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「疲れやすい」「肩こり」「心配性」。それ、更年期の冷えが原因です

樫出恒代

樫出恒代

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。漢方カウンセリングルームKaon代表。Kaon漢方アカデミー代表。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりのこころとからだにていねいに向き合う漢方カウンセリングを提唱。連載の味わいあるイラストは、本人によるもの。
美容家吉川千明氏との共著に「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)
OurAgeインタビュー「信じていなかった漢方の力に救われて、この道を究め続ける薬剤師」はこちら

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更年期以降、冷え性に悩む女性は少なくありません。漢方では「冷え」はただ体が冷たいだけでなく、血流が悪く体に栄養を運ぶことができない状態と考えます。実はあなたの疲れやすさ、肩こり、心配性な性格までも「冷え」が原因かも? 漢方ライフクリエーターの樫出恒代さんが、回復法と漢方薬を解説します。

東洋医学で「冷え」とは、「体に酸素・栄養を運ぶことができない状態」のこと

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーターの樫出恒代です。

 

西洋医学では「冷え」に関しては「命をとられるものではない」と考えられ、重要視されていない。

しかし、東洋医学では「冷えは万病のもと」といわれています。

それは「冷え=血流障害」だから。

 

樫出さん 冷え

「冷え」とは、ただ身体が冷えて冷たいだけでなく、血流が悪い、血液が足りない、ゆえに全身に酸素・栄養を運ぶことができない状態。

 

だから、こんな症状も、冷えが原因の場合が多いのです。

 

 

「疲れやすい」のも「冷え」から来る症状。内蔵の機能が低下しているかもしれません

 

寝不足で仕事も家事も忙しいならある程度は仕方ない。
でも、いつもいつも疲れていて疲れがとれない、そんな時は「冷えによって内臓機能低下」が起きているかもしれません。

 

「疲れやすい」人の疲労回復のポイント

 

① 身体を冷やさないようにする。冷たいものをとらない。

② 足湯・腰湯をまめに行って腰〈腎・肝〉をあたためる。

③ 寝る3時間前までに食事をすませ、お腹を空にして内臓を休めるようにする。

④ 冷えた、疲れたと感じたら、こんにゃく湿布を。

こんにゃくを鍋で20分くらい煮て、タオルで包んで腎臓の場所、腰、肝臓のところ、
丹田〈へそ下指4本分〉のツボにおいてあたためる。こんにゃくは湿熱なので、内臓まで温まり氣もちがいい。

 

疲れやすい人の漢方

 

・十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

血を増やし、身体をあたため疲れをとる。

 

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

お腹にパワーをつけ、血流をよくし、氣力体力をあげる。

 

・八味地黄丸(はちみじおうがん)

冷えがあり、夜間尿、頻尿が氣になる。
疲れやすく、腰痛、耳鳴りなどにも。

 

など

 

 

冷えから来る血行障害によって「肩こり」が起こります

 

肩こりで悩む人はとても多い。
原因は同じ姿勢でのスマホ・パソコン。目の疲れ、ストレス・緊張など。

 

冷えで血液の流れが悪くなり(血流障害)、凝りやすい。

 

 

「肩こり」がつらい人の回復のポイント

 

①長時間同じ姿勢で過ごさないように。

ストレッチ、セルフマッサージで血流を促すようにしましょう。

 

・腕マッサージのすすめ

肩こりだからといって、最初に肩をもまないで。まず、腕を流すようにマッサージしてください。

樫出さん 肩こり

コリを流すように、上下に動かす。

鎖骨の下も流すように。

 

・足指もみもみ

樫出さん 足指

足指の付け根あたり(僧帽筋〈肩こり〉の反射区)と、小指の下(肩関節の反射区)を揉んでください。手をグーにしてさするだけでも。

 

②過食と便秘を避ける。

漢方では、血がドロドロしやすい〈瘀血 おけつ〉のタイプに肩こりが多いのですが、その原因として「冷えと過食と便秘」があります。
冷えることで血がながれにくく、食べ過ぎることで内臓が疲れ、消化に時間がかかり腸内環境も乱れ、血液が汚れやすく、便秘にもなりやすくなります。

 

瘀血はストレスでも悪化。

 

いらないもの、いらない感情も、すみやかに流していきましょう!

 

肩こりによい漢方薬

 

・葛根湯(かっこんとう)

首筋の下のほう、縦に肩が凝る方に。

 

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

瘀血をとる漢方薬で有名。肩こり・痛み・女性ホルモンの乱れ、生理痛・更年期障害にも。

 

・桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)

肩こり、関節の痛みなどに。

 

など

 

 

心配症な人が「冷え」やすい理由は

 

不安を感じやすい。
呼吸が浅くなる。
眠りが浅い方も。

 

ぼーっとすることが苦手。ぼーっとする時間がない。どうやってぼーっとしていいかわからない。

 

いつも緊張状態が続くと、氣のめぐりが悪くなり、血のめぐりも悪くなり、冷えはどんどん進んでいきます。
身体に、よい血液をめぐらせ、全身の血液循環を良くし、冷えを防ぎましょう

 

心配性による冷えを治すポイント

 

①呼吸法

静かに深く細く長く吐き切ること。

 

〈心をしずめ深く息を吐くあいさつのポーズ〉

1.自然に立つ。
2.息を吐きながら深く身体を前に倒す。
3静かに息を吸いながら身体を起こす。
頭が最後になるように。

樫出さん 挨拶のポーズ

 

②丹田のツボと仙骨のところにお灸、またはカイロを貼る

 

心配性タイプの冷えに効く漢方薬

 

・加味帰脾湯(かみきひとう)

お腹をあたため、血を増やして氣持ちを安定させてくれる。眠りが浅い方に。

 

・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

上に上がった氣を下げて、不安やうつうつを和らげる。お腹をあたためリラックスさせる。

 

 

など

 

 

漢方で、
冷えは万病の元。
ぜひ、冷えにさよならしてねー

 

 

注:漢方薬については
漢方専門の医師や漢方薬剤師
漢方アドバイザーなどにご相談・
カウンセリングの上お飲みください。

 

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