Q. HRT(ホルモン補充療法)と漢方薬のメリット・デメリットを教えてください
A. HRT(ホルモン補充療法)は更年期以降の疾患にも予防効果があり、漢方薬は幅広い症状に対応
「更年期症状の薬物療法の主軸となるHRT(ホルモン補充療法)と漢方薬。どちらを選ぶかは、それぞれの長所と短所を比較して、自分に合ったものを選ぶのがいいでしょう。
例えば、HRT(ホルモン補充療法)は症状の緩和に加え、閉経後に多くなるほかの疾患の予防効果があります。有用性は非常に高いのですが、わずかながらがんや血栓症などのリスクはあります。漢方薬はひとつの処方薬にさまざまな生薬が入っているので、幅広い症状に対応し、副作用も少ないのが大きなメリット。
ただし効果が出るまでに時間がかかる場合があるのと、『証』を見極める医師の見立て力が効果を左右する側面もあります」
それぞれの長所と短所
●HRT(ホルモン補充療法)
【長 所】
一般的には有用性が高いことが確認されています。また、更年期以降に起こる脂質異常症や骨粗しょう症などの予防にも効果のあることが大きなメリット
【短 所】
乳がん、血栓症などへのリスクがゼロではありません(有用性のほうが高い)。乳房の張りや痛み、吐き気などの一時的な副作用が見られることもあります
●漢方薬
【長 所】
知名度が高く、副作用が少ないことで受け入れやすい傾向があります。生薬の種類も豊富で、それぞれ複数の有効成分を含むので、1剤で幅広い症状に対応できます
【短 所】
一人一人の証(体質や体調)に合わせた薬を選ぶ必要があります。また効果が出るまでに時間がかかり、8~12週間かかることも。薬によっては飲みにくいものも
福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 特任教授。日本産科婦人科学会・日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医。専門は更年期医療学、女性心身医学、女性ヘルスケア。相談やカウンセリングを中心としたケアサポートとともに、最新のテクノロジーや視点を取り入れて、更年期を取り巻く環境や文化を積極的にアップデート。
構成・原文/山村浩子