ライター蓮見の実体験、 20年!
股関節トラブルとのつき合い方
何を隠そう、この特集を担当している本人こそが股関節痛持ち。ライター魂とでも言うべきか、痛みのことは「イタイタMemo」(←単純!)として克明に記録。今だからこそ客観的に見られる股関節トラブルの変遷ストーリー、後編です。
ライター蓮見の股関節トラブル(後編)
蓮見則子 Noriko Hasumi
1963年生まれ。フリーランス編集/ライター。 三十数年この道ひと筋。美容、健康、ウエディングなどの分野が多く、MyAgeをはじめ雑誌や書籍、WebサイトとなんでもOK。股関節に病気があっても手術は一生しないのが目標
「変形性股関節症」との診断・・・
2011年半ばからはじめた漢方やウオーキングで痛みが改善、安定期に入っていたものの、明らかに動き過ぎだった私。
2014年。歩くのに飽き足らず毎朝ランニングを始めると、数カ月で股関節に違和感が…。取材でお世話になった整形外科のドクターを受診すると、あっけなく左側が「変形性股関節症」と診断。理学療法を受けてもなかなか痛みが消えず、股関節鏡の専門医に診てもらうと、「股関節唇損傷」の診断までくっついてきたのです。
半年ほどお尻の筋肉が痛い時期があったかと思うと今度は右側も変形性股関節症と診断。でも、その頃には自分の知識も増え、病態にかかわらず股関節まわりの筋肉を鍛えることの重要性はもちろん、コリをほぐすことが痛みの緩和につながることも学びました。痛みを出さないためには何をすればよいのか?
痛みを出さない動作を身につければいいのです。最近では痛みが出ても、なるはやでリカバリーする方法も身についてきました。希望の光がよりはっきり見えますように…。
蓮見が実感した! 変形性股関節症の真実
この病気を調べると、必ずといっていいほど「軟骨がすり減って、骨や関節が変形し、痛みが生じる」のように書かれています。これだとあたかも関節の中、骨が痛いように思えます。でも、軟骨や骨には神経があるわけでなく(骨膜にはあるそうですが)、痛みを感じているのは関節包か筋肉。私の場合もたいてい骨盤に付随する筋肉です。経年的に変わってきましたが、現在はお尻や内ももの付け根、太ももの外側にこりすぎたような痛みが出ます。
それらのコリや違和感を放っておかず、なんとかしてほぐすと、あら不思議! 痛みがすーっと消えているのです。
私の変形性股関節症は現在、左右ともに「中期」。でも画像上は「正常」だった10年前のほうが断然痛く、足を引きずっていました。画像で見えていること=痛みの度合いでは決してないのです。現に「末期」と診断されても平気で歩いている人もいます。
今出ている痛みの正体を冷静にとらえること。これが股関節の痛みとつき合う最大のポイントだと思っています。
前股関節症
違和感や痛みがあっても、画像上は正常。骨盤側の骨のかぶりが浅い場合が多い
変形性股関節症
軟骨が傷ついたりすり減って、骨同士の隙間が少し狭くなっている状態
骨同士の隙間が狭くなり、嚢胞(のうほう)や骨棘(こっきょく)ができることも
ライター蓮見の、股関節奮闘記年表
(後編:2013~2019年)
(画像右から)
アクティブ安定期
2012年~2014年
痩せて体が軽くなったことで活動的に。毎日ウォーキング、週末も山歩きや長距離ウォーキング。時々股関節や膝に痛みは出たが、誰も気づかないくらい。心身ともに健康!
ダイエットに成功!
毎日1時間以上歩き、夜は主食抜き。体が締まって超動きやすくなった
2014年前半
ランニングを開始したが左股関節に違和感。取材で知り合った先生に診てもらい、変形性股関節症と診断。リハビリ開始。
2015年半ば
股関節鏡の専門医により、変形性股関節症に加え、股関節唇損傷と診断。約半年、階段が上れない時期は鎮痛剤のお世話に。
2016年後半
ついに右股関節も変形性股関節症と診断。両脚とも時々、太ももやすねなど股関節から離れたところが痛むようになる。
トレーニング奮闘期
2017年~2018年
痛みに波はあっても主治医に運動をすすめられていたので、ジャイロキネシスやピラティスへ。翌年にはパーソナルトレーニングへも通う。この頃から筋肉をほぐす大切さを痛感。
メンテナンス覚醒期
2018年~
体の使い方や日常の動作から見直そうと、コンディショニングとメンテナンスに目覚める。呼吸法や姿勢改善に取り組む毎日。1年ほどで大きな痛みの波はあまり来なくなった。
いつの間にか増えた、筋肉ほぐしアイテムいろいろ。テニスボールなどはいつも携帯
2019年前半~
コンディショニングセンターへ足繁く通う。間違った呼吸、膝の内旋癖などを徹底的に直される。体も使うが頭も使う!
佐藤正裕先生は見ていた! 蓮見の股関節痛
「鍛えてほぐす」ことを的確にアドバイス
今回、取材した佐藤先生。実は蓮見は’15〜’16年にかけて、数回みていただいたことがありました。歩行状態をみて「痛みのある左脚で体が支えられていない。その分余計な筋肉に負担をかけ、痛みをつくっている」との診断。セルフケア次第で、痛みはよくなると力強い言葉をいただきました。この連載の最後で紹介する「しゃがみ立ち」などはそのときに出された宿題。もちろん今もやっています!
佐藤正裕さん Masahiro Sato
1976年生まれ。理学療法士。変形性関節症国際学会、日本股関節学会所属。順天堂大学病院リハビリテーション室などを経て、国際学会最新の保存療法をもとに独自のケア法を確立、2010年「股関節ケアサロン銀座プラス」をオープン。著書に『変形性股関節症は自分で治せる!』(学研プラス)など。https://ginzaplus.com/jp/
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/蓮見則子