骨折すると「骨折ドミノ」が起こる
骨折ドミノとは…
●机の脚に足の指をぶつけて骨折
●足が動かせず筋力が低下
●転倒しやすくなって、手首を骨折
●骨折によって体を動かせず、さらに筋力低下
●再び転んで脚の付け根を骨折
背骨を骨折すると次に背骨を骨折するリスクは5倍
大腿骨を骨折すると次に大腿骨を骨折するリスクは2.5倍
骨折すると筋力が低下し、再び骨折しやすくなる
「一度くらい骨折をしたからって大丈夫でしょ」なんて思ったら大間違い。一度骨折をすると、ドミノ的に骨折の連鎖が起こりやすいとか。
「例えば、机の脚に足の指をぶつけて骨折したとすると、その後、松葉杖生活になるなど体を動かせなくなるので筋力が低下します。その結果、転倒しやすくなってしまい、転んだ瞬間に手をついて手首を骨折。そしてギプス生活になって安静にするうちにますます筋力が落ちてまた転んでしまい、今度は大腿骨を骨折。大腿骨を骨折すると入院になるので、どんどん筋力が低下。
将来、寝たきりのリスクも高まるというような負のスパイラルを招きます。これを“骨折ドミノ”といいます。背骨を骨折すると再び背骨を骨折するリスクは5倍に、大腿骨を骨折すると再び大腿骨を骨折するリスクは2.5倍になるというデータもあります」(中村格子先生)
骨折すると死亡率もUP!
骨折や骨粗しょう症はがんより死亡リスク大!?
骨折するとその後、長生きできる可能性が格段にダウン。その理由とは…。
背骨の骨折後の5年生存率は約60%というデータがあるとか。つまり約40%の人が亡くなるということ。
「さらに脚の付け根を骨折した場合の5年後の生存率は約50%。つまり半数の人が死亡するのです。これは乳がんの5年生存率88・2%、大腸がんの63・7%より劣ります。骨粗しょう症による骨折は、がんより死を招く危険性が高い状態ととらえるべきなのです。脚の付け根を骨折すると、体を動かせず入院の必要があり、手術やリハビリも必要。退院までに早くて1カ月、長いと2カ月以上を要し、その間に筋力や身体の機能が低下するため、死亡率が高まりやすいのです」(太田博明先生)
また、骨がもろくなると死亡率が高まる理由には、骨から分泌されているホルモンも関係しています。
背骨の圧迫骨折をすると5年で約40%が死亡
脚の付け根を骨折すると5年で約50%が死亡
●背骨および脚の付け根の骨折後の5年間における累計生存率
背骨の骨折後の5年生存率は約60%、脚の付け根の骨折後の5年生存率は約50%。脚の付け根の骨折の場合は特に6カ月以内の死亡率が高いというデータが。骨折にはくれぐれも注意!
Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長。スポーツドクター。一般患者からアスリートまで広く診療にあたる。健康な体をつくるエクササイズ指導も人気
日本産婦人科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本抗加齢医学会監事・専門医。日本の女性医療をリードするパイオニア。骨粗しょう症・アンチエイジング分野の第一人者
イラスト/平松昭子 取材・原文/和田美穂