脳脊髄液の生成・循環は胎児のときから始まっている
あなたは普段、こんなことはないですか?
● 友人と同じことをしても自分ばかり疲れる
● お天気頭痛で困る
● 車酔いがひどくてつらい
● 旅行で車窓からの景色を楽しみたいのに、揺られるといつも寝てしまう
● 出張などから帰るといつもの自分の体調に戻るのに1週間くらいかかってしまう
「実はこれらは、脳脊髄液の生成・循環が正常でないときに起こる症状です。私も過去にこうした体調不良で悩まされていました。
脳脊髄液の生成・循環は、後頭骨(寝たときに枕に当たる骨)と蝶形骨(こめかみのあたりにある骨)の結合部分である『蝶形後頭底結合』の動きにより、一定量の脳脊髄液が生産されたり循環したりしています。
この蝶形後頭底結合の動きは、骨盤の仙骨の動きと連動しています。私は、子どもの頃、3度激しく尻もちをついて、尾てい骨が肛門に向かって直角に折れ曲がっています。このことが脳脊髄液の生成・循環に悪影響を与えていたと考えられるのです」(片平悦子さん)
脳脊髄液について詳しくは第1回参照。
「また、脳脊髄液の生成・循環は『一次呼吸』とも呼ばれているんですよ。
なぜなら、脳脊髄液の生成・循環の活動は、妊娠して生命が発生したときから始まり、4〜5週くらいで確認できるといわれています。これは、「オギャー」と生まれてから始まる肺呼吸に先立つ呼吸(動き)として、一次呼吸と呼ばれているのです。そして、その機能は一生働き続けます。
脳脊髄液の99%は水で、栄養豊富なわけではありません。当然ですよね。脳と脊髄を守ることがメインの仕事です。
脳脊髄液の量は100〜150㎖と言われ、生産量は1日に400〜600㎖だそうです。ということは1日に3~4回体内を循環することになります。脳脊髄液のポンプ役は蝶形後頭底結合で、6〜12回/分のペースで動くので、呼吸のリズムの1/2くらいゆっくりです。これは個人差があります。
普段、体の中では、血液・リンパ液・脳脊髄液といった体液が、どれも私たちの意思に関係なく、休みなくコンスタントに働いてくれているからこそ、私たちは健康でいられるんですね」
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脳脊髄液を正常に導けば不定愁訴が消えていく⁉
「私は鍼灸師であり整体師なので、患者さんの頭蓋骨を調整して蝶形後頭底結合が正常に動くようにしています。こうして脳脊髄液の生成・循環を整えることで、過去に通った患者さんからは、めまい、耳鳴りや鼻炎など多くの不調が解消したという声をたくさんいただきました。
またシンメトリーに近い顔立ちに近づいたり、目がぱっちりする、美肌効果など美容効果も期待できます」
「実はこの脳脊髄液の生成・循環を正常に導くことは、セルフケアでも簡単にできます。最も簡単な方法が深呼吸です。
深呼吸は横隔膜をしっかり上下させて行う呼吸です。息を吸って横隔膜が下がったときに脳脊髄液が生成され、息をたくさん吐いて横隔膜が上がったときに脳脊髄液が循環します。
深呼吸のポイントは、鼻からゆっくり息を吸い込み、息をいったん止めてから、吸うときの倍の時間をかけて少しずつ鼻から吐き切ることです。
また、腕と脚を外旋する(外側に向かって回す)と脳脊髄液が生成され、内旋する(内側に向かって回す)と循環します。
深呼吸だけでも効果はありますが、腕と脚の動きと組み合わせればさらに効果アップ!」
【腕脚クルクル呼吸法】
深呼吸し、腕と脚を外と内に向けて回すように倒します。
【1】息を吸って、腕脚を外側に向けて回すように倒す
あお向けになり、4秒かけて鼻から息を吸い、同時に腕と脚を外側に向かって回すように倒します。
【2】息を1秒止めます。
【3】息を吐きながら、腕脚を内側に向けるように倒します。
腕と脚を内側に向けて倒しながら、息を鼻から8秒かけて吐き切ります。
【1】~【3】を数回繰り返します。
「毎日、疲れたと思ったときにやってみてください。脳脊髄液の生成・循環を整えることができます」
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【教えていただいた方】

一般社団法人日本パーフェクト整体普及協会(JPSA)代表。赤門鍼灸柔整専門学校(現、仙台赤門医療専門学校)卒業後、東北大学や金沢大学医学部で2年間の解剖学実習研究生を経て、1986年に仙台市にて鍼灸院を開業。25年の整体師経験からパーフェクト整体®️3大メソッドを確立し、2012年に上京。パーフェクト整体のリアルの講座は500人以上、オンライン講座では3000人以上が受講。著書は10冊あり、累計17万部を超えている。
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イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子