女性の悩みに冷静かつ温かいアドバイスをくれると評判の産婦人科医・高尾美穂先生に「更年期の体の変化、体調不良からくる不安」を相談します。
HRT(ホルモン補充療法)の悩み
Q.
閉経後、ホットフラッシュと寒気があり、HRTを開始。不調はなくなりましたが、HRTは発がん性があるからやめるように言う医師もいて。5年ほどでやめたら症状が戻ったので最近再開。エストリオールと漢方薬を服用中ですが、のぼせが止まらず、卵巣がんも心配で、自律神経が安定せず苦しい毎日。このままで大丈夫でしょうか。(59歳・パート)
A.
エストリオールは効果が最も弱いので医師に相談し、薬の種類を替えてみては。がんは定期検診を受けて
「HRTは、がんの発症リスクはそこまで心配しなくていいレベルであることがわかっているので、続けても問題ありません。ただし、エストリオールは、HRTの中でも効果が最も弱く、のぼせは改善しないと考えられるので、薬の種類を替えてみるのがいいと思います。それで改善しない場合は、更年期症状というより自律神経失調症である可能性もあるので、考え方や生活習慣の見直しも必要かもしれません。卵巣がんについてできることは、定期的に超音波検査を受けることです」
※この企画で取り上げた悩みは、2022年7月28日〜8月10日にWebマガジンOurAgeで募集したものです。
高尾美穂先生ってどんな人?
イーク表参道副院長。産婦人科専門医。さらにスポーツドクター、ヨガ指導者でもあります。産婦人科医になったのは「一人の女性の体を、初潮を迎えたとき、生理痛やPMSで悩んだとき、恋愛をして性交渉のことで悩んだとき、妊娠・出産のとき、更年期、閉経後と、人生を通して長く診ることができるから」だそう。診療のかたわら、NHK「あさイチ」への出演をはじめ、多数のメディアやSNSで情報を発信。音声配信アプリstand.fmの番組「高尾美穂からのリアルボイス」ではリスナーの多様な悩みに回答しています。著書に『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)など。脳外科医の夫あり
撮影/高尾美穂<アイキャッチ背景写真> 取材・原文/和田美穂