普通のチョコと高カカオ、どちらが血糖値を上げる?
血糖値があまり上がらないイメージの高カカオチョコレート。カカオの割合が高いということは、砂糖やミルクの割合が少ないから血糖値が上がりにくいはず…。
そんな確信を持って臨んだ今回のモニタリング。モニター読者が「freestyleリブレ」を装着し、普通のチョコと高カカオチョコを食べ比べて、その後の血糖値を観察しました。
最初に紹介するは、モニターTさんの例。
こちらが高カカオではないチョコレート。市販のトリュフタイプを3個食べました。
こちらがカカオ80%の市販のチョコレート。5個食べています。
血糖値の変動は?
左はトリュフを17:00に食べた日:多少上がりましたが、その後下降傾向。トリュフタイプだったため脂質が多めで、思ったほどは糖質の量が多くなかったのかもしれません。
右はカカオ80%表示のチョコレートを18:00に食べた日:こちらも上がりましたが、20mg/dL程度の上昇でおさまりました。
量が少なければ、普通のチョコレートでもそこまで糖質を気にしなくて大丈夫?
次はモニターMさんです。
どちらのチョコレートも12gずつ正確に測って食べてくれました。
こちらがオーソドックスな市販の板チョコレート(12g)です。
こちらはカカオ77%表示の高カカオチョコレート(12g)。
オーソドックスなチョコと高カカオのチョコの血糖値の上昇を比較してみると…
左は17:45に普通のチョコレートを食べた日:昼食で上がった血糖値が下がってきた最中に、やや上昇。
右は高カカオチョコレートを18:00に食べた日:空腹時に食べたようで、少しだけ上昇。
ほかの2名のモニターも、普通のチョコと高カカオチョコでは、血糖値の変化に大きな差は見られませんでした。
記事が続きます “高カカオ”でも糖質量をしっかりチェック!
「今回、食べたチョコの量が少なかったので差が出にくかったのかもしれませんね。
血糖値を急上昇させることもなく、おやつの食べ方としてはよかったのではないでしょうか」と山村先生。
「一般的には高カカオと言われたら、『糖質が少ないのね』と油断してたくさん食べてしまう人も多いでしょう? 今回のモニターさんはそこまで上がりませんでしたが、カカオ分70%くらいだと、思った以上に血糖値が上がることがあるので気をつけてください」
血糖値ケアをしている人が、チョコレートを買う際に気にすべきは糖質量です。
例えば…
■普通のチョコ(1枚50g):糖質25~30g
■カカオ70%のチョコ(1枚5g):糖質2.1g(50gなら21g相当)
糖質2.1gの高カカオチョコ1~2枚であれば安心でも、10枚以上食べると普通のチョコと大差なし。
結局、安心して何枚も食べてしまうと糖質オーバーになります。
普段から、“糖質量”を確認する習慣をつけましょう。
甘いもの好きこそ、チョコレートを賢く選ぶ!
もともとカカオはポリフェノールや良質な脂質を含み、体にうれしい栄養素がたっぷり。でも問題は、チョコレートの甘さを支える糖質や人工甘味料。これらはダイエットや血糖値の観点からはあまりおすすめできないものです。
近年、人工甘味料を長期間とり続けていると将来の糖尿病リスクを上げる可能性があることをWHO(世界保健機関)が報告しています。
「糖質オフの甘味料を使ったスイーツは、甘いものを“やめる練習”として、短期的に活用するのがベター。基本は、甘いものを食べすぎない。できれば控えることがいちばんの対策。
チョコレートを食べるなら、カカオ80%以上、理想的には90%以上のものなら安心だと思います」
実は、自身のYoutubeチャンネルでチョコレートの血糖値実験も実施ずみの山村先生。
「95%のハイカカオチョコレートは、ほとんど血糖値の上昇が見られませんでした。これは糖尿病の方にもおすすめできるレベルですね。
とはいえ、カカオ率が高くなるほど苦味も強くなるので、ミルクチョコ好きな人にはややハードかも?(笑)」
おやつを選ぶときは成分表示をチェックする習慣を。
血糖値と向き合うには、正しい知識とちょっとの意識が、いちばん大きな武器になるのです。
【教えていただいた方】

九州大学医学部卒業。2024年12月に「やさしい内科クリニック」を開院。糖尿病啓発・予防のため血糖値に関するSNS発信を行っている。豊富な診療経験をもとに、一人一人のライフスタイルに合わせた血糖値改善、ダイエットプログラムの開発にかかわるなど、病気の予防と医療の架け橋として活動中。 自らの体を実験台にしてさまざまな食材の血糖値を測定するYouTubeチャンネル「やさしい内科医のY's TV」が人気。登録者数は8万人超。著書に『糖尿病専門ドクターが検証! 血糖値を下げる食事法について、実際に試してみた』(KADOKAWA)。
※血糖値の変動には個人差があり、モニターの結果はあくまで一例です。同じ食材をとっても人によって、また食べるタイミングなどによって変化します。
※モニターはFreeStyleリブレ2を2週間装着して間質液中のグルコース値を測定しました。間質液中のグルコース値は血糖値と相関することが知られています。この記事中では、間質液中のグルコース値を「血糖値」としています。
取材・文/蓮見則子