ジェネリック医薬品と先発医薬品、どう違う?
Q1:ジェネリック医薬品のほうが安いので効き目も低い!?
A:先発医薬品と同じ有効成分と分量が使われ、効き目も同等にあります。
少し前に頻繁に流れていたテレビCMなどで、すっかり認知度が上がったジェネリック医薬品ですが、価格が安い分、効き目も低いのですか?
「新しく開発された薬の特許期間が切れると、その権利は国民の共有財産となります。この新薬を先発医薬品と呼び、ジェネリック医薬品はこの特許が切れたあとに製造・販売されるものです。新薬を開発した会社だけでなく、ほかの会社からも発売が可能です。
ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分が同じ量だけ配合され、同じ効き目があると認められているものをいうので、価格が安いからといって、効き目が低いということはありません。安心してください」(鈴木素邦さん)
※2024年10月1日からジェネリック医薬品の制度が改正されました。患者側の希望で先発医薬品を選んだ場合、ジェネリック医薬品との差額(+消費税)が自己負担になります。医療上、先発医薬品の処方が必要と認められる場合は特別の料金は不要です。
Q2:ジェネリック医薬品と先発医薬品はどうしてこんなに価格が違うの?
A:新薬の研究開発に長い時間と費用がかかっているからです。
ジェネリック医薬品が安いのは粗悪な原料を使っているから? 価格の違いはなんなのでしょうか?
「ひとつの薬を開発するためには約9~17年かかるといわれています。
例えば、薬の候補となる素材の基礎研究に2~3年、動物や試験用の細胞などを使って有効性と安全性を確認する非臨床試験に3~5年、人に対して有効性と安全性を確認する臨床試験に3~7年、厚生労働省に承認申請を行い、認可が下りるのに1~2年かかります。
承認されれば新薬となり、特許期間の20~25年間はその薬を独占的に製造・販売することができます。しかし、ここにたどり着くのは、2万6000個の候補からひとつくらいで、それまでにかかる費用は数百億円ともいわれています。
一方でジェネリック医薬品はすでに有効性や安全性が確立されているので、これらの開発期間や費用をかけずに製造・販売できます。こうしたことから、ジェネリック医薬品は先発医薬品の約50%以下の価格になっています。
中にはジェネリック医薬品に使われている原料はインドや中国から輸入している粗悪なものだから安いという人がいます。しかし、先発医薬品も含め、医薬品の原料のほとんどがインドや中国からの輸入に頼っているのが現状です。ジェネリック医薬品に限ったことではありません。
先発医薬品と同じ効果が確認されないと発売できないので、原料に関して安心してよいと思います」
Q3:ジェネリック医薬品と先発医薬品はまったく同じもの?
A:添加物が違うので使用感や粒の大きさが変わる場合があります。
ジェネリック医薬品と先発医薬品は完全に同じものなのですか? ジェネリック医薬品ならではのメリットやデメリットはないのでしょうか?
「ジェネリック医薬品にはルールがあり、有効成分の種類や量は勝手に変えられません。しかし、添加物は異なってもいいので、形や大きさ、使用感、色、味などは変えられます。
例えば、貼り薬や塗り薬などは同じ成分でも使用感が違う場合があります。添加物の種類によっては、先発医薬品では問題なかったのに、アレルギー症状を起こすということがあるかもしれません。
一方で、先発医薬品では錠剤が大きくて飲みにくいという声があれば、ジェネリック医薬品では小さくしたり、錠剤にこだわらずに服用しやすいゼリー状にしたり、コーティングで苦味を軽減することもできます。
また、先発医薬品の独占販売中に得た、市場調査によるデメリットを改善したり、その期間中に技術が向上して、よりよいものになることもあります。実際に、冷蔵保存が必要だった目薬が、ジェネリック医薬品では常温保存が可能になったケースがあります。
ジェネリック医薬品は、医療上の効果効能が同等で、安いだけでなく機能性が高まっている場合もあります」
Q4:市販薬にもジェネリックはある?
A:あります。代表的なのがロキソニンです。
ジェネリック医薬品というと処方箋薬だけのイメージですが、市販薬にもあるのでしょうか?
「ロキソニンは解熱鎮痛薬に分類され、頭痛や月経痛、手術後や抜歯後の痛み止めなどに使われる処方箋の商品名です。
これには、ドラッグストアなどで購入できる市販品にもジェネリックがあります。いずれもロキソプロフェンナトリウムという同じ成分が使われていて、効果や安全性も同じです。
あまり知られていない会社の安価なものもあるので、ブランドにこだわらないのであれば、店舗の薬剤師や登録販売者に確認するといいでしょう」
【教えていただいた方】
イラスト/いいあい 取材・文/山村浩子