Q. 尿もれや頻尿。受診は泌尿器科? 婦人科?
A. どちらでもOKです!
「尿のトラブルは骨盤底筋の衰えで起こる代表的なもの。女性の骨盤底筋はもともと構造上、子宮や卵巣など男性にない臓器を支える必要があり、さらに尿道や腟、肛門もコントロールしているため、大きな負担がかかっています。
更年期になると、これに皮膚や粘膜の乾燥などが加わり、尿の悩みが多くなります。そんなときの受診は、専門性の高い泌尿器科でもフェムトラブルに詳しい婦人科でもどちらでもかまいません」。
ほかに『女性泌尿器外来』や『ウロギネ外来』といった、より相談しやすい診療科も登場し始めました。ネットで探して行くのもおすすめです。
Q. トイレに何度も行きたくなるのは、何の病気?
A. GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)で尿道まわりの乾燥が原因かも…
「頻尿の原因のひとつが過活動膀胱で、膀胱に尿が十分にたまっていないのに尿意を感じる症候群です。膀胱が過敏になり、自分の意に反して尿道括約筋が収縮して、実際にもらしてしまうのが切迫性尿失禁。
過活動膀胱の原因のほとんどはまだ解明されていませんが、GSMで尿道・腟・膀胱のまわりが乾燥して敏感になっていたり、骨盤底筋の筋力低下も考えられます。フェムゾーンをゴシゴシ洗わず保湿をすること、骨盤底筋エクササイズ(下記参照)も有効です。
また、トイレに行きたくなったらどうしよう…という心理的なことも影響するので、外出時には事前にトイレの場所を確認したり、利尿作用のあるカフェイン入りの飲み物などを避ける工夫も必要です。病院ではまず生活指導を行い、その後、薬物療法を。施設によって手術療法や磁気刺激装置などの治療が可能です」
●頻尿のときに注意すること
保湿などのケアや骨盤底筋を鍛えるなどして、フェムゾーンの健康を保つこと。ほかには精神面や多尿になる飲食物を避けることも大切
- ・フェムケアを正しく行う
- ・骨盤底筋を鍛える
- ・ストレスをためない
- ・利尿作用のある飲み物を控える
- ・外出時にトイレの位置を確認する
骨盤底筋エクササイズ
<1>
あお向けになって膝を立てます。左右の膝の間をこぶし1~2個くらい開け、両腕は自然に体の横に伸ばし、体をリラックスさせます
<2>
息を吐きながらお尻を持ち上げます。このとき、お尻の穴と腟に意識を集中させて、キュ~ッと引き締めて20秒キープします。お尻を下げて5秒休憩。これを3回繰り返します
医療法人 心鹿会 理事長。泌尿器科専門医・指導医、性機能専門医、漢方専門医。最近注目されているフェムケアやGSMにいち早く取り組み、婦人科、泌尿器、性機能、外見のコンプレックスなどの、相談しにくい悩みにも対応。下ネタ医療系YouTuberとしての顔も持ち、若い世代から更年期世代、シニアまで幅広い層に人気。
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/山村浩子