子宮筋腫は、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン」によって大きくなります。つまり女性ホルモンが減る閉経後には、徐々に小さくなるのが普通。40代、50代にはまだ妊活中の人もいれば、閉経前後のホルモンの波に翻弄されている人、閉経した人、と状況がさまざま。筋腫があるからといって治療法が同じとは限りません。
治療の選択肢が増えた分、後悔のない選択を
「近年、筋腫の治療法は進化しました。選択肢が増えた分、迷うことも多いでしょう。医師側も対応が難しくなっています。筋腫の状態や症状に加え、その人が置かれた状況や、将来のことまで考えて治療法を選択する必要があるからです。よい医師との出会いも大切ですが、患者さん自身が、更年期後も生き生きと暮らせることを見据えて決断することが大事です」(明樂重夫先生)
●治療の考え方は? 閉経後の体を見据えて決める
UAE:子宮動脈塞栓術、MEA:マイクロ波子宮内膜アブレーション、FUS:集束超音波療法
子宮筋腫の治療法はおもに4つ
①症状を軽減する対症療法
筋腫を小さくするのが目的ではなく、過多月経や痛みなどの症状を軽減する薬物治療のこと。月経困難症の痛みには鎮痛薬、低用量ピルが使われることも。貧血には鉄剤の処方など。
②筋腫を小さくする偽閉経療法
女性ホルモンの分泌を抑えて筋腫を縮小するのが目的。ホルモン療法とも呼ばれる薬物療法です。長期間の使用で骨粗しょう症のリスクが上がるため、使用は原則6カ月間まで。
③筋腫だけを取る一時的手術
子宮を残し、筋腫だけを取り除く「子宮筋腫核出術」のこと。術式もいろいろですが、再発は否めません。筋腫の摘出以外に、子宮動脈塞栓術(UAE)などで小さくすることも。
④子宮を取る根治手術
子宮筋腫を含め、子宮全体を切除する手術。妊娠を望まない人や子宮を残さなくてもよいと考える場合の選択肢のひとつ。子宮筋腫の再発の心配がなくなる唯一の根治療法といえます。
EPISODE
子宮筋腫の治療・私の場合
●不妊治療からの手術。医師の判断が助けに
不妊治療を優先させるか手術をするか、だいぶ悩みました。いちばん大きい筋腫が10㎝を超えたとき筋腫を取りました。その後妊娠できて本当によかった!
●再手術で子宮全摘。決断を間違えたかも
医師の言うなりに開腹手術で筋腫を20個も摘出。でも半年後にはまたたくさんできていました。結局5年後には子宮全摘出。最初に取ってもよかったかも…。
●薬を飲んで治療中! このまま逃げきりたい
最近できたという薬で偽閉経療法をしている最中です。すでに更年期らしいので、少しでも小さくなればこのまま閉経に持ち込めるかも、という期待をこめて。
【教えていただいた方】
日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療指導医。日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医。女性医療や女性ヘルスケア領域の確立に尽力
構成・原文/蓮見則子