夏でも首の後ろを冷やさない!
「風邪はウイルスなどが上咽頭に感染することで生じます。上咽頭には免疫システムが備わっており、菌やウイルスの侵入を察知すると、それらをこれ以上、体に入れないように免疫が発動します。こうした機能を維持するために、上咽頭をよい状態に保っておく必要があります。
風邪などは急性の上咽頭炎ですが、これが慢性化した慢性上咽頭炎になると、さらに体のあちらこちらに不調が現れます」(堀田修先生)
こうした上咽頭炎の予防・改善のためのセルフケア方法として、今までに、上咽頭を物理的に洗う『鼻うがい』、口呼吸の習慣を治すための口や舌の運動『かにゆで体操』などを紹介してきました。ほかに普段から気をつけたいちょっとした習慣があるといいます。
※「鼻うがい」については第5回参照。
※「かにゆで体操」については第6回参照。
「それは、首の後ろを冷やさないことです。首の後ろを温めると、胸鎖乳突筋や僧帽筋の緊張が緩みます。すると上咽頭まわりの血流もよくなり、上咽頭のうっ血を改善するのです。
首や肩、上背部のこりも胸鎖乳突筋や僧帽筋の緊張が原因です。首や肩、背中上部のこりを慢性的に感じている人は、首の後ろ側を冷やすのはご法度! 頭寒足熱(頭は冷やして足を温めよ)と言われますが、額を冷やすのはいいのですが、夏でも首の後ろだけは冷やさないことが重要です。

そこで私がおすすめしているのが、寝るときの『首湯たんぽ」です。特にイチ押しなのが、昔ながらの柔らかいタイプ※(ゴム製や合成樹脂PVC製など)。適度な柔らかさで首へのフィット感があってじんわりと温め自然と常温に冷めていく感じが、とても心地よいです」
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【首湯たんぽのやり方】
湯たんぽに60℃くらいの湯を注ぎ、タオルなどで包み、首の後ろに当てて寝ます。5分もするとこりが楽になり、鼻の通りがよくなると思います。
ほかに電子レンジで温めるタイプのネックウォーマーなどでもOK。
※中には氷枕専用で熱い湯が使えないものもあります。必ずお湯に対応するかを確認してください。また、使用時はくれぐれもやけどに注意してください。
汗をかくような夏の暑いときでも、ネッククーラーで首の後ろを集中的に冷やしたり、首にエアコンの冷風が直接当たるような環境は避けたいところです。そのときは気持ちがいいのですが、体調不良の原因になります。
秋や冬の寒いときはもちろん、夏でも冷房が効きすぎている環境に長くいる人は、スカーフなどで首を冷やさない工夫をしてください」
【教えていただいた方】

防衛医科大学校卒業。2011年に仙台市にて、医療法人モクシン堀田修クリニックを開業。認定NPO法人日本病巣疾患研究会理事長。IgA腎症・根治治療ネットワーク代表。日本腎臓学会功労会員。2001年、IgA腎症が早期の段階であれば扁摘パルス療法により根治治療が見込めることを米国医学雑誌「AJKD」に報告。その後は同治療の普及活動と臨床データの集積を続ける。また、扁桃、上咽頭、歯などの病巣感染(炎症)が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究を行う。監修本『慢性上咽頭炎を治せば不調が消える』(扶桑社)など。ほかに著書多数。
イラスト/green K 取材・文/山村浩子


