帰宅後から入眠までは自律神経をスムーズに副交感神経に移行するための大切な時間。仕事の疲れを残さず明日につなげるために、入浴や筋弛緩法で副交感神経にうまく切り替えて睡眠の質を向上しましょう!
お話を伺ったのは
梶本修身さん
Osami Kajimoto
1962年生まれ。東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士。医師。大阪大学大学院医学研究科博士課程修了。2003年より産官学連携「疲労定量化および抗疲労食薬開発プロジェクト」統括責任者を務める。著書に『すべての疲労は脳が原因』(集英社新書)シリーズなど
お風呂は38〜40℃、つかるのは脇の下まで、8分以内程度に
入浴は、熱いお湯に肩までつかると交感神経が優位になるうえ、上がりすぎた体温や心拍の調整のために自律神経が疲弊することに。
「おすすめは、38〜40℃のお湯に心臓の高さ(脇の下)辺りまでつかること。血行がよくなり、自律神経への負荷が軽減し、副交感神経優位に。長く入ると汗をかいて自律神経に負担をかけるので、8分以内ほどにとどめて。
入浴で深部体温を上げると、そのあとに下がるときに眠気が訪れるので、寝る1〜2時間前に入りましょう」
寝る前は、スマホを見るくらいならテレビを見る
スマホはテレビより近距離で見るうえ、目に強烈なブルーライトが入ることで交感神経が優位に。
「また、テレビ番組と違ってスマホのSNSはエンドレスで興味・関心が尽きないことから、眠気を起こしにくいのです。
夜の入浴前にはスマホは充電器に挿すようにして、入浴後はテレビをぼーっと見ているほうがまだマシです」
寝る1時間ほど前の入眠儀式で副交感神経優位にスムーズに移行
遅くまで頭を働かせている現代人は、寝る前になってもなかなか副交感神経に切り替わりません。そこで取り入れたいのが入眠儀式。
「寝る1時間〜1時間半前にはパジャマに着替え、照明を暗くして、ストレッチやアロマテラピーをするなどリラックスして過ごしましょう。
こんな入眠儀式を習慣にすると、それを合図に脳が“眠る準備ができた”と認識し、副交感神経に切り替わりやすくなります」
筋弛緩法で筋肉をほぐし副交感神経を優位に
夜にきつい運動をすると、交感神経が優位になって自律神経の疲労を招いてしまいます。おすすめなのはストレッチや、下でご紹介するような“筋弛緩法”などの軽い運動です。
「筋弛緩法は、筋肉の緊張を緩めて体をリラックスさせ、副交感神経を優位にする効果があり、寝る前にぴったり。血行がよくなって疲れも取れやすくなります」
1. 肩のリラックス
肩に力を入れてグーッと引き上げ5〜10秒キープしたら、その後、ストンと肩を落として脱力。これを数回繰り返します
2. 腕のリラックス
椅子に座り、腕を曲げて両手を肩につけ、腕にギューッと力を入れて5〜10秒キープしたら脱力。数回繰り返します
3. 脚のリラックス
椅子に座って両脚を前に伸ばし、つま先を立ててグーッと手前に向けて5〜10秒キープしたら脱力。数回繰り返します
4. 全体のリラックス
最後に、肩、腕、脚の動きをすべて同時に行い、脱力したら終了です
イラスト/いいあい 構成・原文/和田美穂