急に足がつった! 痛くてたまらない!
そんな「こむら返り」が起こったら?そもそも起こりにくくするには?
40代、50代になり、ふとした拍子に脚のどこかが痛んだり、つったりすることが増えた、という人も多いのでは?
特に激痛でつらいのは、急に足がつる「こむら返り」が起こったとき。
そんなとき、自分でできるケア法を知っておくと安心ですよね。
「こむら返り」とは、筋肉が痙攣(けいれん)してつってしまうこと。
「こむら」とはふくらはぎのことを指し、ふくらはぎの筋肉で起こることが多いですが、足の裏や足の指、太ももなどで起こることもあります。
今回は、「こむら返り」の対策と予防に効果的な、セルフケア法をご紹介します!
Satoshi先生に、自分でできる「こむら返り」のケア法を教えていただきました
Satoshi先生は、大阪を拠点に自身のサロンを経営し、別会社のマネージャーを兼任するなど精力的に活動。
東洋医学・西洋医学の理論をもとにした、さまざまな体メンテナンスの方法に精通した、人気インストラクターの先生です。
OurAgeの「五臓ヨガ」連載の先生としてもおなじみ。
経穴(ツボ)と経絡(けいらく=気血というエネルギーの通り道)を意識しながら動くことで、五臓のバランスを整え、体と心を健康な状態へと導くという、東洋医学をもとにした「五臓ヨガ」の考案者としての知識。
鍼(はり)や灸(きゅう)でツボを効果的に刺激して、痛みや筋肉の緊張を緩和したり、血流をよくしたりして、体の不調を改善する鍼灸師としての視点。
体の中のさまざまな筋肉を意識して動かすことで、不調を整え、筋力の向上を目指す、筋力トレーニング、ストレッチのインストラクター・トレーナーとしての経験。
さまざまなメソッドの施術や指導で、多くの人を健康に導いてきたSatoshi先生が、豊富に持つノウハウの中から、私たちの不調に合わせた最適なエクササイズを教えてくれます。
今回は、「こむら返り」が起こったときに行いたい【初級編】と、「こむら返り」を防ぐために普段から行っておきたい【中級編】に分けて、おすすめのセルフケア法をご紹介します。
■セルフケア法 その1/初級編
「こむら返り」が起こったら、まずは脚のストレッチを!
急に足がつったら、まず試したいのが脚のストレッチ。
立っているときに「こむら返り」が起こった場合は、立った状態でこのストレッチを行うと、60秒くらいで治まることが多いそう。
寝ているときに「こむら返り」が起こった場合は、寝たままの姿勢で行うストレッチがあるので、それもご紹介します。
●立って行う、痛み緩和ストレッチ【1】
つっている足を後ろに引く
痛みに耐えながら、つっている足を後ろに引き、つま先は前に向け、かかとを床につけます。
●立って行う、痛み緩和ストレッチ【2】
前の脚に体重をかけていく
次に、前の脚の膝を曲げながら、前の脚に体重をかけていきます。
そのまま体を揺らさず、つっている足をジワーっと、60秒ほど伸ばしましょう。
痛みが治まってきたら、徐々に力を緩め、ゆっくりと元の体勢に戻ります。
●立って行うとき、これはNG!
つっている足(後ろに引いた脚)の、つま先は前に向け、かかとは床につけるようにしましょう。
つま先が前を向かずに横を向いていたり、かかとが浮いていると、ストレッチの効果が出にくいので注意して。
●寝た姿勢で行う、痛み緩和ストレッチは?
寝ているときに足がつると、痛くて、そのままの姿勢になってしまうもの。
そんなときは、寝た姿勢のまま、「つっている脚のかかとを、息を吐きながら押し出す」→「息を吸いながら、力を緩めてリラックスする」を行います。
この動作をゆっくりと5回くらい(呼吸5回分くらい)繰り返して。
かかとを押し出すときは、体を揺らさず、脚をジワーっと伸ばしましょう。
痛みが治まってきたら、徐々に力を緩め、ゆっくりと元の体勢に戻ります。
●ストレッチのポイント
立った姿勢で行うときも、寝た姿勢で行うときも、体を揺らしたりせず、つっている脚を静かにジワーっと伸ばしましょう。
また、伸ばしたあとは急に元の姿勢に戻らず、ゆっくり力を緩めていくことが大切です。
■セルフケア法 その2/中級編
「こむら返り」の予防には、足の内側と外側のくるぶしにある「ふたつのツボ」付近を刺激してほぐすのが効果的!
