Q. 子宮全摘出した場合、更年期の症状は出ないの?
女性ホルモンを分泌するのは子宮ではなく卵巣。卵巣が元気なら更年期の症状は出ないもの。ただ手術が40代後半以降だと、卵巣機能が低下する時期と重なるため、更年期の症状を子宮全摘のせいだと思いがちです。
Q. 子宮摘出をするとどんなメリットが?
子宮はおもに妊娠・出産のためにあるもの。妊娠を希望していないならメリットのほうが多く、デメリットはあまりないでしょう。取ったことにより機能も体調も変わりません。
●子宮を摘出するメリット
- ・子宮筋腫の症状が完全になくなる
- ・再発の心配がない
- ・子宮頸がん、子宮体がんになる心配がない
- ・ホルモン補充療法(HRT)が安心して受けられる
- ・月経の煩わしさがなくなる
- ・性交しても妊娠する心配がない
Q. 子宮がなくなっても排卵は起こるの?
卵巣機能が低下しきっていなければ、子宮のあるなしにかかわらず排卵は起こります。卵子は、排卵されると卵巣の表面に付着していますが、受精することはないので、2〜3日後に自然に消滅します。
Q. 子宮があった場所は空洞になるの?
子宮がなくなった場所は、腸が移動してきます。たとえ筋腫で巨大化してしまった子宮を摘出したとしても、腸がもともとあったところに戻ってくるだけなのです。
Q. 子宮がなくなった喪失感は?
「子宮は女性の象徴」「取ったら女でなくなるかも」と思っている人は、確かに子宮喪失症候群のような状態に陥ることもあります。ネガティブにとらえず、手術の結果どれだけ楽になるかに目を向けましょう。
Q. 性生活に支障は?
子宮頸部の性感が大事だった人にとって、大丈夫とはいいきれませんが、普通は支障がないものです。腟の分泌液も子宮から出てくるものではないため、変化はないようです。
【教えていただいた方】
日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療指導医。日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医。女性医療や女性ヘルスケア領域の確立に尽力
構成・原文/蓮見則子