更年期に入り、「頻尿」や「尿もれ」に悩まされるように…。
誰にも言えない「尿」のトラブルへの効果が期待できるセルフケアとは?
「以前に比べてトイレが近くなり、日中も頻繁にトイレに行きたくなるので困る」「夜中に何度も起きてトイレに行ってしまう」「ふとした拍子に尿もれしてしまう」…。
更年期に増えてくる「尿」の悩み。生活に支障が出るので、つらいですよね。
人には相談しにくいことだけに、セルフケアで症状をやわらげられたら理想的。
覚えておきたいケア法をご紹介します!
Satoshi先生に、自分でできる「頻尿」「尿もれ」のケア法を教えていただきました
Satoshi先生は、大阪を拠点に自身のサロンを経営し、別会社のマネージャーを兼任するなど精力的に活動。
東洋医学・西洋医学の理論をもとにした、さまざまな体メンテナンスの方法に精通した、人気インストラクターの先生です。
OurAgeの「五臓ヨガ」連載の先生としてもおなじみ。
経穴(ツボ)と経絡(けいらく=気血というエネルギーの通り道)を意識しながら動くことで、五臓のバランスを整え、体と心を健康な状態へと導くという、東洋医学をもとにした「五臓ヨガ」の考案者としての知識。
鍼(はり)や灸(きゅう)でツボを効果的に刺激して、痛みや筋肉の緊張を緩和したり、血流をよくしたりして、体の不調を改善する鍼灸師としての視点。
体の中のさまざまな筋肉を意識して動かすことで、不調を整え、筋力の向上を目指す、筋力トレーニング、ストレッチのインストラクター・トレーナーとしての経験。
さまざまなメソッドの施術や指導で、多くの人を健康に導いてきたSatoshi先生が、豊富に持つノウハウの中から、私たちの不調に合わせた最適なエクササイズを教えてくれます。
今回は、簡単さの度合い、ケアにかけられる時間などによって【初級編】と【中級編】に分けてご紹介。
どちらも試しやすいケア法なので、自分の生活やペースに合う形で取り入れてみてください。
■セルフケア法 その1/初級編
「尿」のトラブルには、「仙骨(せんこつ)」を温めるのが効果的!
「頻尿、尿もれ」の対策に効果的なのは、背骨のいちばん下にある大きな骨で、骨盤の中央にある「仙骨」を温めるケア法。
「仙骨」は副交感神経が集まっている場所。
仙骨を温めると、副交感神経の働きが優位になり、心や体がリラックスして、興奮した状態を鎮める効果が期待できます。
ここを温めてリラックスさせることが、尿のコントロールをスムーズにすることにつながるのです。
【初級編】のケア法は、とても簡単!
両手をこすり合わせたあと、仙骨に当てるだけ。
就寝前に行うのが特におすすめですが、仕事や家事の合間など、気づいたときに行うのを習慣にするのもいいでしょう。
このケア法は、生理中にも行ってOK。
生理痛やイライラを軽減する効果も期待できます。
●「仙骨」に働きかける!
「仙骨」は、背骨の最下部にある大きな骨で、骨盤の中央にある逆三角形の骨のことです。
骨盤の後ろ側で、体を支える土台として重要な働きをしています。
【1】両手をこすり合わせる
最初に、両手をこすり合わせます。
手が熱を帯びるくらい、強めにこすり合わせるのがコツ。
【2】両手を仙骨に当てる
温めた両手を後ろに回し、仙骨を包み込むように当てます。
手のぬくもりが冷めるまで、20秒くらい当てておきましょう。
正座やあぐらの姿勢のほか、椅子に座った姿勢で行ってもOK。
また、下腹部も同じ方法で温めると、さらに効果的です。
■セルフケア法 その2/中級編
体の「正中線」上を、恥骨からへそにかけて刺激すると、さらに効果的!
「尿」のトラブル対策の【中級編】は、恥骨からへそにかけてを指で押し込むケア法です。
体の中央を真っすぐ縦に通る「正中線」上の、へそから恥骨にかけてのあたりには、膀胱があり、尿をコントロールする神経も広がっています。
そこを刺激することで、頻尿や尿もれを軽減する効果が期待できます。
このケア法は、【初級編】より刺激が強いので、食後1時間以内は避け、入浴前に行うのがおすすめ。
また、生理中は行わないほうがいいでしょう。
●ここを刺激する!
正中線は、体の前面と背面の中央を、頭から縦に真っすぐ通る線のこと。
恥骨とは、骨盤を構成する骨のひとつで、骨盤の前側(お腹側)にある硬い骨のことです。
へそから真っすぐ下りた股のあたり、骨盤の前側中央(アンダーヘアのあるあたり)に位置しています。
【1】 恥骨のあたりに指を押し込む
あお向けになり、両膝を曲げます。
両手の手指を、恥骨のあたりに押し込みます。
自然な呼吸を行いながら、人差し指や中指を使って押し込みましょう。
息を吐きながら真下に押し込み、吸いながら押す力を緩めるイメージで行って。
【2】 へそのあたりまで、押す場所を上げていく
恥骨のあたりからスタートし、体の正中線上を、へそのあたりまで刺激していきます。
1カ所につき、「息を吐きながら真下に押し込み、吸いながら押す力を緩める」を1セット行います。
これを、少しずつ場所を変えて行います。
下から上へと片道1回。それが終わったら、また下から上へと片道1回、行いましょう。
手指でピンポイントで押すのが不快な人は、手のひら全体で軽く押してもOKです。
刺激をより強く感じる場所があったら、そこを手指で押しながら、普通の呼吸を3回行うのもおすすめです。
【終わりに】
いかがでしたか?
【初級編】と【中級編】、どちらのケア法も簡単なので、一度覚えてしまえば気軽に行うことができます。
尿の回数や尿もれを抑えるのに効果的です。
【中級編】は一見、押すと余計に尿意をもよおしてしまうのでは? と心配になりますが、実際に行うと、不思議と尿意が抑えられて、トイレに行く回数を減らすことができます。
誰にも言えない悩み、自分で解消できるといいですよね。
頻尿や尿もれに悩んでいる人は、ぜひ試してみてください。
【教えていただいた方】
大阪・心斎橋のサロン「B HAPPY」で鍼灸・美容鍼灸やパーソナルトレーニングを行うほか、インストラクターやセラピスト向けのカラダの講座を開講中。大阪・豊中の「岩塩ヨガスタジオ 四季」で五臓ヨガのクラスも担当。また、子どもを中心とした運動教室「カラダツクルスクール」でも活躍中。幅広い方法で健康・美容にアプローチする、カラダメンテナンスの専門家。 「サトシ "鍼灸とヨガとシンギングボウル"」インスタグラム:@sa.to.shi.f 「B HAPPY」インスタグラム:@b.happy3104 「岩塩ヨガスタジオ 四季」インスタグラム:@ganenshiki 「カラダツクルスクール」インスタグラム:@karadatsukuruschool
撮影/仲尾知泰(Ripcord) 指導・モデル/Satoshi 取材・文/藤本幸授美