Q. 風呂上がりに腟から湯もれが…。これって腟の緩み?
A. 骨盤底筋と粘膜のケアで改善します
「お風呂から上がるときに腟から湯がもれる、腟からおならのような空気がもれる、またはセックスのときにパートナーから締まりがないと言われたなど、クリニックに腟の緩みの相談に来る患者さんは結構います。原因は女性ホルモンの低下のほかに、腟を支える骨盤底筋の衰えもあります。
◆骨盤底筋とは
骨盤底筋は膀胱、子宮、肛門などの臓器を、ハンモックのように支えている筋肉。ここが衰えると、フェムゾーンに関するトラブルが現れやすくなります
もうひとつは腟全体を覆う粘膜が薄くなっているケースも。出産時に腟の入り口部分が肛門側に大きく開いたままになっていたり、無理なダイエットで骨盤底筋まで痩せてしまうことでも起こります。また、清潔を意識しすぎて、腟まわりを毎日強く洗いすぎると粘膜へのダメージに。この解決にも骨盤底筋を鍛えるエクササイズ(次のQ参照)と正しいフェムケアが有効です」(二宮典子先生)
Q. くしゃみをするだけで尿もれが…。何が原因?
A. 「尿道の問題」「膀胱の問題」「その他の問題」が考えられます
「尿もれにはおもに3つのタイプがあります。そのひとつは尿道とそれを支える部位が弱くなることによる『腹圧性尿失禁』。くしゃみや咳など、腹圧がかかったときにもれがちです。
ふたつめは膀胱の柔軟性がなくなり、少しの尿量でも尿意を感じてもれてしまうもの。これを『切迫性尿失禁』といい、寒さを感じたときなどに突然起こります。このふたつの混合型もあります。
さらに考えられるのが、フェムゾーンの乾燥などでイガイガしたかゆいような症状が起きることで、尿意を感じてもれてしまうケースです。いずれの尿もれにも骨盤底筋トレーニングや正しいフェムケアが役に立ちます」
尿もれの3つのタイプ
●腹圧性尿失禁
女性の短い尿道とそれを支える部位が弱ることが原因。くしゃみや咳、重い物を持つなどして腹圧がかかったときにもれます
●切迫性尿失禁
尿を貯蔵する膀胱が柔軟性を失い、少量でも尿意を感じるように。水の音を聞いたり、寒さを感じるなどで突然尿意を感じてもれます
●その他の原因
そのひとつがフェムゾーンの乾燥によりイガイガかゆくなることで、強い尿意を感じるケース。これは洗いすぎが原因のことも
骨盤底筋エクササイズ
<1>
あお向けになって膝を立てます。左右の膝の間をこぶし1~2個くらい開け、両腕は自然に体の横に伸ばし、体をリラックスさせます
<2>
息を吐きながらお尻を持ち上げます。このとき、お尻の穴と腟に意識を集中させて、キュ~ッと引き締めて20秒キープします。お尻を下げて5秒休憩。これを3回繰り返します
医療法人 心鹿会 理事長。泌尿器科専門医・指導医、性機能専門医、漢方専門医。最近注目されているフェムケアやGSMにいち早く取り組み、婦人科、泌尿器、性機能、外見のコンプレックスなどの、相談しにくい悩みにも対応。下ネタ医療系YouTuberとしての顔も持ち、若い世代から更年期世代、シニアまで幅広い層に人気。
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/山村浩子