心身の健康を保つための、中医学的な養生法。これを毎日のベースにすると心が整いやすくなります。
心を整えるために
生活のベースを見直す!
陽 太陽と自然のエネルギーは
心を豊かにする栄養素
「陽気(ようき)」という言葉があるように、元気な気持ちには太陽のエネルギーが必須。
「中医学では、太陽は体を邪気から守る陽気の大もとであると考えられています。邪気の代表的なものが『風邪(ふうじゃ)』で、感冒やインフルエンザがそれに当たります。また、最近の研究で、森林や緑地を散歩する頻度が高いほど、ストレスへの抵抗力が⾼いという報告も」。
太陽と自然に触れる時間を持つことは、心と体を丈夫にしてくれる大きな要素といえます。
食 体と心を育てる
食べるものを見直す
「気は、親から受け継ぐものもありますが、基本的には呼吸と食べ物からつくられます。ファストフードなどの悪食が続くと、五臓の脾や肝に負担がかかることで、気の流れも悪くなります。栄養の偏りや粗食が続くと、気が不足します。
このように毎日の食は気を充実させるためには欠かせません。週の5日は健康のための“栄養補給の食事”、あとの2日は好きなものを食べる“楽しみの食事”と考えては?」。
自分に必要な栄養情報は専門家に相談することも大切と櫻井大典さん。
動 体を動かす習慣は
心の安定に役立つ
「クヨクヨ悩みがちなのは脾、イライラするのは肝の力が低下しているサイン。脾は筋肉、肝は腱、胃腸は四肢とつながっています。
体を動かすことは、これらの内臓を刺激して、活性化する効果があります。内臓が整うと、心にも抵抗力がつき、ストレスに強くなります」。
心がモヤモヤしたら、まず体を動かしてみる…すると気持ちもすっきりするはず。毎朝の目覚めにベッドの中で軽いストレッチをしたり、散歩を習慣にするのがおすすめです。
知 自分の弱い部分を知り
上手に回避する
なぜその不調が起こるかを、知っておくことはとても大事。頭が痛くなったり、胃もたれが起こるきっかけを考えてみると、低気圧が来る前であったり、食べすぎた翌日だったりすることがわかります。
「メンタルも同じです。やる気が出ない、イライラするタイミングをメモしてみると、どんなストレスに対して心の不調が現れるのかがわかってきます。
その弱い部分を知っていれば、できるだけその状況を避ける工夫や解決策が見えてくるはずです」
眠 睡眠は長さよりも
23~3時に寝ていることが大事
「睡眠はその日の疲れを癒し、リセット&回復する大切な時間。中医学では『何時間寝るか?』ではなく、『寝ている時間帯』を重視します。理想は午後11時~午前3時の4時間は必ず寝ていること。
この時間帯に消化吸収がスムーズに行われ、日中全身を巡っていた血が肝に戻り、解毒や修復がされます。同じ4時間睡眠でも、徹夜をして朝から4時間寝るのでは、疲労の回復具合がまったく違います」。
午後11時就寝は無理という人も、少しでも早く寝る習慣をつけたいもの。
お話を伺ったのは
櫻井大典さん
Daisuke Sakurai
国際中医専門員、日本中医薬研究会会員。年間5000件以上の相談をこなす漢方専門家。アメリカ・カリフォルニア州立大学で心理学や代替医療を、イスクラ中医薬研修塾で中医学を学ぶ。中国で研修を修了し、国際中医専門員A級資格取得。著書多数
イラスト/midorichan 構成・原文/山村浩子