40代、50代がとるべきサプリメントのファーストチョイスとは?
40代、50代がサプリメントを取り入れる場合、まずどんな栄養素をとればよいでしょうか?
「サプリメントは大きく分けると、
①すべての人に必要な基本的な栄養素の補給を目的にしているもの
②特殊な機能性を持つ成分を摂取するもの
の2種類があります。
このうち、まず最初にとるべきなのは①です。
この連載の第1回でも述べたように、現代人の多くは新型栄養失調で、基礎的なビタミンやミネラルが不足しているからです。
②のほうは、例えば、きのこの成分や、ごまの抽出物、各種ハーブなどのような特殊な成分で、これらはとらなくても命に別状はないので、優先順位は下がります。
一方、ビタミンやミネラルは私たちの体に必須で、不足すると健康を損ない、ひどい場合は命にかかわることもあるので、まずこれらを補うのが先決なのです。
②のサプリメントをとるなら、①を補ったうえでとりましょう。
普段、魚をあまり食べていない人は青魚に含まれるDHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸を、ビタミンやミネラルを補ってもだるさや疲れを感じる人は、エネルギー生産にかかわるコエンザイムQ10などを、というように目的に合わせてプラスするとよいと思います」(田村忠司さん)
サプリメントで栄養を補う場合、摂取量の目安とは?
サプリメントをとるときに気になるのが摂取量です。
日本のサプリメントに含まれる栄養素の含有量は、海外のものに比べて少ないことが多く、はたしてその量で効果が得られるの? というのが気になるところ。
「厚生労働省では日本人の食事摂取基準を公表していて、ビタミン・ミネラルの場合は『推定平均必要量』と『推奨量』が決められています。
推定平均必要量とは、『ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、その集団に属する50%の者が必要量を満たすと推定される摂取量』とされています。
逆に言えば、推定平均必要量の栄養素をとっても、半数の人に欠乏症が出るということです。
一方、推奨量は、『ある対象集団において測定された必要量の分布に基づき、母集団に属するほとんどの者(97~98%)が充足している量』とされています。
ですから、ビタミン・ミネラルをとる場合、この推奨量がひとつの目安になります。
ただし、体やメンタルに不調がある人は、推奨量をとっても足りないことがあります。
必要な栄養素の量は人によって異なり、どんな人がどんな目的で飲むかによって変わるので、上限摂取量に注意しながら、どれくらいの量で自分の不調が改善するかを観察してみるとよいでしょう。
あるいは栄養指導を行う医師のもとで、必要な栄養素と量を診断してもらうと確実です。
積極的に摂りたいビタミンC
このように、必要な摂取量は人によって違いますが、ビタミンやミネラルの中で、誰もが多めにとったほうがよい栄養素がビタミンCです。
厚労省が定めた成人のビタミンCの推奨量は1日100mgですが、ビタミンCは、副腎や免疫細胞、眼、脳など、体の多くの器官で使われるので、体内で“取り合い”になります。
体内に十分なビタミンCがあるのとないのでは、元気度がまったく違ってきますし、ストレス対策のためにも必要なので、1日に1000mgはとるのがおすすめです」
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サプリメントはいつとるといい? お茶で飲んでもいいの?
サプリメントの正しいとり方や、とるときの注意点も知っておきたいポイント。
「サプリメントは医薬品ではないので、“このように飲んでください”ということをパッケージに書くことができません。
そのため、“1日3粒を目安に、1日の中で3回程度に分けて、水などと一緒にお召し上がりください“というような漠然とした表現になっています。
ただ、基本的にサプリメントの目的は栄養素の補給なので、食事の一部として、食後あるいは食事中に一緒にとりましょう。
食事の際は、消化器官が活発に動いているので、栄養素の吸収が効率よく行われます。
●ビタミンA、D、Eなどの脂溶性の栄養素は、油と一緒にとると吸収が促進されるので、油が含まれる食事とともにとるのがおすすめ。
●ビタミンB群、Cなどの水溶性の栄養素は、余った分は汗や尿に溶けて体外に出ていってしまうので、まとめてとるよりも、こまめに分けてとるとよいでしょう。
ただし、有害金属の排出効果が期待できるα-リポ酸などのように、空腹時にとったほうがいい成分もありますし、アミノ酸のように食後2〜3時間後に飲むのがいいものもあります。
また、よく、“お茶と一緒に飲んでもいいの?”と聞かれることが多いですが、安心なのは水と一緒に飲むことです。
お茶に含まれるタンニンという成分が、ミネラルの吸収をじゃますることがあるからです。
それから、“どれくらいの期間飲めばいいですか”という質問もよく受けますが、一生飲む必要はありません。
気になる不調が解消できたら、少し余裕を持たせて徐々にやめていけばいいと思います。
サプリメントは薬ではないので、とり忘れても問題ありません。
慌ててまとめてとると、排出されてしまうか、とりすぎになってしまうので避けましょう」
このように、サプリメントは闇雲にとればいいというわけではないようです。
まずは、今自分がとっているサプリメントを見直すことから始めましょう。
【教えていただいた方】

1988年東京大学工学部産業機械工学科卒業。同年、株式会社リクルートに入社し、10年間勤務。1998年に「日本老化制御研究所」を擁する日研フード株式会社に入社し、取締役経営企画室長、サプリメントの製造子会社の代表取締役社長として活動。2006年に「医療従事者が自信を持って使えるサプリメントを提供してほしい」という医師、薬剤師からの要請と出資を受け、医療機関専門サプリメントメーカー、株式会社ヘルシーパスを設立。栄養療法に取り組む医師・歯科医師へのサポートや情報提供を行う。著書に『新版 サプリメントの正体』(東洋経済新報社)などがある。
写真/Shutterstock〈イメージカット〉 取材・文/和田美穂