骨盤底筋が弱い人は、無意識に腹式呼吸を避けている?
「尿もれにお悩みの人は特に、日常動作でも“腹式呼吸”を避ける傾向にあり、“胸式呼吸”だけになってしまっていることが多いようです」と言うのは、骨盤底筋まわりの悩みを持つ人をたくさん診てきた理学療法士の田舎中真由美さん。
骨盤底筋が弱い人は筋肉の持久力がなく、腟を締めたり緩めたりするコントロールもうまくできていないのだそう。
「そのため、腹圧がダイレクトに腟にかかる腹式呼吸を無意識に避けてしまう傾向にあります」
自分の呼吸をcheck!
骨盤底筋を強くするには、胸式呼吸と腹式呼吸を意識的に切り替えられるようになるのが理想的。この後、田舎中さんが行っている動画のように、胸とお腹それぞれに手を当て、胸だけ、お腹だけ、動かせるかどうか、まずはセルフチェックをしてみましょう。
「お腹が動いていて、腹式呼吸ができていますね。これができる人は次に、意識的に胸式呼吸ができるかどうかをチェックしてみましょう」
「先に胸が膨らんだ人は、胸式呼吸派。次に意識的に腹式呼吸ができるかどうかをチェックしてみてください」
「自分で腹式呼吸と胸式呼吸を切り替える練習をするのは、おすすめです」
でも、なかなかできない場合、どうしたらうまく呼吸ができ、効率よく骨盤底筋を鍛えることができるのでしょうか?
「実は、日常生活の中で動作に気をつけたり、ちょっとしたトレーニングを取り入れるだけで変化するので、やってみてください」
簡単な日常動作とトレーニングで、骨盤底筋は強くなる!
日常動作編
【ものを拾うとき】
しゃがんでものを拾うとき、写真のように背中だけ丸めていませんか?
背中を丸めると尿もれを起こしがちな人は特に、腟に腹圧がダイレクトにかかってしまうことに。
しゃがむのがつらい人は、写真のように背中を真っすぐに、片足を上げてものをとるようにするのがおすすめです。
【洗濯物を干すとき】
日常生活の中でも、腹式呼吸を意識しながらスクワットをするつもりで、しゃがむ習慣をつけましょう。
洗濯物を干すときなども、写真のように背中を真っすぐにしたまま、立ったりしゃがんだりする練習を。
呼吸上手になる簡単トレーニング
「骨盤底筋を締めた状態で、呼吸がコントロールできるようになるトレーニング法を紹介します。ふーっと息を吐いたときは内臓が頭側に上がり、息を吸うと内臓が元の位置に戻るようなイメージで行うとスムーズです」
【骨盤底筋トレーニング】
床によつばいの姿勢をとります。写真のように、握った両手を重ねて額を支え、足のつま先は立てて腹式呼吸を行います。
息を吸うときにはお腹が膨らみ、吐くときにお腹がへこむように。また、吐くときには腟を頭のほうに引き上げます。1日に何度か、1回につき4~5回できるといいですね。
「腟を引き上げるときは、“尿を止める”“尾骨を恥骨に寄せる”“ティッシュを引き上げるように”など、自分がイメージしやすい感覚でOK。腟を引き上げると同時にお腹も引き上げることを意識すると、体幹を安定させ、骨盤底筋の強化だけでなく、腰への負荷も軽減する腹横筋のエクササイズにもなります」
ぜひ、試してみてくださいね!
【教えていただいた方】
臨床経験20年以上、1万5000人以上を診てきた理学療法士。専門は腰や骨盤まわりの痛み、産後の骨盤まわりの緩みや痛み、尿もれの改善
田舎中さんが所属するフィジオセンターは、病気やケガによる不調、腰痛、膝痛といった日常生活の体の痛みなどに対応する、理学療法士によるリハビリ&コンディショニングスペース。
撮影/編集部 ヘア&メイク/田代ゆかり(HAPP’S) イラスト/内藤しなこ 取材・文/井尾淳子