【教えていただいた方】
看護師、英国ITEC認定リフレクソロジスト・アロマセラピスト。自衛隊中央病院勤務後リフレクソロジーやアロマセラピーの資格を生かし、統合医療ナースとして活躍。その後、「コンフィアンサせき鍼灸院」でボディケアを行いながら、足や手を通したセルフケアを提案。著書に『不調と美容のからだ地図』(日経BP)、『若返る頭さすり:顔が引き上がる! 目が大きくなる!』(Gakken 美人力PLUSシリーズ)など多数。
足指をしっかり使って足指力を強化!
足や膝、腰などに痛みはありませんか? 実はそれらの痛みの根源は足指力の低下にあるというのです。
「足裏、足首、膝、股関節、腰、これらに痛みのある人の歩き方を見ると、たいがい、浮き指や足首の蹴り返しのないすり足だったり、ペタペタ歩きだったりします。要は、足の指をしっかり使わずに歩いているのです。
正しい歩き方は、かかとで着地したら、親指と人指し指を意識しながら足裏をかかとからつま先に向けて接地させ、最後に足裏を後ろの人に見せるように、足指と足首を使って地面を蹴り返します。
歩くときにこうした動きをしていれば、足指の関節が柔軟になり、筋力も保持されます。ところが、この歩行ができていないと、足指の関節は硬くなり、筋力はどんどん低下。多くの人が浮き指になっていきます。
浮き指とは、立ったり歩いたりしているときに足指が地面に接地していない状態のことです。これではしっかり地面を蹴り出せないし、体のバランスをとることもできません。
こうして足首や膝、股関節、腰、果ては首にまで、偏った負担がかかることで痛みが発症するのです。また、足指力の低下は骨盤底筋の衰えにもつながり、頻尿や尿もれの原因にもなります。
体は全身つながっているので、足指などの体の末端を強化することは全身によい影響を与えます。末端の手足が温まると血管が拡張し、体全体の循環動態(血管や心臓などの循環系の血液の状態)も改善します。各臓器も温まるので機能が回復し、冷え症や便秘の解消にも役立ちます」(市野さおりさん)
普段、あまり気にしていない人も多い足指ですが、足指の力が落ちていないかをチェックする方法があります。これはそのまま、エクササイズにもなるので、ぜひ試してみて!
【足指力チェック・エクササイズ】
「各足指の下に手の指を1本差し入れて、足指で手の指を踏みつけながら、その手の指を抜いてみます。なんの抵抗もなく抜けたら足指の力がかなり落ちています。手の指がなかなか抜けないように、各足指に力を入れる練習をすることで、それがそのままエクササイズになります」
1 裸足になり床に体育座りになります。
2 片方の足の親指の下に手の人差し指を差し入れます。
3 足指に力を入れて、差し入れた手の指を抜いてみてください。何の抵抗もなく抜けたら、足指の筋力がかなり衰えています。
4 同様に、足の人差し指、中指、薬指、小指とすべての指で試します。
5 手の指が引き抜きにくくなるように、足指に力を入れる練習をしましょう。これが足指力アップのエクササイズです。
ながらエクサで足指、足首、足裏の柔軟性&筋力アップ
「次におすすめしたいのが、どこでも『つま先立ちでかかとアップダウン』です。手を壁やテーブルなどに軽くついて体を支えて行います。例えば、テレビのコマーシャルの間、料理中のパスタをゆでている間など、ちょっとした隙間時間に行うといいと思います。
足指力のほか、アキレス腱、足裏にある足底筋群の柔軟性を高め、ふくらはぎの筋肉も鍛えることができます」
【つま先立ちでかかとアップダウン】
1 壁(テーブルなどでもOK)に両手を軽くつき、両足を腰幅に開いて立ちます。
2 かかとを上げて、続いて下げて、床につく寸前でまた上げます。これを「ワンツー、ワンツー」といった感じで、かかとをつけないままリズミカルに10回繰り返します。
ふくらはぎのポンプ運動が行われていることも意識しながら行ってください。壁に手をつくのは転倒防止のためなので、軽く触っている程度でよく片手でもOK。支えになればテーブルや椅子でもいいでしょう」
【足首ツイスト】
「もうひとつぜひともやってほしいのが、お風呂の湯船で行う足首の柔軟性を高めるエクササイズです。膝を動かすときに、足首も左右に倒すのが大きなポイントです。
1 湯船につかって十分に体が温まったら、両足を肩幅に開いて立ち、膝を軽く曲げて、両手を湯船のふちに置きます。
2 膝を軽く曲げたまま、スキーで滑るときのように、両膝を同時に右、左というように動かします。このとき、足首も左右に倒すように動かします。お風呂で体が温まっているときに、湯の中で行うことで、膝や足首を無理なく鍛えることができます。
※湯につかりすぎてフラフラする状態ではやらないでください。
「ちょっとした隙間時間に、足指や足まわりを観察して、いたわってあげてください。まずは気にすることから始め、足指をしっかり使うように意識することが大切です」
イラスト/green K 取材・文/山村浩子