレーニング、ストレッチのインストラクター・トレーナーとしての経験。
さまざまなメソッドの施術や指導で、多くの人を健康に導いてきたSatoshi先生が、豊富に持つノウハウの中から、私たちの不調に合わせた最適なエクササイズを教えてくれます。
今回は、運動が苦手な人、運動に慣れていない人でも簡単にできる【初級編】、余裕があればチャレンジしてほしい【中級編】のエクササイズに分けて紹介します。
■エクササイズ その1/初級編
「肩こり」「首こり」「頭痛」には、「肩を大きく回す」運動が効果的!
肩こりや首こりは、首や肩甲骨付近にある筋肉、背中にある筋肉がこり固まっているのが原因のことが多いので、そこを緩めてほぐしてあげましょう。
具体的には、背中を覆う大きな筋肉「僧帽筋(そうぼうきん)」と、首と肩甲骨をつなぐ筋肉「肩甲挙筋(けんこうきょきん)」を動かし、緩めることで、肩こりや首こりを緩和することにつながります。
肩こりや首こりが原因で頭痛が引き起こされることも多いので、頭痛に悩む人は、そのつらさや痛みを緩和する効果も期待できます。
仕事をしている人は、仕事の開始前、休憩時間、就業後などに行うといいでしょう。
●「僧帽筋」「肩甲挙筋」に働きかける!
「僧帽筋」は、首から肩、背中にかけてある大きな筋肉です。
姿勢を維持するために働く筋肉で、心因的な緊張から、肩こりの原因になりやすいといわれます。
「肩甲挙筋」は、首と肩甲骨をつなぐ筋肉。肩を上げる動作をするときに使われます。
背中の深層にあり、肩甲骨を上に引き上げ、首を支えている筋肉です。
猫背や不良姿勢による、この部位の硬さや筋疲労が、多くの人の肩こりの原因になっています。
●簡単だから、運動が苦手でも実践しやすい。
「僧帽筋」「肩甲挙筋」をほぐすために、大きく「肩回し」!
最初に、あぐらの姿勢で座ります。
片側の肩を、下記のように「前→上→後ろ→下」の順に、ぐる~っと大きく一周、円を描くように動かします。
肩口を中心に、肩で大きな円を1回転描くように、「前→上→後ろ→下」の順に動かしましょう。
大げさなくらい大きく肩を動かして、円を描くのがポイント。
肩で大きく風を切って歩くときのようなイメージです。
【1】まずは前へ
肩ごと前に出し、めいっぱい前に突き出したら、そのあと上に向かいます。
【2】前から上へ
前に突き出したあとは、肩を上までめいっぱい上げ、そのあと後ろ(背中側)に向かいます。
【3】上から後ろへ
肩を上まで上げたあとは、肩を後ろ側(背中側)の行けるところまでめいっぱい動かし、そのあと下に向かいます。
【4】下に回す
後ろ側(背中側)に動かしたあとは、肩を下側(床側)に向けてめいっぱい下げます。
これで肩で円を描き終わったので、1周目が終了。
【1】~【4】の動きを3~5回、連続で行います。
それが終わったら、反対側の肩も同様に、【1】~【4】の動きを3~5回、連続で行います。
左右の肩を【1】~【4】の方向に回す動きに慣れたら、次は、左右の肩を「下→後ろ→上→前」と反対方向に回す動きを行うと、さらに効果的です。
【この肩回しエクササイズのポイント】
・あぐらのほか、正座の姿勢でも、椅子に座った姿勢で行ってもOK。
・顔は真っすぐ前を向く。
・腕はだらんと脱力させながら行う。
・肩をゆっくりと大きく回す。大げさなくらいの動きが◎。
●これはNG!
上の【1】~【4】を行う間はずっと、腕を脱力させていることが大切。
手の指先が常に「床についているようなイメージ」で行いましょう。
腕に力を入れて、ひじを曲げたり上げたりするのはNGなので注意して。
■エクササイズ その2/中級編
「肩こり」「首こり」「頭痛」には、「肩甲骨を動かす運動」がさらに効果的!
「中級編」として覚えてほしいのは、「肩甲骨を動かす運動」です。
「初級編」の「肩を大きく回す運動」ができるようになったら、「肩甲骨を動かす運動」にもチャレンジしてみましょう。
肩甲骨周辺にある筋肉、「棘上筋(きょくじょうきん)」「棘下筋(きょくかきん)」「大円筋(だいえんきん)」を動かして緩めることで、さらにしっかり肩こり、首こりをやわらげる効果が期待できます。
これを続けると、五十肩(肩関節を動かすと痛みが生じたり、腕が上がらなくなったりすること)対策にもつながるそう!
朝や夜よりも、関節や筋肉が動きやすい状態になっている、昼間や夕方に行うのがおすすめです。
●「棘上筋」「棘下筋」「大円筋」を動かして緩める!
「棘上筋」は、肩甲骨と上腕をつなぐ筋肉。
手の指や腕の動きすべてにかかわり、腕と肩を特に安定させる筋肉です。
「棘下筋」は、肩まわりにあって肩関節を安定させる働きをする筋肉のひとつ。
腕を少し外に広げる動作(買い物袋を持つなど)をサポートしている筋肉です。
「大円筋」は、肩甲骨から上腕骨へとつながる筋肉。
きちんと使えていると、猫背の予防にもなる筋肉です。
これらすべての筋肉は、肩甲骨から腕にかけて付着していて、肩関節や腕を安定させ、補強する働きがあります。
【1】両腕を伸ばす
あぐらの姿勢で座り、両腕を横に伸ばします。
【2】両腕を交差させる
右腕が上になるように、胸の前で両腕を交差させます。
【3】両手のひらを合わせる
【2】の状態のまま両腕のひじを曲げ、両手を顔側に向けて、顔の前で両手のひらを合わせます。
【4】両腕を上げる
両手のひらが離れないようにして、両腕を真上に上げていきます。
両腕のひじが、鼻のあたりまで上がるとベスト。
両腕を上げた状態のまま、自然な呼吸を続け、15~20秒キープします。
【1】~【4】の動きを3~5回行います。
【1】~【4】が終わったら、左右の腕を組み替え、同様に【1】~【4】の動きを3~5回行いましょう。
【この肩甲骨動かしエクササイズのポイント】
・あぐらのほか、椅子に座った姿勢で行ってもOK。
正座の姿勢は、腰が反りやすくなるので避けたほうがいいでしょう。
・肩がすくまないよう、奥歯の嚙む力を緩め、体全体の力を抜いて行いましょう。
●お手本通りのポーズができないときは、この動作でもOKです!
【3】を行うとき、両手のひらを合わせるのが難しい場合は、手の甲を合わせる形でもOK。
●これはNG!
顔は常に正面を向くようにし、腰から背中のラインは床と垂直になるように意識して。
顔が上を向くのはNG、腰が反るのはNGなので、注意しましょう。
──「肩こり」「首こり」対策、そして「頭痛」対策にもなるエクササイズ、いかがでしたか?
実際に行うと本当にすっきりして、楽になります。
無理のないペースでぜひ実践してみましょう。
撮影/仲尾知泰(Ripcord) 指導・モデル/Satoshi 取材・文/藤本幸授美