足がつる「こむら返り」が起こるのを防ぐには、日頃から、内側と外側のくるぶしにあるツボと、その近くをほぐしておくのが効果的です。
内くるぶしのすぐ後ろのくぼみにあるツボ「太渓(たいけい)」と、外くるぶしのすぐ後ろのくぼみにあるツボ「崑崙(こんろん)」を、指で挟むようにして刺激しましょう。
朝一番に行うのがおすすめですが、昼間の休憩中や疲れを感じたときなど、一日のどのタイミングで行ってもOKです。
●ツボ「太渓」と「崑崙」を刺激する!
太渓は、血行促進作用があるツボです。
ここを刺激すると、足がつりにくくなります。
むくみ軽減や、加齢や体力の衰えによる精力不足を補って、全身の活力を高める効果があります。
崑崙は、体のいろいろな部位の痛みやこりなど、神経系の症状に効果があるとされるツボです。
ここを刺激すると、足がつりにくくなります。
脚の痛みや疲れ、むくみなどを抑えるのにも効果的です。
首こりや肩こり、後頭部の頭痛にも有効。
腰痛や頻尿の予防の効果も期待できます。
●足のツボを刺激する方法【1】
ふたつのツボ「太渓」と「崑崙」を、指で挟んで同時に刺激する
足の内くるぶしと外くるぶしのすぐ後ろにあるツボ「太渓」と「崑崙」を、親指と人差し指で挟み、ふたつ同時に、指の先でジワーっと押して、20秒くらい刺激し続けます。
また、ふたつのツボを指で挟んだまま、その場で小さく円を描くように、同時にグリグリと押してもOK。
どちらの場合も、“イタ気持ちいい”と感じる程度の力加減で行います。
さらに強く刺激したい場合は、ツボから指1本分の範囲を、上下にスライドさせるようにして押すといいでしょう。
【ポイント】ツボ押しを行っている間は、呼吸を止めないようにしましょう。
●これはNG!
アキレス腱のきわをつまむのはNG。
アキレス腱は、いきなり負荷をかけると痛めてしまうことがあるので要注意です。
※アキレス腱は、かかとの骨の上にあり、ふくらはぎの筋肉とかかとをつないでいる腱のこと。
足の内くるぶしと外くるぶしのすぐ後ろにあるツボを、しっかりと挟み込むようにして刺激しましょう。
【終わりに】
いかがでしたか?
急に足がつると、痛くて焦ってしまうもの。
これらのケア法を知っておくと安心です。
「こむら返り」が起こってしまったら、応急処置として【初級編】のストレッチを。
さらに、「こむら返り」が起こりにくくするために、日々【中級編】のケア法も行うようにするといいでしょう。
今回紹介した足のふたつのツボには、ほかにも体の不調をやわらげるさまざまな効果があるので、ここへの刺激を習慣化することは、体全体の調子を整えることにもつながります。
よく足がつるという人はもちろん、そうでない人もぜひ覚えておいてくださいね。
【教えていただいた方】
大阪・心斎橋のサロン「B HAPPY」で鍼灸・美容鍼灸やパーソナルトレーニングを行うほか、インストラクターやセラピスト向けのカラダの講座を開講中。大阪・豊中の「岩塩ヨガスタジオ 四季」で五臓ヨガのクラスも担当。また、子どもを中心とした運動教室「カラダツクルスクール」でも活躍中。幅広い方法で健康・美容にアプローチする、カラダメンテナンスの専門家。 「サトシ "鍼灸とヨガとシンギングボウル"」インスタグラム:@sa.to.shi.f 「B HAPPY」インスタグラム:@b.happy3104 「岩塩ヨガスタジオ 四季」インスタグラム:@ganenshiki 「カラダツクルスクール」インスタグラム:@karadatsukuruschool
撮影/仲尾知泰(Ripcord) 指導・モデル/Satoshi 取材・文/藤本幸授美