健康診断や人間ドックを、ただ「なんとなく」受けていませんか? 腎機能・血糖・貧血検査の目的を理解し、生活改善の必要があるなら行動に移し、健康維持に役立てましょう。
健康診断の結果<肥満度・血圧・脂質代謝・肝機能>の見方は、健康診断の真実②で紹介しています。
お話を伺ったのは
大竹真一郎さん
Shinichiro Otake
おおたけ消化器内科クリニック院長、消化器専門医。高校中退から医師を目指すという異例の経歴を持つ。歯に衣着せぬ発言で、テレビやメディアでも活躍。著書多数
腎機能の検査
腎臓のろ過機能の低下を測定
血液検査でわかるクレアチニン値は、筋肉中のタンパク質が分解されてできる老廃物。腎臓の機能が低下すると増えます。また、その値をもとに算出されるのがeGFR(推算糸球体ろ過量)で、腎臓の糸球体のろ過機能を示します。
尿酸値が高い状態が続くと、結晶化した尿酸が関節にたまり、痛風発作を起こします。尿検査による尿蛋白と併せて、腎臓の機能低下を判断します。
血糖の検査
糖尿病のリスクを調べます
血液の「糖代謝検査」で空腹時の血糖値を測定。血液中のブドウ糖濃度である血糖値が上がるとすい臓からインスリンが分泌され、血糖値を一定範囲に調節します。インスリンが不足して、慢性的に濃度が高まった状態になるのが糖尿病です。
「血糖値は食後に急上昇する場合もあり、これもリスク要因。空腹時の血糖値だけではわからないので、ヘモグロビン値も併せて判断します」(大竹真一郎先生)
貧血の検査
疲れやすい人、顔色が悪い人は注意!
赤血球数が基準範囲より低いと貧血が疑われます。ただ、貧血で最も多い鉄欠乏性貧血では、赤血球数が正常な場合もあるため、血色素量(ヘモグロビン)とヘマトクリットの数値も併せて判断します。
ヘモグロビンは赤血球中の成分で、全身に酸素を運ぶ働きが。ヘマトクリットは血液中に含まれる赤血球の割合を示します。この3つの数値から貧血のタイプの推測ができます。
イラスト/小迎裕美子 取材・原文/山村浩子