Q. 閉経してもセックスはできる?
A. 潤いがなくなるので工夫が必要な場合も
「もちろん閉経してもセックスはできます。ただ、閉経した頃から濡れにくくなり、腟自体に潤いがなくなり萎縮して狭くなります。
パートナーができて久しぶりに行う場合でも、ずっと定期的にしてきた人でも、挿入が困難になったり、ピストン運動で痛みを感じ、その後もひりひり感が残るという声をよく聞きます。
これを性交痛といいますが、この時期にセックスレスになるケースも。これも日頃のフェムケアをしっかりすることが大切。女性ホルモンを補充する腟錠で潤いを取り戻したり、低下した分泌物を補う潤滑剤を上手に使うといいでしょう」(二宮典子先生)
容器から取り出したときはジェル状で扱いやすく、使用するとサラサラに変化。痛みや違和感を軽減する1回使い切りの潤滑ゼリー。リューブゼリーポーション6g×4本¥1,100/ジェクス
Q. 潤い不足で入りません。性交痛も病院で治療できる?
A. レーザーや高周波の治療が効果的です
「性交痛をはじめ、性欲やオーガズムの悩みなど、セックスに関するトラブルは多くの人が感じています。これらを総合的に診断・治療する医療機関はまだ少ないのですが、改善することは可能です。
HRTのほかにも、レーザーや高周波による、より効果的な治療も行うことができます。腟内に照射して、腟粘膜の線維芽細胞を活性化させ、新たなコラーゲンを生成させることで、腟壁に潤いと厚みを取り戻します。
最新機器であるウルトラフェミー360は特殊なチップで、高周波と超音波を同時に、一度に360度照射できるため、効率がいいのが特徴です。治療法は患者の状態に応じて選ばれます」
●クリニックでできる治療
医療機器:インティマレーザー(ヤグレーザー)
対応する症状:性交痛、尿もれ、腟の緩み、臓器脱
医療機器:モナリザタッチ(CO2レーザー)
対応する症状:腟の乾燥、腟のかゆみ、性交痛、GSM、頻尿
医療機器:ウルトラフェミー360(高周波治療)
対応する症状:腟の緩み、性交痛、尿もれ、おりもののにおい
Q. HRT(ホルモン補充療法)で性交痛は治る?
A. 腟錠と併用がおすすめです
「HRT(ホルモン補充療法)はホットフラッシュなどの更年期症状だけでなく、セックスやフェムゾーンの悩みにも一定の効果があります。ただし、HRTは全身に向けてのアプローチなので、特に性交痛をはじめとしたGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)の悩みには、十分な効果が得られないことも。
その場合はエストロゲン製剤の腟錠を併用して、局所に効かせる方法があります。顔のお手入れと同様に、フェムゾーンの健康や機能の低下にも気を配り、しっかりとケアをすることは、QOLの向上にとても大切なことです」
医療法人 心鹿会 理事長。泌尿器科専門医・指導医、性機能専門医、漢方専門医。最近注目されているフェムケアやGSMにいち早く取り組み、婦人科、泌尿器、性機能、外見のコンプレックスなどの、相談しにくい悩みにも対応。下ネタ医療系YouTuberとしての顔も持ち、若い世代から更年期世代、シニアまで幅広い層に人気。
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/山村浩子