食べたものを吸収したり、ウイルスなどから体を守ってくれる免疫細胞が集中するのが小腸。知っておきたい消化の基本をご紹介します。
消化の豆知識
消化力を高めるために、知っておきたい基礎知識…。体調管理にも役立てて!
栄養吸収と免疫力の主役は小腸
「おもに栄養吸収をするのは小腸(残りを大腸が吸収)です。さらに、外からの病原菌やウイルスなどから体を守り、病気を防いでくれる免疫細胞の約60~70%が集中しています。
小腸の機能低下は消化力だけでなく、免疫力にも影響します。ほかにも自律神経や精神の安定にもかかわっているので、小腸の働きを高めることは心身の健康に欠かせません」(澤田幸男先生)
消化力を測るバロメーターは便
「消化力の低下を数値などで計測することはできませんが、目安になるのが便の状態です」。
大腸の働きが快調なら、黄土色でバナナくらいの硬さ。力まなくてもツルンと出ます。色が黒くてコロコロした便や、色が薄く水分が多い便は、大腸が汚れて、機能が正常に働いていない可能性が大。
「大腸の状態が小腸にも影響するので、消化力が低下していると考えられます」(澤田幸男先生)
胃もたれは消化力低下のSOS
「胃もたれのおもな原因は、胃の動きや胃酸の働きが悪かったり、胃下垂など胃の形も影響しています。それを引き起こすのは、暴飲暴食(過度な飲酒や食べすぎ)、脂が多い食事、加齢による胃の機能低下、ストレス、重度の便秘など。
胃の消化活動が正常に行われていないわけなので、これも消化力の低下を示すサインのひとつといえます」(澤田幸男先生)
お話を伺ったのは
澤田幸男さん
Yukio Sawada
1957年生まれ。「澤田肝臓・消化器内科クリニック」院長。医学博士。専門は消化器内科。アダムスキー式腸活法を提唱する『腸がすべて』(東洋経済新報社)の監修を担当。神矢丈児氏との共著『腸が寿命を決める』(集英社新書)も
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/山村浩子