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慢性上咽頭炎を誘発&悪化させる意外な要因とは?

風邪をひくと喉が痛くなることがあります。その喉と思っているところは「上咽頭(じょういんとう)で、鼻の奥にあります。風邪による炎症は急性のものですが、これが慢性化すると全身にさまざまな不調を引き起こすことがあるそう。この「慢性上咽頭炎」を悪化させる要因について、医学博士の堀田修先生に伺いました。

慢性上咽頭炎を悪化させる原因は身の回りにあふれている

頭痛や肩こり、長引く咳、アレルギー疾患の悪化などに悩まされている人は、慢性上咽頭炎の可能性があります。それを誘発&悪化させる要因にはどんなものがあるのでしょうか?

 

「呼吸で鼻から入った空気には、ほこりや細菌、ウイルスなどが混じっています。それらが上咽頭の繊毛上皮に付着すると、粘液を出して鼻水として体外に排出したり、免疫機能が発動して、発熱などをして異物から体を守るシステムになっています。こうしたシステムがうまく働かずに、慢性的な炎症に移行してしまった状態が『慢性上咽頭炎』です」(堀田修先生)

 

慢性上咽頭炎が引き起こす不調や上咽頭の働きについては第1回参照。

 

「慢性上咽頭炎を悪化させる原因はさまざまあります。タバコの煙や黄砂などを吸うことにより上咽頭を刺激すること。ストレスや寝不足などによる自律神経の乱れ免疫力の低下。気圧の低下や冷えなど上咽頭の血液循環に影響を与えるものなど。

 

そして、口呼吸が習慣化していると、鼻という天然の空気浄化装置を通さず、汚れた空気を上咽頭に直接入り込むので、慢性上咽頭炎のリスクが高まります」

 

【7つの原因】

その1 風邪の慢性化
風邪は急性の上咽頭炎です。これを完治する前にこじらせてしまうと、感染の状態が続いてしまい慢性化することがあります。※新型コロナの後遺症もこれに含まれることがあります。

 

その2 タバコ、黄砂など
タバコの煙をはじめ、最近では東アジアから飛散してくる黄砂、工事現場の粉塵など、刺激性の高い物質を吸い込むことで、免疫システムを刺激して慢性化するケースも。

 

その3 精神的ストレス
慢性的や強いストレスにさらされると、交感神経が優位な状態が続きます。これにより自律神経のバランスがくずれ、免疫力が低下します。これも慢性化の原因に。

 

その4 睡眠不足
寝不足が続くと、細胞の修復がされずに疲労が蓄積していきます。自律神経のバランスもくずれて、免疫力の低下につながります。

 

その5 低気圧
低気圧になると、静脈やリンパ管が拡張します。これに伴い、上咽頭のうっ血とリンパのうっ滞が起こります。その影響が慢性上咽頭炎を誘発したり、症状を悪化させることがあります。

 

その6 冷え
体の冷えも、低気圧と同様に上咽頭のうっ血とリンパのうっ滞を引き起こします。特に首の後ろの冷えに要注意! 夏の猛暑対策としてネッククーラーを使う人もいますが、慢性上咽頭炎が疑われる人にはNGです。

 

記事が続きます

その7 口呼吸の習慣

上咽頭ケア 鼻呼吸 イラスト

 

鼻での呼吸は、入り口に鼻毛、鼻腔と上咽頭には繊毛があり、粘液も分泌されて、鼻を通る際に加湿&加温されるといった空気を浄化するシステムがあります。

上咽頭ケア 悪化する要因 口呼吸 解剖図

一方で、口からの呼吸はこうした浄化システムがありません。細菌やウイルスなどの病原体や有害物質を含んだ空気が、直接咽頭や肺に入ることになります。一部は上咽頭に逆流し、上咽頭の炎症を悪化させることにつながります。口呼吸は、本来は鼻がつまったときや激しい運動時などに補助的に使うものです。口呼吸の習慣がある人は注意が必要で、鼻呼吸の習慣を身につけることが大切です。

 

 

ここに張りや痛みがある人は慢性上咽頭炎かも!?

それでは、慢性上咽頭炎の可能性があるかどうか、自分でチェックする方法はあるのでしょうか?

 

「簡単に自分でチェックする方法は、胸鎖乳突筋の上部を3本の指で触ってみることです」

 

【チェック方法】

上咽頭ケア セルフチェック 胸鎖乳突筋 はり 痛み

胸鎖乳突筋は鎖骨から耳の後ろに向けて縦に伸びている筋肉。

ここを、人差し指、中指、薬指の3本の指でやや強い圧で触ります。

 

胸鎖乳突筋の上部は上咽頭とほぼ同じ高さにあるので、もしも上咽頭に炎症があると、連動してこの筋肉が張っていたり、場合によっては痛みを感じることがあります。

 

「しかし、正しく診断するためには、専門知識のある医師に診断してもらう必要があります。このセルフチェックはあくまでも補助的な目安にしてください」

 

慢性上咽頭炎になると、頭痛や肩こり、長引く咳や喉の違和感、場合によっては皮膚炎や腎臓病などの二次疾患を引き起こすことがあります。気になる人は試してみて!

 

記事が続きます

 

【教えていただいた方】

堀田 修
堀田 修さん
医学博士

防衛医科大学校卒業。2011年に仙台市にて、医療法人モクシン堀田修クリニックを開業。認定NPO法人日本病巣疾患研究会理事長。IgA腎症・根治治療ネットワーク代表。日本腎臓学会功労会員。2001年、IgA腎症が早期の段階であれば扁摘パルス療法により根治治療が見込めることを米国医学雑誌「AJKD」に報告。その後は同治療の普及活動と臨床データの集積を続ける。また、扁桃、上咽頭、歯などの病巣感染(炎症)が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究を行う。監修本『慢性上咽頭炎を治せば不調が消える』(扶桑社)など。ほかに著書多数。

 

イラスト/green K 取材・文/山村浩子

 


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